表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

200/238

200 親戚集合!

大晦日と元旦は何事もなく過ぎていった。


そして二日の朝。今日はうちの親戚が大集合するので、私は朝からパタパタと台所内を動き回っていた。


えーと、重箱に見せるためのおせち、よ~し! 大皿に重箱に入りきらない煮物は盛り付けた。

刺身は切ってラップをして冷蔵庫へ。ハム類も切ってやはりラップをして冷蔵庫へ。

それから、栗きんとん、豆のきんとんやなます等もタッパーに入っているのを置いておいて・・・。


乾きものはこの袋にまとめてあるからいいでしょう。お酒もここで・・・。


「麻美、もういいから。お前は支度をしなさい」


用意し忘れたものがないかと確認をしていたら、父に台所を追い出されてしまった。確かに時計を見ると9時を過ぎていた。着物を着るのに30分あれば余裕だけど、時間が無くなって焦りたくはないものね。


自分の部屋に戻り、着ていた洋服を脱いで畳んで横に置く。それから前空きの服を羽織って髪の毛をまとめようした。


・・・どうしよう。なんかうまくいかない。こんなことなら千鶴に来てもらえばよかったと後悔しかけたら、下の方からドヤドヤと人が来た気配が伝わってきた。


えっ? おばさんたちがもう来たの?


そう思いながら、髪をまとめるのに四苦八苦していたら、扉をノックする音がした。


「麻美ちゃん、開けてもいい?」

「晴子姉さん? いいですよ」


扉を開けていとこのお姉ちゃんずが入ってきた。晴子姉さんと笑子姉さん姉妹、由美子姉さんと佳子姉さん姉妹。父の長姉と次姉の子供たち。


「ああ~、やっぱり。麻美ちゃんってば、それじゃあ、駄目よ」

「う~、由美子姉さ~ん」


強力な助っ人が来たと、私は涙目で由美子姉さんのことを見上げた。


「はい、はい。大丈夫よ。すぐにちゃちゃっとまとめてあげるからね」


私から櫛を受け取った由美子姉さんは、持ってきたバッグから何かを取り出して、私の髪をまとめだした。あっという間に髪がまとまり、お団子が出来上がっていった。さすがは現役美容師さん。


他のお姉ちゃんたちは私がハンガーにかけておいた着物を手に取り、着付けしやすいように小物などを整えてくれていた。自分でできると言いたかったけど、髪がまとまらなくて気が付いたら9時45分を過ぎているんだもの。


親戚が来る時間は10時だから、それまでに支度を済ませておきたかったのよね。


「大丈夫よ、麻美ちゃん。今日の主役なんだから、きれいにしてあげるからね」

「女の支度は時間が掛かるものよ。それに台所を見たけど、用意をしてくれていたんでしょ。小皿やお箸なんかも出してくれてあったじゃない」

「心配し過ぎよ。今日は私達もいるんだから、安心してよね」


そうなのよ。いつもはお嫁に行った笑子姉さんや由美子姉さんは、この二日の集まりに顔を見せることはなかったの。今回は特別なんだよね。


「えーと、笑子姉さん、由美子姉さん。子供たちは?」

「母に預けているわよ。今頃祖母に孫自慢しているんじゃないかな」

「そうそう。本当に実家に行くと子供から離れてくれなくてねえ。助かるんだけど、帰ろうとする時が困るのよねえ」


おばさんたちも孫がかわいくて仕方がないのだろう。


髪が終わり、着付けもお姉ちゃんずに囲まれて、私が手を出す隙はなかった。また、階下からガヤガヤと声が聞こえてきた。そして扉をノックする音がまた聞こえてきた。


「は~い。だれ~」

「星子です。章子ちゃんと昌代ちゃんもいますけど、入っていいですか」


私より年下のいとこたちもやってきたようだ。


「どうぞ」

「おじゃましまーす。あっ、明けましておめでとうございます」

『明けましておめでとうございます』


星子ちゃんに続いて章子ちゃんと昌代ちゃんも声を揃えて挨拶をしてくれた。私はあわててしまった。お姉ちゃんたちに挨拶をしていなかったことに、今更気が付いたのよ。


「あっ、明けましておめでとうございます。お姉ちゃんたちも。その、ごめんなさい」

「何を謝っているの、麻美ちゃん。そういえば、私達もまだだったわね」

「そうね。明けましておめでとう。今年もよろしくね、みんな」

「そうそう。いとこ同士仲良くしましょう」

「あけおめ~」

「佳子、真面目に。私達もよろしくお願いします」


みんなで笑いあった。私の部屋に集まったのは女のいとこたちだけ。男のいとこたちは下にいるのだろう。でもな~。


「みんなさあ、食いつきすぎじゃない。私が結婚したらいつでも浩二さんに会えるのよ」

「そんなこと言ってもね、そうそう母の実家には来れないのよ。結婚しているとねえ」


由美子姉さんが笑子姉さんのことを見ながら言った。今は着物の着付けも帯を締める段階だ。お姉ちゃんたちは着付けを習ったことがあるから、由美子姉さんの補助を的確に行っているから早いこと早いこと。


というか、口と手が同時で動けるってすごいと思う。私は話していると手がおろそかになるし、作業に集中すると、話されていることを聞いてないことがあったりするもの。


「いいな~、着物。お正月らしいよね」

「じゃあ、着てみる。いつでも着せてあげるわよ」


星子ちゃんに笑って言う、お姉ちゃんずでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ