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172 ウエディングドレス選び! その4*

椅子に座ったまま見回したら、私の姿が映っている鏡があった。うん。この紫色のドレスは似合ってないわ。


「それは私もそう思ったのよ。この形って、本当にベルばらに出てきそうなドレスなのに。やはりこういうドレスは宝塚でも見に行って堪能するしかないのかな」


華子女史が顎に手を当てて考え込むように言った。


「そうなるのかしらね。じゃあ、今度こっちに来たら見に行ってみる」

「その前にチケットが取れないって聞いたよ。2階や3階席になるのなら、行きたくないかな」

「それもそうね。私達ってヅカファンってわけじゃないものね」


千鶴が提案してきたけど、私がヅカファンの友人から聞いた話を思い出しながら言ったの。結局4人で笑いあって、見に行かないことが決定した。


「じゃあ」と菜穂子が気を取り直したように言った。


「今まで試着してもらった中で、麻美に似合ったのはこの3着よね」


菜穂子が指さしたほうを見たら、私もいいかなと思ったドレスが並べられていた。薄いブルーのドレスとクリームイエローのドレス。それから、淡いグリーンのドレス。


ブルーのドレスはレースのボレロがついた可愛らしいドレス。胸から腰に掛けては薄いブルーで白い糸で刺繍がしてあるの。腰から下は下のドレスの生地はかなり濃い色だけど、重ねたレースがそれを覆っているので、見える色はそれほど濃くは見えない。レースのところどころに造花がつけられている。

クリームイエローのドレスは、そうだな~、菜の花畑のイメージ? シンプルなんだけど、重ねたレース・・・オーガンジーかな。それが背中のほうに寄せるようになっていて、腰でまとまったそれがひらひらとリボンのように下がっている。

グリーンのドレスはところどころに花の刺繍がされていて、とても華やかに見える。でも、はっきり言って私はこのドレスを着たら負けると思ったのよ。


「あっ、待って。これも着てみてくれないかな」


華子女史が思い出したようにドレスのところに行って、戻ってきた。持ってきたのは桜色? いや、それより色が濃いかな。着てみて驚いた。これは刺繍ではなくて模様の部分にパールが縫い付けられているものだった。裾に向けてもところどころにパールが縫い付けてある。貸衣装だし本物だとは思わないけど、でも、私の好きなパールがいっぱい使われていることにテンションがあがる。


「これ、いいんじゃない」

「クリームイエローのドレスもよかったけど、これがいいね」


千鶴と菜穂子がそう言った。選んできた華子女史は若干胸を張るように、背筋を伸ばしている。そうして3人の視線が私に集中した。


「私も、これがいい」


係のお姉さんがニッコリと笑った。


「それでは、こちらに合わせるアクセサリーはどうしますか」


はい? アクセサリー?


もう一人のお姉さんが奥から箱を持ってきた。もう一度奥に戻り、また箱を手に戻ってきた。並べられた箱の中にはイヤリングとネックレスのセットが入っていた。他の箱にはティアラなども入っていたの。


「そうねえ、このティアラなんかいいんじゃない」

「ううん、こっちの髪飾りのほうが素敵よ」

「これってミニハットか~。こういうのもちょこんと乗っていると、可愛いんだよね」


3人がキャアキャアと騒ぎながらああでもないこうでもないと言っている。私はまた椅子に座ってその様子を眺めていた。


ようやく意見がまとまったのか、3人が私のほうを振り返った。私は立ち上がってそばに行こうとしたら、みんなのほうがそばに来てくれた。そしてそれぞれ手に持ったアクセサリーを私にあててきた。


「やはり、これね」

「このネックレスもドレスに合っているね」

「じゃあ、これとそれに決まりね」


3人で納得したみたい。


「麻美もこれでいい?」

「うん」


半分投げやりに答えましたよ。そうしたら・・・。


「麻美が身に着けるものでしょう。もう少し真剣に考えなさい」


と、怒られた。だけどさ、もう疲れたんだよね。早くこのドレスを脱いで服に着替えたい。


「もう、仕方がないわね。あとは白いドレスのアクセサリーなんだけど・・・」

「待って。あの、持ち込みってできますか」


私は係のお姉さんに聞いてみた。


「はい、出来ますよ」

「それでしたら、白いドレスのネックレスは、自前のパールを身につけたいです」

「わかりました。イヤリングはどうなさいますか」

「えーと、保留でもいいですか」

「はい。アクセサリーはお式の2週間前までにお決めいただければ大丈夫です」


お姉さんの答えに首を傾げる。千鶴も気にかかったのかお姉さんに聞いた。


「アクセサリーはと言いましたよね。それではドレスはいつまでに決めればいいんですか」

「ドレスは結婚式のひと月前まででよろしいのですよ」


と、いうことは2月の末までに決めればよかったんだ。そう思ったらお姉さんが「ですが」とゆっくりと言葉を続けた。私達はお姉さんに注目した。


「その場合ですと、ご希望のドレスをお召しになれない場合がございます」


お姉さんの説明はこうだった。ドレスはレンタルの為、同じ日や近日で被ると着ることが出来ないそうなの。結婚式後、ドレスはクリーニングに出すからで、その仕上がりに最低1週間はかかるんだって。だけど、そんな冒険は出来ないから、ドレスのレンタルには2週間の間をみることにしているのだそうです。


はい。勉強になりました。


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