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156 悪友との思い出話は余計なことも思い出し・・・

でもさ、向こうで再会なんてするもんじゃなかったと思ったわ。こっちでみんなと会った時に和彦が意味深に私に接触してくるから、千鶴がだんだんピリピリしちゃってね。会うたびに和彦と嫌味の応酬をするようになっちゃったの。


向こうでも、とも君が誘うから行くけど、だんだんそこに行く意味があるのかなと思ったりしてね。


ああ、あとねえ、和彦の女除けに使われたんだよね。私が顔を出すと和彦は他の女たちを放っぽって、私のことを構い倒したの。そうするとさ、和彦狙いの女たちが睨んでくるわけよ。それで、頭がよくない女たちは私に突っかかってくるわけじゃない。そうすると和彦ととも君がいい笑顔で撃退してね。おかげでサークルの人数の変動が激しかったような、気がしたのね。あと、少し頭がいい女は逆に私と仲良くなろうとしていたけど、さり気なく会話に嫌味を混ぜてくるのよ。私はめんどいから気づかない振りでスルーしていたけど、やっぱり気がつくといなくなっていたから、二人が何かしたんだと思うの。


女除けにされたのは腹立たしかったけど、私も和彦に心配かけたから、そこはお互い様だと思ったの。ああ、でも、男の人の本気の怒鳴り声ってあんなに怖いと思わなかったな。バカをやったのは私だけど、それを抉らなくてもいいじゃない。ねえ。

・・・でも、この時って私を泣かせたかったみたいだし、結果的には成功して泣かされたからねえ。それに和彦の彼女と仲良くなったし。


えっ? 和彦の彼女のこと? ああ、2年の学祭後に一つ年上の女性とつき合いだしたのよ。私は前に聞いた好きな人がその人だと思っていたけど、実際は好きな人に似た別人だったわ。でも、そんなことは知らなかったから、普通に仲良くしていたつもりだったけど・・・。


でもさ、彼女もつき合っていて自分に本当には気がないって、薄々は感じていたようなのよ。そこに私のことを構う和彦が目に入るわけでしょ。和彦がそばにいることを許す女ってことで、いつしか嫉妬の対象になっていたみたいで、思い余った彼女はある暴挙に出たのよ。


えーと・・・ゴムに細工をして妊娠したんだよね。でも、和彦は避妊はちゃんとしていたからと、取り合わなくてね。逆に彼女の浮気を疑ったのよ。そのうちに彼女の妊娠は実家にばれて、彼女は連れ戻されたの。その時には、彼女は卒業間近で、卒業式を待つだけだったのにね。


・・・それで、実家に連れ戻された彼女から、私のところに連絡が来たのね。会いたくはなかったけど、お腹の子の事でどうしても聞いてほしいと言われて会いにいったの。彼女の話を聞いて・・・ため息しか出てこなかったわ。


お腹の子はもう堕ろせないから産むことにしたそう。でも、和彦にかなり酷い言葉を言われたそうで、子供を盾に結婚を迫る気はなくなったそうよ。あと、本当は家の事情で大学を卒業したら結婚が決まっていたことも、暴挙に出た原因だったとか。だけど、こんなことになってその話は破談になって、賠償金を請求されているらしいのね。親に迷惑をかけたことが申し訳ない・・・など。


この後は、いろいろあったけど割愛するわね。だって、私には関係ないもの。でも、彼女は結局元婚約者と話し合って、何がどうなったのかわからないけど、子供を実家に置いて嫁いで行ったの。和彦には会っていないそうなのね。


でもさあ、子供がね、可哀そうじゃない。両親ともに見捨てられたら。仕方がないから、和彦を騙して彼女の実家に連れ行って、子供と対面させたのよ。和彦は最初怒っていたけど、子供の姿を見て自分の子だと実感したみたいで・・・。それくらい和彦の小さい時に似ていたらしいのよ。


ここからよね。和彦の私に対する態度が変わったのって。恩義を感じてくれているのはわかるんだけど、今まで以上に過剰なくらいに私に近づこうとする男性を排除しようとするんだもの。


だけど今となっては感謝・・・かな。いずれこっちに戻るつもりだったから、向こうで恋愛をする気は無くなっていたからね。それに和彦の友人たちとじゃ・・・その、学歴がとか・・・ね。引け目を感じるつき合いはしたくなかったもの。まあ、本当は和彦の友人以外で気になる人がいたのよ。


えっ? その人とはどうなったかって? もちろん振られました。というかさ、私、別に告白する気はなかったのよ。仕事を辞めて地元に帰るって言いに行っただけなのに、その人の彼女に暴言を吐かれたのよ。そうしたらね、その男まで一緒になって酷いことを言ってきて。あまりにも自分の見る目がなさ過ぎたと落ち込んだわ。



眠気でだんだん何を言っているのか分からなくなってきた・・・ような気がする。働いていた時のことよね、話しているのは。・・・えーと、ん? 和彦とのことだったかしら? うん?



私が家に戻ってきて克義おじさんとうちとの交流が本格的に始まったの。和彦はよく使いでうちに顔を見せるようになったのよ。一度兄が帰ってきている時に顔を合わせて気まずい思いはしたけど、克義おじさんのことから親戚だったと説明したら微妙な顔をしていたわね。まあ、兄も納得はしてくれたみたいね。はれて和彦はまた我が家に出入りが許可されたのよね。


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