表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/238

152 思い出話は・・・

最初は男子とはそんなに話をしなかったのよ。恭介とは話すことが多かったけど。恭介はクラスでもムードメーカーで、男女の別なく誰にでも話しかけていたの。その中でも1年の時に一緒のクラスだった私と菜穂子には、他の女子より話しやすいのかよく話し掛けてきていたのよ。


千鶴とは2年になってから急に仲良くなったわ。1年の時には少し敬遠されていたのよ。まあ、原因はわかっていたんだけどね。実は部活には兄も入っていたのよ。なんで同じ部活になったのかは、消去法で決めたからよ。私はそれほど運動が得意じゃなかったから、運動部に入るつもりはなかったの。文化部は5つしかなくてその中で一番マシだったのが、美術部だったのね。兄も同じような選び方をしていたみたい。


それで、兄妹で同じ部活だと、どうしても目立つじゃない。同性の兄弟ならまだいいけど、異性の兄弟だといろいろ言われたりしたのよね。それに何故か兄と同じ学年の先輩方に可愛がられたのよ。他の同学年の子には面白くないことよね。


それが一緒のクラスになったら千鶴の態度が変わったの。それに千鶴につられて、智樹と隼人と和彦が、気づくとそばにいるようになったのよ。最初はこの4人はクラスの中でも頭がいいから、それで一緒にいるのだと思っていたわ。


それが違うとわかったのは2学期に入ってから。その頃には華子女史も含めて、気がつくと9人で集まっていることが多くなっていたの。2学期の中間テストの時にテスト勉強の話が出たのよ。その時に兄の勉強法を聞いてきたから変だとは思ったの。


私の兄は小学校の頃から少し人と違ったの。とにかく頭が良かったのよ。学校の先生方からも頼りにされるような人だったわ。えーと、小学校の運動会の時に放送機器の設営に先生方が四苦八苦していたのを、小4の兄が手伝ったそうなのね。小5と小6の時には、兄はクラスの係から外れて、本部にずっと詰めていたの。そうなの。放送機器担当になっていたのよ。兄がそこを離れると、途端にみんな分からなくなって、ワアワアしていたわ。えーと、確か騎馬戦用の曲が流れなくて、出場するはずの兄が呼び戻されて機器のところにいて、騎馬戦に出れなくなってしまったのね。兄は出れなくてラッキーと思ったのだけど、後から他の保護者からクレームが来たそうよ。


中学の時は生徒会の事務局長になったの。小学校もそうだったけど、兄は会長にはなっていなかったのね。会長が務まらないのではなくて、それ以外の事をまとめられるのが、兄しかいないという判断だったそうよ。


それに中学の頃ってテストの順位を張り出さなかった? うちの学校は人数が多いから各学年上位30名までを張り出していたのよ。兄はそれの常連で、20位以下になったことはなかったのよ。


だから、私がその兄の妹だと気がついたみんなが、兄目当てで寄ってきたというわけだったのよ。兄が県下一のトップ校に受かったあとは、本当にみんな目の色を変えて兄の勉強法を知りたがったわ。でも、兄は特別なことはしていなかったの。家での学習は復習が6割予習が4割だったの。復習もその日に習ったものをもう一度読みなおして、理解していないものを重点的に復習していたかな。でも、これって普通よね。


私は中学を卒業をしたら、女子との付き合いはあるだろうけど、男子とはもう会うことはないと思っていたの。それが年に2回は集まっていたのよ。


みんなは全員別々の学校になったのよ。トップ校に入ったのは千鶴だったわね。セカンド高には隼人。サード校に和彦。智樹はトップ校に落ちて私立のトップ校に入ったわ。恭介は5番校で、修二が工業高校。華子女史は女子高の中でのトップ校に入って、菜穂子は私立の女子高。私も私立だったけど、学びたい学科がある高校を選んだの。


本当にみんなと集まる理由がないと思っていたのよ。でも、たまにだからいいかなと思ったりしていたけどね。


だけどね、やっぱり千鶴と、智樹、隼人、和彦は私じゃなくて兄のことが目当てだったのよ。会うたびに、兄がどこの大学を狙っているのかと訊いてくるんだもの。面白くないじゃない。


だから、私は高校を卒業する時にみんなには何も言わずに就職先に行ったの。寮に入ることも伝えなかった。みんながそのことを知ったのは20日以降だったと思うわ。千鶴がうちに電話をして京都の大学に通うことになったと報告をしようとして知ったのよ。母から連絡が来て、私の寮の電話番号を教えたと言われた時にはどうしようかと思ったけどね。


でも、みんなも自分たちのことで忙しかったのか、連絡はなかったの。だけど、年末に家に帰った時に千鶴から連絡が来て、みんなと会うことになって・・・。そこからまた年2回ペースで集まって・・・。もちろん全員じゃなかったわよ。その時に集まれる人だけだったのよ。でも、必ず私の予定に合わせてくれたのよ。あの頃は気を使わせて悪いなと思ったりしたのよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ