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137 結婚式の打ち合わせ 前編 *

結婚式場に浩二さんと浅井さんと来ています。めまいのせいで結納後に打合せが出来なかったのが痛かったです。なんとなくは決まっていても、細かい打合せが出来ていないのは不安になります。


浅井さんが一緒なのは、スライド写真がある程度まとまったので、それを見せにきたのと、披露宴で流す曲のことで聞きたいことがあるとのことでした。


「いらっしゃいませ。麻美さん、大変だったんだって」


顔を合わせたら、丸山さんにそう言われたの。浩二さんが打ち合せの延期で、私のことを話したのよね。


「ええっと、おかげさまで、治りました」

「それならよかったです。まだ式まで日にちはあるけど、年末前にある程度のことは決めてしまわないといけないからね」


丸山さんに微笑んで言われました。


「哲夫さん、先に決めなければいけないことは何ですか」

「浩二、慌てなくても大丈夫だから。前にもどの時期までにこれを決めたほうがいいと話しただろう。そのスケジュールに沿ってだと、まだまだ余裕はあるからな」


そう言って丸山さんは浩二さんに頼もしい笑顔を向けました。


「それで、浅井君のスライド写真が出来たんだって」

「はい。試作品ですけどね。これなんですけど」


そう言って浅井さんはスライドに使う写真をプリントしたものを丸山さんに渡した。


「こんなにあるのか。時間はどれぐらいかかるんだい」

「そうですねえ、今のところ、これ全部を10秒ずつ流すとして12分くらいです」

「それは少し長くないかい」

「やっぱりそうですか。じゃあ、何分くらいが適当ですか」


丸山さんと浅井さんは二人で話しだしてしまったの。浩二さんのことを見たら、肩を竦めるジェスチャーをしてきたのよ。私は目を合わさないようにしながらも、フフッと笑いを返したのね。


「わかりました。じゃあ、もう少し考えてみます。それで、披露宴で使われる曲って持ち込みはありですか」

「もちろん大丈夫だよ」

「それなら、ホイットニーの曲もいいですか」

「ホイットニー? もしかしてボディーガードの」

「それです。あれをお色直しの時の登場で使ったらどうかと思うんですけど」

「・・・それはいいかもしれないな。浩二、お前はどうだ」

「えーと、確かにいいけど、まだ披露宴の流れは決まってないですよね、哲夫さん」

「そういえばそうだった。少し待っていてくれ」


丸山さんは少し離れて戻ってきたときには・・・なんでしょうね、これは。

えーと、何々。披露宴の進行? 入場の横に 仲人 あり なし? 

あっ、ありに丸をつけた。つまり仲人さんと一緒に入場するのか。

祝辞 来賓(  )とな? (  )に名前や役職を入れるのね。浩二さんに丸山さんが誰にお願いするか確認するようにと言っているの。

私のほうは・・・父に聞いたほうがいいかと、丸山さんが頷いていたわ。

それから、乾杯(  )を誰にするに、ケーキカットをやるかどうか?

樽酒?  それからいろいろなオプション?


結婚式って本当に見世物なのね。


「浩二、麻美さん。最低限やったほうがいいのは、ケーキカットとキャンドルサービスだな。そうでないと間が持たないぞ」


この話は新井素子さんの結婚物語にも書いてあったのよ。わかっていますとも、丸山さん。


「あと、最近は両親への手紙を新婦が読み上げるというのも流行っているけど、麻美さんはどうしますか」


って、期待するような目で見ないでください! できればやりたくないんだけど。


「そうそう、両親へ花束贈呈はするんだろ、浩二」

「・・・それもオプションなんですか、哲夫さん」

「まあ、そう言うと身も蓋もないんだけどな。だが、そうだよ」

「やらないのは?」

「最近の流れだと締まらないな。新婦の言葉から花束贈呈。そのあと、新郎の父親が来場者への感謝の言葉を言って終わるのが、定番化してきているからな」


丸山さんが頷きながらそう言った。つまり、最低限はこれをやれば披露宴の形式としては形が整うと。


「ああ、そういえば来週、ご両親と共に両家がくるだろう。そこで結婚式のことを詰めてしまおうな」


結婚式のことを詰めるとは?


「うちは神式と教会に対応しているから、どちらにするかもう一度確認だな。それにそれが決まらないとお色直しのことも決まらないだろう」


えーと、それは?


「別にチャペルで和装も悪くはないけど、普通はドレスで式を挙げることになるだろう。そうすると、お色直しで着物に着替える場合は着付けに時間がとられるからね。その場合、着物は無しでドレスだけ三着選ぶお客様もいたりするんだよ」


はあ~、そうか~。お色直しもいろいろなんだ~。


「神式の場合は式を白無垢で、披露宴は色打掛で入場して、お色直しは白いドレスと色のドレスにする場合もあるからね」

「・・・って、結局四回ですか。着替えるのが!」


私は驚いて声をあげた。そうしたら丸山さんはニヤリと言う感じに笑った。


「いやいや。もっとすごいのがあったよ。お色直しを六回したお客様がいらしたんだ。ただ、これはお勧めできないな。衣装チェンジに時間を取られて、新郎新婦はほとんど会場に居られなかったからね。多くても四回までにしたほうがいいよ」


丸山さんの言葉に思わず浩二さんのことを見た。浩二さんが目線で問いかけてきたから、私は首をぶんぶんと勢いよく振ったのよ。そんな慌ただしいのはごめんだもの。ホッとしたように浩二さんも頷いていたわ。


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