表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/238

129 結納 ー料亭にてー 後編 *

丸山さんがそっと動いて、今度は下平家からの結納返しの目録を、鉄蔵叔父さんに渡しました。鉄蔵叔父さんはそれを父の前に置きました。


「こちらが結納返しでございます。幾久しくお納めください」


父が受け取り目録の中身を確認しました。


「結構な結納返しをいただきありがとうございます。幾久しくお受け致します」


父が向上を述べ、母と私も一緒に頭を下げました。体を戻すと、父が懐から受書を出して、鉄蔵叔父さんに渡しました。


「結納返しの受書でございます。よろしくお願いいたします」


受け取った鉄蔵叔父さんはそれを持ち、泰浩さんの前へ。


「沢木様からの結納返しの受書でございます。どうぞお収めください」

「ありがとうございます」


泰浩さんが確認をしました。


「相違ございません」


泰浩さんの確認の言葉を受けて、鉄蔵叔父さんが姿勢を正しました。


「これにより、滞りなくお二人の婚約が成立いたしました。おめでとうございました」


叔父と叔母が深々と一礼なさいました。お二人が体を上げられるのに合わせて、丸山さんが口を開きました。


「それでは、婚約記念品の交換に移りたいと思います。浩二様、これを」


丸山さんは婚約指輪が入った桐の箱を浩二さんのそばに持ってきました。浩二さんは受け取ると私のそばに来て座り、箱を開けました。桐の箱の中にはよくあるジュエリーを入れる箱が入っていました。その箱をパカッと開けて、浩二さんは指輪を取り出しました。そっと私の左手の薬指にその指輪を通します。指輪が指に収まったところで、みんなに見えるように手を掲げました。みんなが頷いていました。


「続いてこちらが麻美様より浩二様への記念品になります」


丸山さんが腕時計の箱を持ってきました。私は箱を開けると腕時計を取り出しました。それを浩二さんの腕に通したのだけど、うまく止めることが出来なかったの。浩二さんが手を貸してくれて、止めることが出来たのよ。


記念品の交換が終わり浩二さんが席に戻りました。


「お仲人様、誠にありがとうございました。沢木様におかれましては幾久しくよろしくお願いいたします」

「こちらこそどうぞよろしくお願い致します」


泰浩さんが挨拶をして、父が同じように返しました。


丸山さんが下座の真ん中に移動しました。


「本日は誠におめでとうございます。下平家、沢木家の婚約が相調いましたことを、喜びを持って立ち会わせていただきました。これから結婚に向けて、本格的にご準備をなされることになります。私もお手伝いさせていただきますので、何なりとお聞きください。これにて結納の儀は終了となります。こののち部屋を移動しまして会食となりますので、今しばらくこちらの部屋にてお寛ぎください」


待つ間に写真を泰一さんに撮っていただきました。もちろん泰一さんは結納の間にも写真を撮っていましたけどね。


両親と叔父さんたちが話しだしました。待つ間に結婚式のことなどを少し話すみたいです。

そっと近寄ってきた浩二さんが耳打ちするように言いました。


「今日の麻美はとても綺麗だよ」

「ありがとう、浩二さん」


改めて言われると照れてしまいます。なので少しおどけることにしました。


「着物がでしょ」

「着物じゃなくて、着物を着ている麻美がだよ」


真面目に返されて私は何も言えなくなって俯いてしまいました。


部屋の支度が出来たというので、移動して私たちは会食です。泰一さんはいなくて、聞いたら家に戻られたそうです。


父、泰浩さん、鉄蔵叔父さん、浩二さん、丸山さんは仲良くお酒を飲んでいます。母、博美さん、静江叔母さん、私はお酒は飲まないので、4人でウーロン茶を飲みながら話をしていました。


デザートが出てきた頃には、浩二さん以外の男の人たちは飲みすぎた状態でした。それぞれの奥さんに怒られています。丸山さんも奥さんに迎えを頼んでいたので、来た奥さん、亮子さんに怒られていたんです。この後、まだ仕事に戻るはずだとか・・・。


タクシーを頼んで家に戻ろうと思ったら、私たちを送ってやれと、泰一さんに博美さんが言いました。泰浩さんと博美さんは涼子さんが送ってくれることになりました。


泰一さんの車はバンでした。浩二さんが助手席に乗り、私達は父と私が後部座席に座り、真ん中に叔父、叔母、母が座ったのです。


叔父の家はうちから車で5分くらいの所です。そちらに先により叔父たちを降ろしてから、うちへと向かいました。うちに着き、結納返しを持って家の中に入ります。


父は浩二さんと泰一さんに寄って行けと言ったけど、二人はすぐに帰っていきました。


私は着物を脱いで楽な服に着替えました。そうしている間に祖母も戻ってきて、私達はお茶を飲んでくつろいだのでした。


その夜、浩二さんから電話がありました。来週の土曜日の夜に浩二さんの友達が飲もうと誘ってきたそうです。今回はこちらのほうのお店で飲むそうな。うまい焼き鳥のお店だそうです。そういった店にはいったことはないので、今から楽しみです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ