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118 私の友人たちは容赦がない! 前編

翌週の8月の1週目の土曜日です。花火大会から1週間後です。先週は行きはよいよい帰りは恐いを体験しました。足袋の時には平気なのに素足に鼻緒が悪かったのかな? 家に帰って足を見たら・・・擦れていました。地味に痛い。


それに人で遊ぶな~。バカ~。耳が弱いのを知っているから耳責めされたし、浴衣の襟がとか言って首筋を触るな、撫でるな、息を吹きかけるな~!


な~にが着替えを手伝うだ~! 浴衣の帯を解くな~! どこぞのコントみたいになるわけないだろう! 手当をしてくれたのはいいけど、なんでお風呂を一緒になんて言うのよ! 父さんも父さんよ! 片付くから一緒に入れはないでしょう!


・・・こほん。私は何も言ってない。言ってません!


ああ、そうだった。この話もしておかないと。花火大会の日に浩二さんと話したことで、新居をどうするかというのがあったのよ。うちの両親は最初は近くにアパートを借りてくれていいと言っていたのだけど、浩二さんが最初から同居でいいと言ってくれたのね。だから、うちの二階に二人で住むことになりました。


二階には二部屋あって、片方は私の趣味部屋と化しているの。もう片方は何も置いてない。押し入れに布団を入れてあるだけ。なので、こちらの部屋が新居に決定しました。


この夜の話で浩二さんの婿入り道具(笑)にオーディオセットが決定したのよ。ほかはまた追い追いね。


そうそう、仲人を誰に頼むのかも決定したわ。父の弟の鉄蔵叔父さんにお願いすることになりました。花火の翌日に叔父の家に行ってお願いしてきたの。父から先にお願いされていたこともあり、快く受けていただけたのよ。



さて、待ち合わせ場所に集まったのは、私を含めて8人だった。集まった顔ぶれを見まして、智樹が言った。


「和彦は少し遅れるって言ってたから、先に店に行こうぜ」


その言葉にみんなしてぞろぞろと移動する。待ち合わせに遅れたことがない和彦が遅れているのが珍しくて、私はそれを口にした。


「珍しいよね、和君が遅れるなんて」

「そうだね~」


菜穂子が軽く相槌を返してきた。


「でもさあ、渡辺君のことだからそんなに遅くならないでしょ」

「そうそう。麻美が気にすることないから。ほっときゃいいのよ、あんな奴」


千鶴が会話に加わってきた。そして話を変えるように話題を振ってきた。


「それより、あのニュースみた。不倫疑惑の」

「あ~、それってアイドルの子と大物芸能人のあれ」

「そうそう。名前出さないでMとIってしてるけど、わかるわよね」

「そうだよ~。週刊誌も目を隠しただけのわかりやすい写真を載せちゃってたよね」

「あ~、ワイドショーでやってたのをみたわ~」


と、女子特有の噂話に乗せられた私でした。この時もう少しよ~く考えておけばよかったと、あとで後悔したのよ。


お店に入ってまずは乾杯のためにビールを頼んだの。夏は生が一番よね。料理も適当に頼んで乾杯をしておしゃべりを始めたの。そうしたら・・・。


「あれ、麻美。今日は指輪してこなかったんだ」


さり気なく菜穂子に聞かれて、私は左手を軽く握った。そういえば、みんなには山本さんと別れたことも、浩二さんと結婚することも告げていなかったと思い出した。


千鶴のことを見ると顎をしゃくるようにしたから、千鶴からはみんなに話してないようだ。


「えーとね、その、前の彼とは別れたの」

『別れた~!』


私の言葉に菜穂子と恭介と修二が声を上げた。他のみんなも驚いた顔をしている。


「どうして?」

「何があったんだ?」

「じゃあ、麻美って今はフリー?」


千鶴は本当に話していなかったんだと思って千鶴のことを見たら、千鶴は料理を食べていてこちらを向こうとしなかった。


「待って。今、麻美は前の彼って言わなかった。ということは、今は他の彼がいるということよね」


華子女史が鋭く追及をしてきた。私はみんなと視線を合わせないように、料理のほうに視線を向けて答えたの。


「まあ、そうなんだけど・・・」

「なによう~、歯切れがわるいな~。はっきり言いなさいよ」


菜穂子が詰め寄るように訊いてきた。


「えーとね・・・」


何と言おうかと言い淀んだ時に、男の人の声が聞こえてきた。


「そりゃあ、言いにくいよな。彼氏どころか婚約者がいるなんてな」

『婚約者~!』


また、菜穂子と恭介と修二だけでなく智樹まで声が重なった。私は声の主の和彦を振り仰いで声を上げた。


「和彦~! なんで浩二さんを連れてくるのよ~!」


立ち上がって和彦の胸倉を掴む。そして小声で言った。


「あんた、どうやって浩二さんを連れ出したのよ」

「言っただろう。麻美が嫌だって言っても誘い出すって。それに来るって言ったのは浩二さんだぞ」

「麻美、俺も了承しているから、和彦君を責めないでくれ」


浩二さんに宥めるように言われて、掴んでいた手を離した。いつの間に浩二さんと和彦は、名前を呼び合うくらいの仲良くなったのだろうか。


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