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101 楽しい飲み会?

リビングに戻った私は、有吉さんに田川さんの隣に座らされた。待っていたように田川さんが訊いてきたの。


「沢木さん、次は何を飲むの? お姉さんが作ってあげるわよ」

「あっ、ありがとうございます。そうですね~、これって割るためのシロップみたいなものですか」

「ええっと、違うわよ。リキュール類って書いてあるわ」

「ん~と、あっ、ここに炭酸で割るとヴァイオレットフィズになるって書いてありますね」

「じゃあ、そうしましょうか。・・・はい、どうぞ」

「ありがとうございます。いただきま~す。・・・あっ、おいしい」

「沢木さんはいける口なんだな」

「あっ、それなんですけど・・・」


私はこの後のお酒をどういう風に飲みたいのかを、皆さんに話した。少し驚かれたけど、理由を言ったら皆さんはわかってくれたのよ。なので、田川さんがこの後の私が飲むお酒を、用意すると約束してくれたのよね。


浩二さんが戻ってくるまでにもう1こちらはオレンジフィズを飲んだの。3杯目のコークハイを一口飲んだところで、隣に来た浩二さんに取り上げられてしまったわ。


「麻美、もう飲むのをやめような」

「やだ。もう少し飲むの」

「駄目だ。かなり酔っているだろう」


コップを取り返そうとしたら、浩二さんは私から離れたところに置いてしまったの。


「なんで~? まだ時間も早い(夕方の5時頃)し、飲んだっていいでしょ」

「だからだよ。まだまだ時間はあるんだから、少し休憩してまた後から飲めばいいじゃないか」


お酒を取り上げられた私は軽く頬を膨らませて「つまらない」と呟いた。


「下平、もう少し沢木さんに飲ませてやればいいだろう」

「そうだよ。沢木さんは楽しんでいるんだから」

「楽しみを取ったら駄目だろう」


浩二さんはみんなに責めるように言われて、顔をしかめていた。有吉さんがコップを取ってくれて、田川さん経由で渡してくれた。


「はい、沢木さん。どうぞ」

「ありがとうございます」


ニッコリ笑って受け取ったら、なぜか田川さんが嬉しそうに頬を染めた。


「いいな~、沢木ちゃん。こんな子を妹に欲しい。うちの妹なんて、生意気で可愛くないのよ。沢木ちゃんとトレードできないかしら」

「結花。ないものねだりを言ったってしょうがないだろう」

「でもね、こんな風にお礼を言ってくれる子なら、妹に欲しくなってもいいでしょう」


浩二さんは何も言わなかったけど、咎めるように見てくるから、私は舐めるようにちびりちびりと飲んでいた。そうしたら田川さんが私の方を振り向いて言った。


「ねえ、麻美ちゃんって呼んでいい?」

「あっ、はい」


瞬きを2回してから、軽く首を傾げてそう答えたら「キャー、かわいい~! 私のことは結花お姉ちゃんと呼んでね」と抱きしめられた。


その後話しをしながら、お菓子や料理を勧められることになった。というのも、結花さんがなぜかスティック状のお菓子を目の前でちらつかせてくれたから、それにパクリと食いついたのよ。そうしたら、これもあれもと私に食べさせようとしたの。


どこかで見た光景だなと思いながら、気まぐれにパクついていたら、浅井さんがピザを持って現われたの。


「お待たせ~って、何してるの、田川は」

「だって麻美ちゃんが可愛いから」

「隣で有吉と下平が睨んでいるぞ」

「あら、いいじゃない。いつもは女は私一人だけなのよ。同性同士仲良くしてもいいでしょ」


結花さんと浅井さんの軽口に「ん?」と、首を捻る。その私の様子に浩二さんが答えてくれた。


「麻美、田川も同じ高校だったんだ」

「ええっ! そこからずっとつき合っているんですか」


そう聞いたら、なぜか気まずそうな顔をする有吉さん。


「ふふっ。違うわよ。実はね、高校の時から5年つき合ったけど一度別れたのよ。それが去年再会して焼けぼっくいにね~」


結花さんが楽しそうに話してくれた。有吉さんは目を合わさないようにそっぽを向いていた。


「そうそう。有吉ってば嫉妬から勘違いして、田川を怒らせてさ~。別れた後落ち込んでたんだよな。そのあと、新しい彼女を作らないくらい好きだってのにさ。同窓会を開かなかったらどうなってたんだろうな~」


揶揄うように浅井さんが言ったけど、これって浅井さんが幹事になって同窓会を開いたってことじゃないのかな。


こんな感じに浩二さん達の高校時代の話を教えて貰いながら、私はお酒を飲んでいった。


話しの中で面白かったのは、高校時代の浩二さんの話だった。今は見るからに真面目な感じの浩二さんは、高校の時には髪型をリーゼントにしていたそうなの。バスケの試合の時にはリーゼントに見えない形にしていたとか。


浅井さんがアルバムを持ってきてくれて、私に見せてくれようとしたら、浩二さんがそれを止めようとしたのよ。そうしたら、有吉さんと藤ヶ谷さんと新屋さんに浩二さんは抑え込まれてしまったのね。なので、私はゆっくりとアルバムを見せて貰ったわ。


浩二さんは姿はそんなだったけど、成績はよかったそうなの。あと校風が自由で、この髪型で指導を受けたことはなかったとか。学ランに手を加えなかっのも大きかったよう。私が通った学校はそういうところはうるさかったから、浩二さん達がうらやましいと思ったのよね。


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