第一章 異世界遭難 第3話「弱肉強食の世界、食べられないものは…」
ヒーローがいつも呼ぶロボット、無人にもかかわらず目的地に必ず来るほどの高性能です。
しかし、中にはきちんと意思を持っているものもいるようです。正直な話、意思があるなら乗らずに勝手に戦ってもらえばいいのにといつも思っていましたが、逆に乗る理由を考えると実は乾電池のような役目なのではないかと最近怖い考えに至ってしまい少し昔の戦隊ものを見直してみようと思いました。
ツクモンたちのカードを拾った後、いろいろと試してみたがわかったことは、
・別のツクモンを呼び出すためには、先に出ているツクモンを格納しなければいけない。
・格納するには、『格納』と念じれば仲間にするときと同じようにメッセージが表示され、『はい』と念じるとカード化する。
・出すときには、『出撃』と念じればカードから元の姿に戻る。(『召喚』とか、『出ろ』とかいろいろ試して呼び出すのに1時間くらいかかった。正直少し泣きそうだった。)
・カード化中は、時間が経過しない。
・カードは何をやっても傷一つ付かない。(小さいけど最強の盾だ。)
そして、俺自身の状態は、
・通信できない。
・変身できる。
・変身中の武器(タイガークロー[固有武器]、マナシューター[精霊の力が宿る銃])
・所持品(通学用リュック[コッペパン:いちごジャムマーガリン、ペットボトル:スポーツドリンク、勉強道具、ジャージ、ハンカチ?、ティッシュ]、カード6枚)
後は、精霊機獣が呼べるかを試すだけだ。来てくれないとたぶんこの世界は生き抜ける気がしない。
上空にいたデカいのはきっと、ドラゴンというやつだと思う。ジャンボ機ぐらいの大きさがあった。遭遇したら勝ち目などなさそうだし、どうか来てくれ!
「機獣召喚!」
空中に魔法陣に似た模様が出現して、中から機獣『精虎王』が出現した。出現した機獣は昔の映画のオープニングに出てきたライオンのように一度、咆哮した。
「機獣召喚ができて良かったよ。これでその辺の敵に殺されることはなさそうだな。」
『ご主人様がいてくれてよかったです。』
ツクモンが安全が約束されたことに安堵したのがわかる。俺も正直この世界で機獣なしで生き残れる気がしなかったし、これで移動の手段も確保できたし、一安心だな。
しかし、そんなことを思った瞬間。
『ズガァァァーーーーーーン!!!』
目の前にいた精虎王の頭が地面にめり込んでいた。めり込んだ頭の上には精虎王の3倍ほどの大きさのドラゴンの足が乗っており、精虎王は動こうとしているようだが全く動くことができない様子だ。
一方で俺とツクモンは一瞬で木の陰に隠れていた。
「(なんだ!!あれ!!あんなのがうじゃうじゃいるのか?最悪だ!)」
『(さっきまで上にいたやつじゃないですか!?機獣の3倍はありましたよ!!)』
「(まずいぞ!見つかったら確実に死ぬ!!声出すなよ!!)」
『(・・・・・・)』
俺とツクモンは、息を潜めた恐怖が去ることだけを願いながら・・・。
『がきっ!がっ、がっ、がきっ!・・・っ、ぺっ!』
『ぶっぁ!ばぁさっ・・・。』
音が止んだ。恐る恐る除くとそこにはメカなのにピクピクしている精虎王の姿だけがあった。よく見ると、精虎王の体には歯形らしきものがあちこちにあり、顔辺りには粘り気のあるタンみたいなものがついていた。
「だ、大丈夫か?精虎王・・・。」
精虎王が声に反応して生まれたての小鹿のようにプルプルと震えながら立ちあがったかと思うと、来た時と同じ魔法陣のようなものが現れて無言でふらふらとそこに向かって歩いて行った。
「あ、あの・・・。」
帰っていく精虎王に何も言えなかった。さすがにこれ以上何か頼める空気ではなかった。
主人公 次野 日乃
性 別 男
年 齢 18
職 業 ヒーロー(イエロータイガー)、高校生
ジョブ テイマーLv.1(7)
パッシブスキル 精霊視、野生の感
アクティブスキル 機獣召喚、精霊変身
装 備 変身ブレス、私服、靴
持ち物 リュックサック(コッペパン:いちごジャムマーガリン、ペットボトル:スポーツドリンク、勉強道具、ジャージ、ハンカチ?、ティッシュ)、テイムカード(6枚)