表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

第一章 異世界遭難 第10話「幹部の強さ」

 ヒーローものによくあるニセモノを見ると、昔は色が違ったり、髪型が違ったり、傷が有ったり無かったり、性格が違うなどとわかりやすい特徴もあったのですが、最近の偽者は少し見ただけではわからない上に特殊な状況下での行動がわずかに違うとか、特別な道具がないとわからないとか難度が上がってきています。


 ヒーローは、常に新しい切り口で迫ってくる敵にいろいろな対処法を見つけていくのでしょうが、時折、何となくという力業で乗り切っているのを見ると、考えるの面倒になるときがあるのはヒーローも同じだよなぁと共感してしまうこともあります。

 とにかく、考えよう。この痴女は、麗さんの顔をしてはいるが別人だ。そして、自分のことをクイーン・ランジェリーナと名乗った。とりあえず、クイーン・ランジェリーナで確認してみよう。


『女幹部クイーン・ランジェリーナ』

[王族(女性)の下着、ヒロインの下着(条件達成済み)、貴族(女性)の勝負下着(条件未達成)]


 まさかの女幹部かよ!ヒロインの下着(条件達成済み)がどうやら、キーアイテムらしいけど、条件が気になる。そう思った時に、


『日乃様、危ない!!出でよ、アイアンメイデン!!!』


 突然の『クイーン・ランジェリーナ』の声に驚いて後ろを向くと先ほどのアリが手の届きそうな距離で噛みつこうとしていた。


「うおっ!」


 驚いて声を上げた瞬間、アリの顎の下辺りの地面を突き破って胸を隠すように腕を交差した鋼鉄の女神像が、飛び出してアリの顎にアッパーさながらの頭突きを叩き込んだ。アリはアーチを描いて後ろにひっくり返った。鋼鉄の女神は手を下におろして両手を少し広げるようにした。ちなみに俺の位置からは、後ろ姿しか見えない。かろうじて分かるのは、下着の代わりにT字の金属の貞操帯らしきものを身に着けていることぐらいだ。『クイーン・ランジェリーナ』が叫ぶ。


『受けなさい女神の慈悲、メイデンフラッシャー!!!』


 そして、何やら鋼鉄の女神像の下腹部辺りが少し光ると、次の瞬間強烈な光が女神像の前方に放射状に放たれた。直後、放射状に5m位が消滅した。当然、アリも消滅した。驚くことに、後ろの方に体が半分のアリと、腹部分だけのアリの死体があった。どうやらアリは、最低でも3匹はいたらしい。


「・・・。」

『大丈夫!怪我はない!日乃様!!』

「あぁ、大丈夫。と、いうか。今の何?」

『よかったぁ~。大切な体に傷でもついたら大変です!この少年特有の質感が至高なんだから!』

「・・・・・・。それより、今の何!」


 おかしなことを言う『クイーン・ランジェリーナ』の言葉はとりあえず、スルーして再度、先ほどのことを聞く。


『私の下着コレクションの一つ、貞操帯『アイアンメイデン』です!日乃様はああいったものの方がお好みですか!?』

「いや、そうじゃなくて・・・。」


 何を勘違いしたのか、俺がそういう趣味の人みたいに言うのはやめてくれ。


「あの攻撃について聞いてるんだが。」

『あれは、もてない男どもに死ぬ前にせめてもの慈悲にと、貞操帯を外すことで一瞬だけ乙女の生まれたままの姿を拝ませてあげつつ、あの世へと送るアイアンメイデンの技の一つです。まぁ、アリにはあまり意味はありませんでしたけど。』

「そういう説明じゃなくて、威力の方だよ!」


 別に、目の前で変態行為が行われた説明など求めていない。それよりも、こんな攻撃を敵の幹部連中が今まで使っていたら、俺たちはとっくに全滅している。麗さんたちが心配になる。


『そうですねぇ。少々、やり過ぎだったかもしれませんね。アリ程度なら素手でも十分だったかもしれないですし、でも日乃様とアリの距離を考えると間に合わなかったかもしれないし、安全を考えたらやっぱりあれくらいはしておいた方がいいです!!』


 今の話から、素手でもすでにヒーローより強いことが判明した。幹部の強さはヤバい。


「幹部はみんなそんなに強いのか?」

『幹部にも最下級から最上級、他にもユニークなんかの変わり種もいてピンキリですよ。ちなみに、私は上級ユニーク種ですよ!』

「そうか、じゃあ向こうの世界の幹部たちはどのくらいの強さなんだ?」


 敵幹部が強いと感じることはあっても強すぎると感じたことはなかったから、下な気がするが・・・。


『ユニークが一人と後は最下級だけでしたよ。ユニークは、いつも巨大化させに来てたやつですよ。』

「あのデブ、ユニークなのか。あれくらいなら、大丈夫か。」


 少し安心したよ。どちらにしても、戻れないうちはどうしようもない。仮に戻れても、今の俺にはどうすることもできそうにないが、あの程度ならレッドとゴールドで何とかするだろう。


『日乃様は、やっぱり優しいですね。自分の方が大変なのに仲間の心配をしてるんですから。』


 優しい目をしながら、『クイーン・ランジェリーナ』は言ってきた。少しドキッとした。麗さんの顔でそういうこと言われると違うとわかっていてもドキドキするから。


「ゴールドはともかく。他のみんなは一緒に暮らしてる大切な家族だからな!」

『日乃様のそういうとこ、大好きですよ。』

「・・・!そういうの、いいから!それより、さっきの続きを・・・!」


 そういって笑顔を向けられ、またも、ドキッとし少し顔が赤くなっているのを感じたが、なんとか気を取り直して、さっきの続きのアイテムの確認を再開する。しかし、表示された内容は、


【思いを込めた行為時に身に着けられていたヒロインの下着】[女幹部クイーン・ランジェリーナ90%、女幹部ランジェリーナ5%、パンツモン3%、亜人系モンスター(女性)2%]


 「・・・、ぶっ!!」


 鼻血が舞う。目の前に麗さんの顔があるせいもあり、鮮明にイメージしてしまった光景に俺は耐え切れずに鼻血を勢いよく噴出した。急に大量の血を失った為か薄れ逝く意識の中、一つのことが頭をよぎった。


『麗さん、いったい誰をオカズに・・・。』


そして、俺の意識は闇の中に沈んでいった。

    主人公    次野 日乃

    性 別    男

    年 齢    18

    職 業    ヒーロー(イエロータイガー)、高校生

    ジョブ    テイマーLv.2(7)

 パッシブスキル  精霊視、野生の感、多重出撃Lv.1

  アクティブスキル 機獣召喚、精霊変身

    装 備    変身ブレス、私服、靴

    持ち物    ペットボトル:スポーツドリンク(飲みかけ)、リュックサック(勉強道具、ジャージ、ティッシュ)、テイムカード(6枚)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ