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トマコと帝国の魔法使い  作者: ちくわ犬
三章

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初恋とチョコレート1

お久しぶりです。

……久しぶり過ぎて辻褄あってるのか不安ですが、よろしくお願いします(なにが!???)

「むふむふふ~~。」


トマコの顔が最高にゆるみきっている。だって今日はロマとのお菓子作り研究会の日だ。先だってシドからせしめたチョコレートもどきをロマと研究することになった。モチロンこのことはウルフにも話は通っているのでなんと、開発費という名のお小遣いももらっている。


何気にお金と一緒に貰ったスカイブルーの革財布が可愛いくてトマコはベッドの上でゴロゴロしながら財布を眺めた。なんとウルフが選んだらしいそれはトマコの頭文字が左下に刺繍してある。装飾はそれだけなのだがそれが好ましい。


「ウルフ様、趣味いいなあ。」


これがモリスンだったら、ヒラヒラのこてこてのロココでピンクで花柄だったに違いない。男装させといて何だって言うんだといつも思うトマコ。間違いなくそんな財布が来たならばレースやフリルをもいでしまいそうな自分がいる。


「さ、時間だ時間!!」


約束の時間より少し早いが、時間前行動だ!珍しく鏡を見て髪を撫でつけたトマコは馬車で送ってもらおうと部屋を出た。





「トマコ様」




出たな、宿敵モリスンめ!となんだかわからないがそう言いたいトマコは言葉を飲み込んだ。馬車の座席には先客がいたのだ。


「あれ?」


「お菓子のお勉強会はウルフ様からのお願いもあって、--ホントに貴方のことをウルフ様がどれだけ思って心砕かれ、このお勉強会をお許しになっていると思っているのです。貴方はもっと寛大なウルフ様に感謝せねばなりませんよ?」


「それはそうと、ヘレナがどうしているの?もしかして一緒に行ってくれるの??」


「私がお呼びしたのです!!トマコ様はどうしてそんなに無頓着なのでしょうね??あなたはウルフ様のご婚約者なのですよ!?それが、その道のプロといえども殿方とお勉強会など!変な噂が立ってからでは遅いのです!今日からはヘレナ様にもご協力いただきますからね!!」


トマコにとっては何を今更言っているのだ、である。どこに行ったって、男男男……むさくるしくて敵わない。唯一の癒しはヘレナだけだし、ヘレナと食べるごはんだけだった。(……もちろんアランもいる。) だいたい、ロマ先輩と二人きりだあ??そもそも見張っていないといけない(?)モリスンが甘い匂いが苦手とか言って退室しているのが悪いのではないか。職務怠慢である。


「習い事はいいの??」


トマコが息巻くモリスンを無視してヘレナに問いかける。小枝を揺らすような声だがトマコには伝わるようだ。


「そっか。ごめんね変更させて。でもヘレナが来てくれたらうれしいよ!ロマ先輩はいい人だし!紳士だし!優しいし!」


……なんてたって初めてこの世界でトマコを女の子扱いしてくれる稀有な存在なのだ。えっへん、と得意げにヘレナに教えてあげるトマコ。その言葉にヘレナが顔を上げて笑った。笑うと可愛いんだよなぁ~とトマコ。前は俯いてばかりでまともに顔も見たことなかったが、その実、ヘレナの顔はとても可愛い。前髪をもう2センチ切ってしまえば、間違いなく美少女だ。少なくともトマコにとっては。


「ゴホン!!」


他の男を褒めさせてなるものかとモリスンがわざとらしい咳ばらいをするが無視無視。ウルフがトマコを女として扱う日なんてのは永遠に来ないのだから。





*********




「え、あ、そう!??あ……!!」




ガラガラがっしゃん……



お友達のヘレナです。ちょっと……いやめちゃくちゃ声は小さいけどお友達です。そう、ヘレナをロマに紹介してからロマはこんな調子だ。ものすごく、ものすごく嫌な予感がするぞ、トマコ。


「え、と。先輩?」


「あ、いや、その……僕は、お、お、お、男兄弟の中で育ったもので、その、ほら、女の子になれてないので、……き、ききん緊張してしまうんです……。」


暗にトマコは何だというのだ。いやいや、……皆まで言うな。しかしトマコはこういうことにはコトサラ疎かった。


「はあ。」


変なの。としか思わない。ヘレナは気を利かせてエプロンも持参していた。白いフリルは女の子の理想だ。全体根暗の印象な彼女だがここ最近、いや、トマコとつるんでからは明らかに表情が豊かになった。で、白いエプロンはヘレナの白い顔をまばゆくさせ、三角巾でいつもは隠されている輪郭がはっきりと浮き出ていた。正直、可愛い。学園の女子に埋もれていたら普通レベルでも今、比べられるのはボーイッシュな婚約者有りの筋肉ダルマ……かろうじて女子しかいない。……圧勝だ。


「先輩、ヘレナのお家はお薬もよく扱うから混ぜるのとか得意なんだって。」


ニコニコと先輩にくるっくーと伝書鳩だが先輩の目はずっと泳いでいた。少しそんな様子も続いていたが、チョコレートの試作となるとロマは別人のようになった。


「ふうん。トマちゃんの故郷では木の実を使っていたんだね……。」


「うん。近い感じのほろ苦いのないかなぁ。」


「え!?お薬で似たのがある!?……うんうん、へえ、その国の喉の薬なんだ。先輩、シドお兄ちゃんに貰ったお菓子の国の喉の薬が似てるって。」


「そ、そうなの!?ヘレナさん!詳しく教えて!」


ロマはヘレナの声を聞こうとしてヘレナに耳をガバリと近づけた。ヘレナは突然のことで体を大いにそらせてしまった。


「あ……ご、ごめん、お菓子のこととなると夢中になってしまって。」


真っ赤になったヘレナは大丈夫だと手や首を振った。


「「くすっ」」


少しの間ロマとヘレナが見つめ合って笑った。それはほんの一瞬のことで、トマコは気付いていなかった。





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