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トマコと帝国の魔法使い  作者: ちくわ犬
三章

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利害の一致と兄妹と7


そんなこんなで3人の活躍によってシドの私物は以降、取られることは無かった。



が、



三人は今、テーブル横で正座させられていた。




「で、これは、誰が思いついて誰が実行したんですかね!?」


ニコニコと笑ってそれを言うシドは氷河の王子で魔王で氷づけの鬼……つまり、場を凍らせてしまうほど恐ろしかった。


「確かに、私物がなくなるのは困りますけどね……。こんな……人格疑われるような……。」


シドの腕がプルプル震えながらノート、ペンケース、教科書、消しゴムに至るまで丁寧に三人の目の前に置かれていった。


「ぼ、僕は止めたんです!」


「アランの裏切者!!もっと細かく書くって言ったのアランだからね!」


「それは!トマコがでかでか遠慮なしに書くからだろ!細かかったら模様に見えなくもない!」


「模様に見えるわけないだろ!」


いきなりのシドの怒声にひっとなる三人。そう、最後のはシドの怒りの声。コエ~。


ヘレナが教えてくれたのは特殊な魔法の木の汁でちょっとした呪いの言葉を「これを持ち主でないものが長く持つとお腹が痛くなる」と書くとその通りになるというもの。で、書いた文字がでかくないと警告にならんとでかでか書いたのがトマコで。ちなみに「シド以外はおならが止まらなくなる」。それを見たアランが小さくたくさん書いて模様みたいにしないと恥ずかしいだろと帯状に書いたのが「持ち主以外はイヌの糞を踏む」で、こそこそ書いていたヘレナは「持ち主以外が長時間触ると鳥の糞がかかる」である。ちなみにヘレナは二人に捻りがないとぼやかれている。


それは誰がどう見たって、シドに対する質の悪いいたずらだろう。久しぶりに教室に入ってこれらを見なくてはならなかったシドのダメージったらない。クラスメートも気の毒に思ったのか普段は声をかけずらいシドに「い、妹さんが持って行ってたよ……。」とリークしてくれた。


「これは、効果を調べないといけませんねえ。」


シドがにっこり笑ったままトマコの手を引っ張る。


「ひ-っ!!!それだけはお許しを!!」


「私はクラス中にこの私物を見られて、笑いものになってますがね!?」


涙目のトマコ。しかし、トマコがシドの為にと頑張ったのも本当だし。鍛えているだけに力強く拒否するトマコの手を放すと、シドは一度目を閉じて怒りを逃がすようにふーっと息を吐いた。


「今日中に三人でこれらにカバーをつけなさい。文字がみえないように、です。」


「シド様!!弁償しますから!!今から購買部で新品を揃えてきます!!」


アランのその声でシドのブリザードはきつくなる。


「わたしは、これらの道具を、丁寧に扱っています。買えばなんでも済むという……その根性が気にいらない!!」


ガラガラドッシャーン。落ちる雷。

ララジュールである彼の性質からしても物を大事にしないのはアウトである。埃がかぶるのはいくらでもセーフだとしても。


「さっさと始めなさい!!」


「「「解りました!」」」


怒りのシドに見守られながら三人は自分の書いた物のカバーもしくは文字隠しを行った。いきなり正座から立って悶えながらテーブルに着く。その必死で情けない3人の様子にシドも怒りが収まり、笑ってしまいそうになったがそこは必死に怒っている風体を保った。


その夜、トマコは収まらないガスの連発に恥ずかしさに悶えながら部屋に閉じこもり、アランは次の日きっちり犬の糞を踏んだ。きちんと条件を書いたヘレナだけは無事だったが二人にズルいとブーブー言われたのがバツだったかもしれない。


きっちりとカバーがかけられた私物はシドの手にある。「馬鹿としか言いようがない」としかシドも零すしかないが、誰かが自分の事を心配してやったことだと思えばほんの少しだけ許せるような気がした。


「まったく、いつも私を助けようとするんですね、トマコは。」


魔法省に来た時も…。術で苦しんでいた時も…。的外れなことであったとしても今回も。


自室でふっと笑ったシドの顔は年相応の表情だったに違いなかった。



ひとまず休憩です。

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