利害の一致と兄妹と6
鳥の糞を頭につけて憤慨しながら来ていた筈のクラメスラードがヘレナの顔を見た途端ご機嫌になった。……不気味としか言いようがない。トマコはその場から早く立ち去りたくてシドのロッカーをあさったが望みのものは出てこない。
「おかしいなぁ。」
「天使様のものをお探しで?」
さっきまでプリプリしていたくせに猫なで声のクラメスラードはキショイ。返事はしたくないがねちっこくみられるのも嫌なのでトマコはイヤイヤ答えた。てか、天使様、ヤメロや。
「マナーの教本と歴史のノートが見当たらない。まあ、いいや。シドお兄ちゃんに言えばどこにあっても手元に戻ってくるから。」
トマコの言葉を聞いてクラメスラードがなぜか青くなった。クラメスラードの顔を見て、トマコは思い当たった。あれだ、私のおやつを食べちゃったときの久兄の顔だ。こいつ、まさか盗ったんじゃね?とピーコーンなトマコ。
「あでも、時々下駄箱にも置いてるからそっちにあるかも。」
そんなとこに置くわけないだろ、バーカ。で、あるがここは我慢。関わらないのが一番。とトマコはすました顔でそう言ってから、ナメクジのように遅いスピードであっちこっちで道草食いながらシドの下駄箱に向かった。
「あいつ、許さない!」
そこにはシドのノートと教本、他にも消しゴムやらペンやらとこまごましたものも返却されていた。
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シドのことなんだし、関わらないほうがいいのはトマコにも薄々わかっていた。でも、人のものを盗るなんて許せない。ファンってのはもっと健全なものじゃないといかん。で、事の起こりをアランにも話してヘレナと3人でどうにかできないもんかと相談した。
「ヘレナの方がスワン家には詳しいんじゃないの?ヘレナも呪術師の家の出なんだから。」
アランがそんなこと言う。
「じゅじゅつし?」
「まさに呪いとか、呪文とか、扱うのに得意な家系なんだよ、ヘレナは。ま、スワン家は末端の落ちこぼれでヘレナは本家のサラブレッドってことだろ?」
「へー。」
「ちょっと、僕の家だってちょっとした家なんだよ?」
「へー。」
「……まあ、いいよ。トマコに言ったって無駄だ。アーキンス家もカドーレ家も凄すぎて他の家なんて霞むさ。」
「へー。……!!いひゃい!いひゃい!」
へーしか返事できないトマコにアランは力の限り頬を両方からひっぱった。
「マジ、わかってんの!?」
いや、アラン、解ってないよ、トマコは。
「仕返しするなら息の根止めないとややこしそうだよ、アイツ。ねちっこそう。裏に引っ張っていって殺っとく?」
「アラン君、アラン君、落ち着こうね。うーん。なんか、こうさ、私物を取ろうとしたら天罰が下る!みたいなトラップっぽいものないかな?魔法で、ちゃちゃっと……」
「!!……。」
「なに?ヘレン、あるの?なになに、魔法じゃないけど呪いはできる?」
「ほんと、トマコ……よくヘレナの通訳できるよね。」
「ほうほう…それは、それは。」
「ちょっと、僕にも教えてよ!」
ヘレナの提案を聞く三人は自然に顔寄せあって作戦を立てるのであった。




