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トマコと帝国の魔法使い  作者: ちくわ犬
三章

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利害の一致と兄妹と3

お久しぶりです。

普通女子がポッコリお腹を気にするお年頃にトマコは筋肉でお腹が割れてきそうで不安になっていた。あんなに週末ウルフと甘いもの食べているのに日頃の訓練がハードすぎて筋肉マッチョになっていくトマコ。片手で腕立て伏せ出来るとかなんだかちょっと悲しい。


最近、シドが学園の寮に来るようになってからトマコはカギを預かるようになっていた。トマコの共同部屋と違って(と言っても各3部屋個別の談話室付きの特別室なのだが)シドの部屋は完全個室で10メートルほど離れたところにあった。基本魔法省に出勤しているのでいつもいるトマコに渡すのが便利だったのだろう。しかしほとんどいないにしても自室のカギを渡したのだからトマコにしてみたらシドの信頼を勝ち得たようなものだ。「それなれば私も」とトマコも部屋のスペアキーを渡そうとしたが「なんの意味があるんですか」とシドに一掃された。うん、でもトマコはくじけない。


その日トマコはシドが持っている歴史書を借りるためにシドの部屋に入った。日増しにシドの扱いが久兄の扱いと被るトマコはシドの部屋に入るのに躊躇いはない。いや、一瞬「くさっ」とか「きたな!」ってのはもう慣れている。なにせシドの汚物部屋を片づけたのはトマコなのだから。とはいえ、外面のいいシドだから寮の部屋もカドーレの部屋も魔法でちょちょいと片づけているに違いなかった。


「お邪魔しまっす。」


誰も返事はしない。が、一応声をかけてみるトマコ。部屋はビジネスホテルのように片付いていた。やっぱりね、とトマコは思う。


「なんだこれ。」


ひとところを除いて。


「……。」


丸テーブルには無造作に封筒と包み、枯れた花が転がっていた。


「うへぇ。」


摘み上げるとどうやらシド宛のものらしい。うん、それ、ラブレターだよね。


「はぁ、オモテになる。」


取りあえず手紙を戻して部屋の喚起に窓を開ける。それで、本を取ったら帰るつもりだった。しかし、部屋の喚起には時間が足りない。しょうがない、枯れた花は捨てよう、ばあちゃんは死んだ物(枯れた花など)は家の中に置いておくなと言ってたし。とテーブルの上を片付ける。しかし、何枚あるんだよ、これ。と、見ているうちにトマコに悪魔がささやいた。「見ちゃおうか」「いいじゃん」……興味はある。


と、比較的警戒心の薄そうなピンクの封筒を手に取った。表書きが「私の天使様」と爆発的な字面な上にシール一枚で中が盗み見できそうな守りの手紙だ。なんとなく周りをキョロキョロしながら物差しでそっとシールをめくる。



私の憧れの天使様


貴方はどうしてそんなにお美しいのですか?


私の心はあなたのことでいっぱいです。


罪深き貴方はわたしのこころも知らず、姿をみせてくれない。


みつめるだけでいいのれす。


この思いを受け取ってください。


クラメスラード。s





「なんじゃ、これ。」


クラスメートじゃなくて、クラメスラード……名前か??天使ってシドのことだよな。あの、魔王シドが天使とな。しかもいいのれすってなんだ。ラブレターで誤字っていいのか?読み返さないのか?とトマコは首を傾げながら読んだ。で、味をしめたトマコは次々と警戒心の薄そうな手紙を探して数枚読んで……。


「おぇえっ。」


……後悔した。いや、だってさ。ラブレターというよりはファンレターでしかもなんか宗教くささ満載の崇める系の手紙ばかりなのだ。なんか、甘酸っぱいものを期待して読んだトマコはげんなりした。こっそりシドを見てムフフと笑いたかった自分を殴りたい気分。で、後ろめたさも手伝って手紙の山に手を合せて謝っておくことにした。


「おっと、こっちは……。」


手紙の山の横にはプレゼントが積んであった。一つはなんか、髪の毛っぽいものが編み込まれてる不気味な人形……トマコはためらうことなくゴミ箱に投げる。で、しなびた花束……これも迷いなくゴミ箱にシュート。んでお菓子の箱。うん、中身カビ。確かめてからこれもナイスショット。……人がもらってるものをこれだけあっさり捨てられるのはおそらくトマコだけだろう。


「あれ?」


最後の箱は普通の箱と違っていた。なんか、豪華だし。


「こ、これは!?」


箱を開けたトマコは中身を嗅いでみる。


「まさか!?」


そこには異世界には無いと諦めかけていたものがあった……。



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