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トマコと帝国の魔法使い  作者: ちくわ犬
三章

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トマコの誕生日4

「ねえ、君、これを見て今なんて言ったの!?」


「へ!?」


急に声をかけられて慌てるトマコは声の主を確かめるように顔を上げた。慣れ親しんだ東洋顔に近い顔を持つ青年がこちらを覗っている。細い釣り目の……はて、どこかで見たような、とトマコ。しかし、そんなことよりなにこの親近感。こげ茶の髪は見ようによっては黒に近いし、細い一重の眼は慣れ親しんだ日本人に近い。背も165センチくらいだろうか小柄で親しみやすい。細身ながら胸板は厚そうな青年……って少年か?ちょっと若そうだけども。「しょうゆ顔キター!!」とトマコは叫びたくなった。


「ねえ、チーズって聞こえたけど!?」


「え!?……ああ、チーズケーキみたいだと……。」


「チーズってなに!?」


「その……はあ、まあ。」


真剣に言ってくるのをトマコはしどろもどろと答える。少年はトマコの答えを辛抱強く聞くと使い込んだノートに何かを書き綴っている。何点かトマコに質問してから彼はトマコの顔を見てふと閃いたとばかりに手を打った。


「君は、カードレー嬢!ウルフィファル様の婚約者の!」


「……。まあ、……うん。トマコです。」


違うんです!と叫びたいところだがモリスンの目の前では流石に言えない。


「同じクラスのロマ=チュランプです!いやあ、君の話、興味深いのでもっと聞かせてもらえないかな!あ、その……ウルフィファル様の婚約者になれなれしく……なんだけど、ホントにお菓子の話に興味があるので。」


「あー!!」


ロマ=チュランプ!!!トマコの脳味噌がピコーンとなった。あれだ、あれ!ウルフに渡された指令書の!!


「そうでしょう?顔、見たことが有るでしょう?」


フフフ。と優しく笑うロマ=チュランプを目の前に、そっちの記憶はさっぱりないとは言えないトマコだった。




*********



何点か彼のお勧めを買ったトマコはお菓子の話を語る約束をしてお店を後にした。

トマコとロマとの会話を何か言いたげにずっと見ていたモリスンが待ってましたとトマコに声をかける。


「トマコ様。あなたはウルフ様のご婚約者なのですから、軽はずみなお約束はいけません。」


「はあ……まあ。」


そのウルフに仲良くなるように言われてるんですが。とはトマコも言えない。


「あなたはウルフ様以外の男性との会話は控えるべきです。」


「あ、あんなムッサイクラスに入れといてそんなこという!?」


「……。」


「……。」


モリスンの言葉に思わず反応してしまったトマコだが……。

その言葉に思わず、モリスンもそりゃそうだと目を泳がせて黙った。


「トマコ様、少し、このお店に用があるのですが。」


モリスンに促されてきたのはメルヘンな上にひらひらでピッラピラでピンクでお花でキッラキラな店だった。モチロン、モリスンが用があるわけではなく、トマコの欲しいものを探ろうとするモリスンの配慮だった。ウルフからのプレゼントを受け取けとり、顔を赤らめ、感激に涙するトマコをウルフが優しく抱きしめる……そんな妄想をしているモリスン。主人の幸せには入念な準備が必要である。


「……。」


その眩しいばかりの店内にトマコはぽか~んとしていた。と、同時にモリスンの趣味に納得する。かつてのお笑いフリフリドレスはこの店で買ったに違いないと拳を固くしたトマコ。


「ささ、お好きな場所で見ていてくださっていいのですよ?私は奥で話がありますので。」


「はあ。」


モリスンはそう言うと店の奥のカーテン裏からトマコを観察している。仕方がないのでトマコは店をウロウロとすることにした。が、欲しいものどころか触ってみたいものも何一つない。下手に触って落としでもしたらエライことだと体の後ろで手を組む徹底ぶりだった。


「モリスンさん、まだなのかな。」


仕方なく店の出入り口で待つトマコに、モリスンが出ていかなくてはならなくなったのに10分もかからなかった。


「じ、実はもう一軒、訪れたい店があるのですが……。」


ここであきらめてはモリスンが廃る!

その後トマコはモリスン好みの店を梯子したのだが……。無駄な努力で終わった。



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