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トマコと帝国の魔法使い  作者: ちくわ犬
三章

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いざ学園へ5

セリベート学園に入るにあたってトマコは入学試験も受けた。数学と語学はほぼ満点という成績だったがマナーは赤点すれすれだった。途中編入という形なのでトマコはクラスメイトにとって異邦人で宇宙人。しかもウルフの婚約者という噂で、勝手にトマコは学校中の注目を浴びていた。いわゆる、謎の美少女転校生いやいや、なぞなぞの普通、なぜか男装少女というポジションである。


「トマコはマナーも頑張ってくれないと。」


試験の報告書を片手に豪華な椅子に足を組んで座るはマレノ。生まれながらの女王様。トマコにはぶっきらぼうにそう言ったが、マレノはトマコの試験結果に満足していた。ウルフの婚約者としてトマコが世に認められるのに納得できるものは多い方が良い。マナーは最低限で十分だろうし、学者並みの語学の達人である方がアーキンスの家にふさわしい。変にマナーに興味をもたれて社交界デビューだの、ドレスだの言い出して女臭くなっても元も子もない。基本、ウルフィファルの隣に立てる者でないと意味がない。


「はい。」


このしょんぼりと首を垂れるトマコが異常なほどにマレノの萌え~なのももちろん内緒だ。


「あの……。」


「なあに?」


「わたし……」


「わたし??」


「あ、えー。ぼ、ボク、やっていけるんでしょうか……。」


トマコの「ボク」萌え~~!!と体の奥がキュンキュンしてクッションを抱きしめながらクイーンサイズのベッドでゴロゴロしたい衝動に駆られたマレノだが、そこは無表情で耐えた。この親子の萌えポイントは遺伝なのかもしれない。それを凍った空気としてとらえるしかないトマコにとっては普通に地獄。


「う、上手くやっていくことね。」


やっとマレノから出た言葉はことさらトマコを不安にした。



******



「なんでさあ、男装して得体の知れない世界の見たこともない学校へ通わにゃならんのよ?」


「はあ。まあ。(変態だからな。)逆らえれないんだから仕方ないだろ?」


自室に戻ってトマコは引っ越し準備。といってもほとんど身ひとつだ。


「せっかくカードレー(ここ)に慣れて来たってとこなのに。……ねえ、その…。」


「なんだよ?」


「シド、なんか言ってた?」


「んあ?べ、別に?」


「ふうん。」


カードレー家の養子になったのだからもうトマコは用済みなんだろうけれど、毎朝「行ってらっしゃい」している身としてはなんだかな。とトマコは思う。いけ好かないとしても、ちったあ、気にしろよって思うこの頃。


「なんかさあ……まあ、いいよ。」


こっちが気にしようがシドは忙しそうで最近はまともに話もしていない。こないだまでメヌエット母の前では仲良くしろなどと言っていたのはシドの方だ。トマコがイラッときても仕方ない。


「トマコ……。」


「なに?」


「いや、何でもない。」


「なによ?」


「……いや……。」


ネズミはそんなトマコにちょっとした隠し事。ばらしたらきっとシドにばらされる。ブルブル。


「へんな奴。」


ネズミの薄ら笑いを見ながらトマコは乱暴に箱に少ない衣類をつめた。



******



さて、いよいよ学園に向かう日がやって来た。


てっきりメヌエット母に連れられて馬車で行くと思っていたが黒服の男たちが現れ、容易く捕獲されて車に放り込まれると中には先客が座席を大幅に占領していた。


「ぎゃ~~!!」


トマコが叫ぶのも無理もない。そこに居たのはウルフなもんだから。そんなトマコを見てウルフは眉間にしわを寄せて答えた。


「うるさい。黙れ。」


「ふぁい!」


不機嫌!?不機嫌だよね?とトマコはドギマギ。隣に居るのに前しか見れ無い上に冷や汗が流れる。おまけに舌ももつれるが、車から生きて下りれるのかだけがトマコの使命のように思えた。故にトマコは少しでも生き延びる方法を模索するようにウルフとの間隔を開けるべく努力をした……まあ、なんだ。ドア側にへばりついたのだ。


「……。」


そんなトマコを見てウルフは不機嫌極まりない。自ら迎えに来てやったというのに顔を見るなり喜ぶどころか奇声を上げてこちらを見ようともしない。おまけに自分から離れるように端っこにいるではないか。


「おい、挨拶ぐらいしたらどうなんだ?」


「……。お、おはおはようご#$$%&……います。」


おいおい、黙れって言ったのは誰なんだよ、とトマコは言いたかった。でも、こんな恐ろしい絶対零度の雰囲気の中で誰が言えようか。怖すぎる。錆びたロボットが首を回す様にギギギと音が聞こえそうに不自然な動きでトマコはウルフを仰ぎ見た。


「それでいい。」


目が合うと以外にも怒ってなくてトマコはちょっとホッとした。凍死は回避されたようだ。しかし、ドアにもたれるように座っていたトマコは次の瞬間体が揺れたと思うと車のドアがガコンと空いたのを感じた。








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