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トマコと帝国の魔法使い  作者: ちくわ犬
第二章

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増えるトマコの家族7

私の名前はトマコ。ここニールズ・ホンネット孤児院の出身よ!

戦争孤児だけど気づいたらここに引き取られていて以前の記憶が全くないの!

シドお兄ちゃんとはここで知り合って兄妹として過ごしてきたの!わたしの家族はシドお兄ちゃんだけ!

お兄ちゃんだってトマコだけでしょ!?そうだよね!そうでないと怒っちゃうぞ!プンプン!


ーー2時間弱の洗脳の末にトマコの脳内はお花畑。なんだかシドが本物のお兄ちゃんに見えてきた。ヤバイ。ヤバイぞトマコ。


「それと、髪はひもじくて売ったことにしましたから。」


仕上げにとシドはオーレンが作った書類を確認すると書類から目も上げずにトマコに言った。


「はあ!?」


その声に顔を上げたシドにぎろりと睨まれてトマコは黙る。靴先が焦がされたのは記憶に新しすぎる。


「黒髪は珍しいんじゃなかったの?そんなの売れるの?」


「伸びたら好きな色にして差し上げますよ。短いうちは暗い色でも珍しくないんです。今も茶色に見えるよう魔法をかけてますけど。気づいてなかったんですか?」


それで「サル」とイメージ直結だったのか!とトマコが涙目になるとトマコの心を読んだのかシドは


「私が刈らなかったらウルフィファルに気に入られることもなかったでしょ?感謝して下さっていいですよ。」


と言ってきた。正直、あそこでウルフと会ったのが運の尽きだったのかラッキーだったのか判断できそうもない。食に困らなくなったという事実はあるのだがラッキーだったとしたらシドに違いない。


「うう。」


なんだかすべてはシドの思い通りに動いて行っている様でトマコはおもしろくない。だけど、どうするってこともないのでただ唸るしかない。


「勇者だったのに……。」


「え?」


「……なんでもない。」


目の前の魔王シドに何も言えないトマコはもちろん勇者では無く。魔王シドの手のひらで踊らされる子ザルでしかなかった。





******



思っていたより時間がかかったとしてメヌエット母は翌朝に孤児院に着くという伝言が来た。帰りはメヌエット母と帰るという事で従者は先にカドーレの屋敷に戻り、シドとトマコはそのまま孤児院に泊まることになった。子供たちは無邪気でトマコと走り回って遊んだ。……トマコが遊ばれたというのが適切だが。シドに面白いくらい誰も寄り付かないのがトマコ的には笑えた。大事なカドーレの養女という肩書が付いたからかトマコはオーレンの寝室を明け渡された。でもそこは庶民のトマコ。私は床でいいとベッドを遠慮すると意外にもオーレンが一緒に寝ましょうと提案してきた。まあ、トマコは年齢以上に幼く見えるのでオーレンも一人でさびしくて寝れないのではないかと思い至ったのだろう。


「お休み、シドお兄ちゃん。」


言わせるもシドは返事なんかしない。

いったいなんなの。とムカつきながらもシドの眠る部屋を後にしてオーレンの寝室に入った。


「おやすみなさい。オーレンお母さん。」


練習させられた呼び名を使い、トマコも夢の住人の仲間入り……のハズだった。


「とまこちゃん。」


「ふあい。」


あくびをしてアピールしたがオーレンの目は真剣だった。


「シドの話をしておきたいの。」


その言葉にトマコは口から心臓がでそう。聞きたくない。聞きたくないぞ。トマコの本能が叫んでいた。


「あ、あの……。」


オーレンは隣の部屋のシドに気を使ったのかトマコを部屋の隅に手招きする。


「貴方に。救って欲しいの。」


「……。」


一瞬、金魚ですかとボケたかった。なにこれ、勇者復活!?やっぱりシドって悪い奴!?っていままでいい奴だったことないのにトマコの頭もラリラリラ。


「シドがこんなに他人に心を許しているのは見たことがないの。」


『寝首をかくんですか?旦那!』とトマコは180度理解。でもオーレンはまっすぐにトマコを見て言った。


「シドの心を救ってほしいの。このままではあの子は壊れてしまう。--いえ、もう壊れてしまっているかもしれない。復讐だけを生きる支えにして欲しくないのよ。」


「……復讐って。」


この人はシドが何をしようとしているのか知っている。そう思うとトマコは食い入るようにオーレンを見つめ返した。オーレンはトマコの様子を見てゆっくりと頷いた。


「貴方は訳を知っているの?」


「……訳……が有るんですか?」


これ以上踏み込んじゃいけないとトマコは感じていた。でも、口からは先を促す様に言葉がこぼれ出てしまっていた。

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