第8章 死神じゃない
「ふーん……死神、ねぇ?」
「死神って事は、めっちゃ強いよね!?」
「確かに、火野くんLV.5の【植獣種】余裕で倒したらしいしね~」
悠はポカーンとしていた。
昼休み。
今さっき、荒地が悠が『死神』だということをカミングアウトしてしまった。
その事について、緋奈達に「もっと詳しく!!」と問い詰められ、今に至るのだが……。
「えっと……3人は怖くないの?」
「「「え?」」」
「いや、ぼくが死神だって分かったのに全然怖がってないから?」
今まで悠が死神だと教えると、人は皆悠を怖がり、近寄らなくなった。
そりゃあそうだろう。
1人で都市を滅ぼせる様な奴と誰が一緒に居たいと思うだろうか。
現に、悠を怖がらなかったのは咲姫だけだった。
今だって他のクラスメイトは悠を遠巻きに、『怖いもの』を見る目で見ているのだから。
だから、悠はとても動揺していた。
まさか、怖がるどころか「凄いすごい」と言うとは思って居なかったのだ。
「いや?別に怖くないよ」
「そうだ。怖いかどうかなんて自分達で決めるものだ」
「うんうん。それで、自分達で見た結果が…」
「問題無し、って事だよね?」
咲姫がニコニコ顏で会話に加わる。
「悠くんは、『死神』何かじゃない。本当の『死神』は、私を守ってくれないから」
力が死神だとしても。
悠の心は、死神何かじゃない。
……例え、悠が『咲姫を守るため』だったらどんな事もする人間だったとしても。
何処かで聞いた事のある言葉を再び聞いた悠は、微かに破顔した。
───君からのその言葉が、何よりも嬉しい───
これで、第一幕終了です。
次話からは第ニ幕の始まりです~