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死神の誓い  作者: 白猫
第一幕
5/11

第4章 劣等感

【植獣種】の数を20体→50体に変更しました

「……このぐらいだったら、楽勝かな?

昨日よりは大分少ないですしね」

約50匹以上の【植獣種】を前に、そんな事を言う悠。


そんな悠は、黒い戦闘スーツを着ていた。


「その様子だったら心配いらないな……火野。お前はその場で【植獣種】を蹴散らせ」

「了解」

ヘッドホン型の通信機を通して、悠は飯島に返事をする。


「ん、頼む。……じゃあ、切るわ」

飯島の声が聞こえたかと思うと、通信は切れた。


「…ふぅ」

悠は首をコキコキと鳴らし、大きく伸びをした。


「さて……行きますか」

そう言って【植獣種】の群れに歩いて行く彼の右腕には、真っ黒な『鎌』が握られていた。


◆◇◇◆◇◇◆


「……荒地、お前が前衛で戦い、朝花は後衛で荒地の援護をしろ」

「はい」「はい」

「これから、俺たちは誰もお前らの心配はできない。

自分の身は自分で守れよ」


その言葉に朝花 咲姫は、さらに一層緊張した。

何せ、ジャックスになって初めての実戦だ。

今までとは空気が全く違う。

咲姫は自分の心臓がバクバク言っているのが分かった。


「先生……一つ、いいですか?」

そんな咲姫とは打って変わって、荒地は落ち着いていた。


「あん?」

「何故、あの男……火野 悠が参加しているのですか?ジャックスでは無いのでしょう?

俺や咲姫よりも強いとは流石に思えません!!」

荒地は感情的になって、飯島に言い寄った。


飯島は、そんな荒地を見て苦笑いをし、小声で荒地に言う。


「あぁ……。お前、朝花が火野にとられたって考えてんだろ…」

「ち、ちが…!」

「……何を話しているのですか?」

咲姫が2人の会話に入ってきた。

除け者にされていると感じたのだろう。


「何でもねぇよ。それより早く持ち場につけ。…もう近くまできているぞ?」

見ると、飯島の言う通り【植獣種】の群れはすぐそこまで来ていた。


「先生…!」

「後で教えてやるよ。一つ言っておくが、火野はお前よりも断然強い」

そう言って納得のして居ない荒地とキョトン顏の咲姫を置いて、飯島は長剣を持って【植獣種】の群れへ走って行った。


…一体何の話だったんだろう?

咲姫は首を傾げた。


「……チッ。咲姫、行くぞ!!」

「あ、はい!」


そう言って咲姫と荒地も群れに向かって走った。




群れの中心部に到着する。

咲姫と荒地は臨戦体制をとった。


目の前には不気味な植物の大群がいる。

───LV.2の【植獣種】だ。


「咲姫!援護を頼む!!」

「わかった!!」

腰にさしていた太刀を荒地は掴んだ。


荒地は『太刀の神才』を持つ。

『太刀の神才』を持つ者は少ない。しかし、太刀は使えればとても強い武器となるので、『太刀の神才』を持つ者はレベルが一番高いとされている。


返事をしながら、咲姫も自分の武器を取り出し、構えた。


咲姫の神才は『両手銃の神才』。この両手銃も持つ者が少ないので、太刀と同等のレベルと言えるだろう。


「うらぁぁぁ!!」

荒地は太刀で目の前の敵を一刀両断した。

そのまま両断した敵の後ろにいた奴を突く。


(……俺は、こんなに強い!!そんな俺があんな普通の人間より弱いはずがない!!)

敵を横に薙ぎ払う。

荒地が今考えているのは、悠の事だった。


(俺は、あいつよりも咲姫と釣り合っている‼

その俺が……)


「───っ!!俺が、あいつより弱いはずがない!!!!」


衝撃波で7体を一気に倒した。


「……っ、こ、これで」

「荒地くん!!危ない!!」

咲姫の声とドンドンッという音がしたかと思うと、後ろから荒地を襲おうとしていた犬の姿の敵は倒れた。

咲姫が後ろから銃で倒したようだ。


「おぉ!悪いな、咲姫」

「───っ!!それよりも!前!!」

振り返って咲姫に話しかける荒地。

その背後に向かって、銃を打ち続けながら、咲姫は叫んだ。


「!? ───!!」

少し遅れて荒地は向き直るが間に合わず、気が付けば宙吊りにされていた。


「!? は、離せ‼」

そこにいるのは、人間の何倍もの大きさの大蛇がいた。


太く、長い胴体にテラテラとぬめっている皮。深緑色の鱗、そして口には刺さったら一発で死ねる程の牙がついていた。

荒地はその大蛇の尻尾に片足を掴まれている。


「っ!! 何でLV.5の【植獣種】がここに!?報告にはLV.3までって…!?

と、とにかく荒地くんを助けな───っ!?」


咲姫は後頭部に鈍い痛みを覚え、そのまま意識を失った。


◆◇◇◆◇◇◆


「……ん、火野さん!!応答してください!!」

通信機から切羽詰まった男の声が聞こえた。


「はい、火野です。……どうしましたか?佐藤さん」

通信機の向こう側の男は佐藤 理緒という男だ。彼は、『ガードリーダー』……要するにガードの隊長だ。

いつもは冷静なのだが、今はとても焦っているようだ。


「そ、それが…突然、LV.5が率いる別の【植獣種】の群れが乱入してきたんです!!」

「……今はどこに?」

「えっと、西区の方ですね。…現在、ジャックスの2人が苦戦しています。」

途端に悠の声が低くなった。


「分かりました。すぐ行きます」

「……え!?でもまだ敵が…」

「もう全て殺し終わりました。」

「そ、そうですか…。では、お願いします」

そう言って通信は切れた。


通信がきれた時、悠の瞳は何も写していなかった。

【植獣種】に対しての怒り以外、何も。



───全て、殺す───

悠はただそれだけ考えていた。

咲姫に被害を及ぼすものは、絶対に許さない。

そんなもの、全て殺してやる。

それだけしか───考えて、いなかった。



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