第1章 誓ったこと
『ユウくんは死神なんかじゃ無いよ?本当の死神はサキの事、守ってくれないもん』
そう言って僕に微笑む少女。
この笑顔で、僕は何度も助けられたんだ───。
◆◇◇◆◇◇◆
夜の11時を過ぎた頃。
一人の少年が真っ暗の闇の中に立っていた。
「全滅確認しました」
僕はヘッドフォン型の通信機に向かってそう言う。
「ん。ごくろーさん。さすがだな。仕事が早い…それより火野、お前明日から新学期だろ?もう帰って良いぞ」
通信機から飯島の声が聞こえた。
「了解です。…ところで飯島先生…僕の新しい担任は誰ですか?」
「…教えらんねぇな…。ふふふ」
飯島は不気味に笑う。
「……まぁ先生ですよね」
「!? 何故分かった!?」
「……先生、騙しやすいですね」
「はぁ?…………っ!?騙したな!?」
「頭の回転遅いですね~」
やーいやーい、と笑ってやった。
「う、うるせぇ!!もう寝ろ!!…ったく…切るぞ?」
「はい。お疲れ様でした」
「おうよ」
そう言って通信は切れた。
「ふわぁぁ…眠くなってきた…。もう帰ろー」
そう言って都市の方へテクテクと歩いてい行く。
今彼のいた場所は、百余りの【植獣種】の血肉の散らばる平野だった───。
◆◇◇◆◇◇◆
八歳の頃、僕達の目の前で両親達は殺された。
【植獣種】に。
ただ呆然と見ているだけしか出来なかった。
──悔しい──
心からそう思った。
何も出来なかった自分に。
両親を殺した【植獣種】に。
世界全てに。
だから、仇を打とうと誓った。
僕と、咲姫の両親の仇。
そして、咲姫を守ろうと誓った。
咲姫は、みんなに怖がられ、友達も居なくなった僕に優しく接してくれた。
『死神なんかじゃない』と言ってくれた。
いつも隣に居てくれた咲姫を、
何よりも大切な人を、
僕は、守ろうと誓った。
強くなって。