第9章 【閑話】 「お願いします!!」
第一幕の締めです。ギャグです(笑)
ちょい長め。
「うわあああああん!!咲姫ちゃん咲姫ちゃん!!助けてぇぇ!!!」
「えっ!?ちょっ!?まって……うきゃあ!?」
のどかな昼休み。
ご飯も食べ終わり、静かに楽しく談笑して居た悠と咲姫、それと崇。
緋奈と紫衣は用事で何処かに出掛けると行っていたのだが…。
「いやぁぁぁぁ!!もうダメだぁ!!殺される!!」
突如現れた緋奈は、教室に入って来た途端に涙目で、咲姫に飛び付き叫び出す有様。
悠や崇(もちろん咲姫もだが)は目を点にしていた。
「ひ…緋奈ちゃん‼落ち着いて!?……ほら、深呼吸」
「ひっひっふー、ひっひっふー」
「…いや、それ違うから」
深呼吸じゃないから、とツッコミを入れる悠。
「お、落ち着いた?」
「………はい、私のせいで大変なご迷惑をおかけして、申し訳ございません」
「キャラがおかしくなってる…!?」
いつもだったら『ゴッメーン☆』何て言っている緋奈が……‼?と、いつもおっとりな崇が驚愕して居る。
「あ、あの…紫衣ちゃんは…?」
一緒に出て行った紫衣が居ないのを疑問に思ったのだろう。できる限りの優しい声で咲姫は聞いた。
しかし……
「いっいやぁぁぁ!!恐いよぉ!!」
『紫衣』と言う言葉に反応して、またも緋奈は叫び出した。
「ちょっ!?どうしたの!?」
「いやぁぁぁ‼紫衣ちゃん怖いいい!!」
「………私が、どうしたって?」
「あ、華原さん……」
咲姫に抱きかかえられて居る緋奈を見下ろす感じに立っていたのは、何故かエプロン姿の華原 紫衣だった。
「紫衣ちゃん!?何時の間に…」
「緋奈‼何で逃げ出すの!?あんたのために私も頑張ってんのに!!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!もう許してぇ!!」
「ひ、緋奈ちゃん!!暴れないで!?」
緋奈に詰め寄って耳を引っ張って居る紫衣。それから逃げようと謝りながら暴れる緋奈。抱きかかえてる緋奈に暴れられて、今にも倒れそうな咲姫。
「カオス……だね?」
「うん。カオスだ…」
そんな光景を呆然と見て居る男子二名だった。
◆◇◇◆◇◇◆
「……つまり、『4時限目の家庭科の宿題が出来てないから、安立さんと華原さんは一緒にやろう!!』…って事になったんだね?」
「はい。仰る通りでございます」
「えっと…それであまりのお互いの料理の……その、不得手?に緋奈ちゃんは逃げ出してきたって所かな?」
「…はい。仰ると(以下略)」
「というかさぁ?今日の家庭科の宿題って何だっけ?」
「えっと、『クッキーのレポート』だったよね?」
「はい。お(以下略)」
ここは、【亜利乃学園】の家庭科室。料理を作る所なのだが…
「ひどい、有様だね……」
テーブルの上は、小麦粉やら中身の出ている卵やらが散乱。
床には牛乳や油が零れていてベタベタ。
部屋の中は何故か黒い灰が舞っていて焦げ臭い。
「……何故クッキーにフライパンが必要なんですか…?」
見ると、確かに真っ黒となったフライパンが。
「「「……何を作ろうとしたの?」」」
「……………………」
「……………………」
2人は黙ってしまった。
「って言うか2人とも、料理苦手だったんだね…?」
「「はい…」」
返事しかできない2人。
そして…
「咲姫ちゃん!!」「咲姫!!」
「ひゃいぃぃ!?」
「「料理を教えて下さい!!」」
「えっ…えーー…?」
緋奈と紫衣は土下座をして居る。
第三者から見れば、相当引く光景だった。
「……お願いだ、咲姫!!」
「えっあの…」
「咲姫ちゃん!!終わってるんでしょ!?」
「そ、その…」
「お願いします!!火野の分も手伝ったんだろう!?」
「そ、そうだけど……あ、頭あげて!!?」
「いいって言うまで上げない!!」
「いや…」
「「お願いし『キーンコーンカーンコーン』
昼休みの終わりのチャイムが鳴った。
「えっと…じゃ、じゃあこれで?」
そそくさと帰ろうとする咲姫。
それに続く悠と崇。
「咲姫ちゃぁぁぁん!!」
「咲姫ぃぃぃぃ!!」
後ろから2人の絶叫が聞こえた。
その後、こってりと先生に怒られた2人であった。
これで、本当に第一幕終了です。
次話からが本当に第二幕です