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悪夢

作者: 長谷川 神琴

とあるところに心の優しい少女がいました。


ある日、少女の目の前におじいさんが倒れていました。

彼女は当然のようにおじいさんを助け、温かいご飯をごちそうし、かけなしのお金もいくらかだけ持たせてあげました。


そのあまりの優しさに感動したおじいさんは自分は神様だといいました。


そして少女に「ひとつだけ願いをかなえてあげよう。だから、よおく考えなさい。決まったらこう魔法の言葉を唱えなさい。 スマゲササヲイシマタノシタワ」と伝えると姿を消してしまいました。


ある日、彼女は夢を見ました。


夢の世界には、自分が願うものがなんでもありました。


綺麗なドレスに髪を彩る宝石。

すらりと長い足、誰もが羨むお人形さんのような顔。

そして白馬に乗った王子様が手を差し伸べ、大きなお城に迎えてくれました。

少女は何日も何日も楽しい日々を過ごしました。


ですが、良い夢はかならず終わるもの。

目が覚めた時に少女はこう思いました。

「「あの夢がほしい」」


そして願いを決めてしまったのです。

魔法の言葉を唱えると、あの時のおじいさんはすぐに表れました。

思いを伝えると、おじいさんは笑ながら答えました。

そのくらいおやすい御用だ。


そうして少女は永遠の夢の世界へ旅立ちました。


綺麗なドレスを着て、あのときの夢とおんなじですべてがかないました。

ふと、少女はなにかが足りないことに気が付きました。


そう、この世界のたべものものみものも味がないのです。

あたたかさもつめたさも。

またひとびとにもココロがありませんでした。

みんな少女の言いなりです。


少女が気が付いたときにはもう手遅れでした。

そしてあのおじいさんは神様ではなく恐ろしいものだということにも気が付きました。


あたたかな「ち」が流れていたあの体のある世界には二度と戻れません。

そうして、少女はなんでもかなう素晴らしいゆめの世界で

永遠にくらしましたとさ。


さあこれを聞いたあなたも唱えてみますか? 

<<スマゲササヲイシマタノシタワ>>


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