序 牙を研ぐ愛玩犬
日本刀を振るう主人公を書いてみたい。それだけで書き始めています。カルマはどこに向かい、どうやって剣聖と並び称されるようになるのか。カルマの活躍と成長をお楽しみいただければと思います。
今日もカルマは一人だった。
部屋に用意された朝食を黙々とかきこみ。
道場では、末席に控え、誰にも相手にされぬまま稽古時間を終える。
夕食を終えれば、何もすることがなくなるのだが、そこからはカルマの時間だった。
そっと道場を抜け出すと、裏山へ向かう。背には二尺八寸ほどの長剣を二振り。それだけがカルマの持ち物だった。
みっちり二時間の時を裏山で過ごしたカルマは山を下り、道場に帰り眠りにつく。
道場主であり、一門の当主である赤羽シズカも、世話を焼きたがる筆頭門弟の千場カモンも、身近にこんな狼が牙を研いでいることにはまったく気づかなかった。カルマ自身も、なぜこんなことをやっているのかは、はっきり意識してはいなかった。ただ、己の体の内側から溢れようとする、得体のしれない熱と冷気にも似た感情を押さえつけるには、夜の山野を駆け巡り、「剣の工夫」という名のはた迷惑な暴風を吹かせるしかどうにもしようがなかった。
「自分は、何がしたいのだろう・・・。」
自問自答を続けながら目の前の仮想の敵と戦い続けるとき、カルマの精神は研ぎ澄まされ、磨かれていく。
夜の闇の中で、二振りの長刀のみが月光を受けて閃き続けているが、操っているカルマの姿はどんどんと気配を薄めてゆく。そこに確かに立ち、両の手に、長刀を握っているはずの姿からは「意識」すら零れ落ちてはこなかった。
のちに、「無形」とも「如水剣」とも称される、無双の剣士、小河内カルマは、まだだれの目にも止まってはいなかった。
初めて書いた作品なんで、始めたはいいが着地できるかどうか・・・。
どこまでいけるか、ご期待いただければ幸いです。
連載のつもりではいますが、如何せん行き当たりばったりなんで、長い目で見ていただければ幸いです。




