変化した世界、目指せ探索者
「マスター、今日は何をしましょうか?」
「まずはマトンの動きを確認しよう。その為にもここに向かうぞ。」
「ここ?」
俺は地図を広げてマトンに見せる。この周辺は山に囲まれている、ちゃんとした街に行くには森を抜けなければならないんだ。
「了解しました。それではマスター、私に掴まってください!」
「頼むぞマトン、ゆっくりでいいからな。」
俺は片手で箱を持ち、もう片方をマトンに握って貰って外へ出る。今なら安全に進めるだろう!
「しかしこうなるとは思わなかった。この辺りも一気に危なくなったな。」
「気をつけましょう。でもマスターなら大丈夫、私がついてますよ!」
「ありがとう、さあ行こう!」
俺達が何で周囲を警戒しているか…………それはこの三年間で起きた、ある変化に理由があるんだ。
◇◇◇
俺達が学会を出てからしばらく経った頃。とあるニュースが世界を駆け巡った。
[ダンジョン]の存在だ。
それは様々な所に突然現れた。廃墟、自然の中や、時には街の近くにも!そこから現れた未知の脅威、[魔物]が人々に被害を与えるのに、そこまで時間は掛からなかった。
もちろん何もしなかった訳じゃない、多くの国は魔物に対して迎撃を試みた。その結果面白い事が分かったんだ。
この魔物達、俺達でも充分倒す事の出来る存在だったんだ。そしてダンジョンの奥には、珍しい物品がたくさんあった!宝石だったり武器だったり、初めて見る物ばかり。俺達から見ればどれもお宝だ。この事実を知った多くの人達も、ダンジョンに潜り込むようになった。
これには他の国々も困ったみたいだ。素人に入られたら犠牲が増える。それが続けば放置している国の責任問題になるからな。そこで各国が連携して、一つのルールを作った。それが[探索者]だ。
研修を受けた人達が探索者としてダンジョンを調査する。そこで得たサンプルや情報を提供する代わりに、手に入れたお宝は探索者の物になる。
そして探索者はお宝で財を成したり、名を上げて国から直接スカウトされるみたいな、夢のある職業としてすぐに広まった。
そして現在。ダンジョンから溢れた魔物があちこちに生息域を広げている。更に一部の魔物達は街や村を作って生活しているらしい。という訳で、今や探索者はどこでも必要とされている。何で俺達が慎重に動いていたか?そう、それは魔物に気づかれない為だ。
◇◇◇
「ってマスターが言ってました。資材を買うのも大変だったんですよね、ごめんなさい……。」
「マトンの為ならそれくらい何ともない!だけど資金がもうすぐ尽きそうたから、ここからは働いて稼がないといけなくなったんだ。」
俺達は森を抜け、広い草原に出る。ここを歩いて行くと、大きな街があるんだ。
「では、今回の目的は?」
「ああ。俺達も探索者になるぞ!まずは当面の資金集め、そして大きな目標は……マトンの凄さを証明する事だ!」
「わ、私ちゃんと動けるでしょうか?心配です……。」
「それを確かめるのさ。もし駄目でも調整は出来る。まだ余裕があるうちに確認しないとな!」
俺の研究の為、何よりマトンの為にこの計画、必ず成功させてやる!
「前言った通り、進むと大きな街があるんだ。ここで探索者としての登録をしよう。」
「はい!」
一人で進むよりもずっと速いぞ、これなら今日中には辿り着けそうだ。
そして……遂に着いた。目的の街だ!
「さ、入ろう。街の中心に探索者の協会があるんだ。」
「そこで登録を済ませるのですね。緊張します。」
「何、俺達ならすぐ出来るさ。俺達の戦いがここから始まるんだ。」
「が、頑張ります!」
街中を進んで見えた、他に比べて大きい建物。ここが探索者協会!ここの扉を開けて、最初に目に入ったのはカウンター。そこで目が合った受付さんに声を掛けられた。
「いらっしゃいませ!何かご用ですか?」
「はい!俺達探索者になりたくて来ました!」
「本当ですか!?それでは最初にお名前を聞かせてください!」
「俺はクレバー、彼女はパートナーの」
「マトンって言います!」
は、初めてだから緊張するなー!




