プロローグ 天才研究者、クレバーの発明!
「出来た、遂に完成だ!」
俺は自分の研究室で一人、大きな声を出してしまった。興奮しすぎだな、ここは深呼吸をしなければ。
「やっと出来たんだ。三年もかけて創り上げた、最高のゴーレムだ!」
工具や設計図を整頓しながら、俺は完成した最高傑作を改めて眺める。素晴らしい……ここまでの物を完成させた俺はやはり天才だった!
「学会の上層部め、俺はちゃんと完成させたぞ!パートナーになれる、共に歩けるゴーレムを!」
しかし三年経ったんだな。今思えば、ここに来るまで随分苦労したなあ。
「じゃあ、起動させよう。ふー、ふー。」
緊張しながら、俺はレバーに手を掛ける。定期的に外に出していたが、今回はかなり日が空いてしまったからな。二人も喜ぶだろう!
「せーのっ!」
ガチャンとレバーを降ろし、プシューと音が鳴る。壁に立て掛けたカプセル、そこに映る男性と少女のゴーレム。二人の顔色が明るくなっていく。
「またよろしくな、二人とも。」
いよいよ始まるんだ、俺達の物語が!
◇◇◇
「クレバー。君は何を研究しているんだ?部品を作っているようだが。」
「マリー先輩!これは人類の進歩の為の壮大な研究です!」
「は?」
「これを見てください!」
三年前、俺は王国の研究グループに属していた。ここでは兵器開発が行われていたんだ。俺の担当は防衛設備、シェルターや建物、防御用の装備を開発していた。だが!
「何だこの設計図は?」
「俺が開発しているゴーレムです。何をするにしても、これからは使う者に沿ったゴーレムが必要なんです!」
「ゴーレムが?」
「ええ!戦いだけじゃない、生活に寄り添ったゴーレムを作ってるんですよ!必要としている誰かの為の、心を持った優秀なパートナーが!」
「くだらないな。ゴーレムは破壊兵器としての運用がもうされている。それに、心など必要無い。奴らは道具だ、使えなくなったら捨てれば良い。」
マリー先輩は冷たく言い放つ。確かに今まではそうだった。でもこれからは違う!出来ない事を補い合うパートナー、完成すれば皆の生活がグッと豊かになる!
「先輩……そうだ、今度俺が論文を発表するんです。絶対に驚きますから、楽しみにしていてくださいよ!」
「はあ。まあ期待しないで待っているよ。」
マリー先輩は研究室から出て行った。でもこれは必要な事さ、皆認めてくれるといいなあ!
そして訪れた研究発表の日。俺は学会のお偉方の前に立ち、資料を提示しながら説明を始める。
……一応戦闘データも取ったんだ。お偉方は兵器にしか興味が無いからなあ。
「これが用意したデータになります。兵士としての運用は勿論、生活支援も万全です。戦地でも、日常でも、どこでも活動出来るゴーレムを目指しています!」
「ほう。確かに戦闘力はある様だな。」
「加えて自分で考えて行動を出来る思考回路も搭載!その場に応じた適切な判断が可能です!これを使えば」
「くだらんな。」
「……はい?」
「くだらんと言ったのだ。」
…………なんで?
「機械に心など要らんだろう。求めるのは破壊力。扱うのは何時だって人間だ、機械には必要無い!」
「全く意味の無い物を作る、天才が聞いて呆れるよ。」
「まともだと思っていたが、どうやら買い被っていたようだ。」
…………いやいや、これって凄い重要だぞ!だって一緒に頑張れば、一人で出来ない事も出来るんだぞ!でも認めてもらう為には……
「……で、では。兵士としての性能も見て頂きましょう!俺の創ったゴーレムを」
「訂正しろ。」
「え?」
「兵器だ。機械を人間の様に扱うな。」
「…………兵器としての性能も見て頂きましょう。こっちに来てくれ!」
俺はスクリーンの裏に声を掛ける。そこに俺のゴーレムが居るんだ。さあ、出てきてくれ!
「し、失礼します。」
一人のゴーレムが、そっと出てきて俺の横に立つ。そう、彼女こそが新しいゴーレムだ!
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