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楽しい魔道具作り



「チキチキ! 第1回[魔素変換装置道具]略して[魔道具]造り大会ー! ♪ドンドンップフパフ!」

「わぁ! なにそれ! なにそれ!?」

「またアオイはっ。そんなのナナにはわからないよ」


塔から家に帰ったアオイは、塔で見聞きして来た魔道具の製作に着手すべく、[骸骨騎士]をやっつけまくってたんまり手に入れた[無属性魔石]を、リビングのローテーブルに出し並べていた。


「村の人達の水汲みとかもさぁ、ダン君達も薪集めに森に行ったり大変だと思うの。魔法をうまく使えない人達が、逐一貴族様に火とか水とかもらうのも気が引けるじゃん? だからそうゆう魔道具作っちゃおうかと思って」

「それでなぜ[無属性魔石]なのだ? それでは水の魔道具は作れないぞ」


ハチは、水の魔道具には水属性の魔石が、火の魔道具には火属性の魔石が必要だと言う。


「それな! でも、今は[無属性魔石]しか持ってないじゃん? だからミルコ様が魔石に魔力入れる時、【鑑定解析(よくみた)】んだけど、金色に光って[魔法陣]が見えたのね。それを魔石側に直接書き込んだら、魔力は属性関係無く入る。と、思うのよ。だって元は同じ魔素なんだから」

「は?」


効率は魔法属性に頼ったほうが良いのかもしれないけど、[無属性魔石]だからこその特性もあるのかもしれない。だって、【鑑定解析(よくみた)】結果、その辺を漂っている魔素に、属性の区別はないのだ。

アオイは、ハチに説明するために、指をふって空中に光の筋で魔法陣を描き出す。


「魔法陣をね、魔素を集め練り、術を発動させるプログラムの回路だとして考えると、できそうなの。そうだな、やっぱ(きん)だよね」


アオイは、スマホを取り出すと、取り扱い易いように適当な鍋の中に放り込み、両手で挟んで【スキル】の[亜空間]を展開させ、[分解]と[集合]で、スマホのパーツを素材ごとに分解して、それぞれをインゴットや塊に変えてみせた。


「なぬっ!?」

「スゴーイ!」

「ンフフ〜魔女っぽいでしょ。まぁまぁ、ここまではね【錬金術師】の基本ですよ〜」


ハチが目を丸くして驚き、ナナに褒められ、既にドヤ顔のアオイは、不要なインゴットを[収納]すると、残した(きん)だけを[複製]で鍋に半分になるほどに増やしてしまった。


[複製]は、亜空間内の魔素を元に、オリジナルをコピーして、いくらでも物質を作ることができる、魔素が万物の素の世界だからこそ成り立つ【錬金錬成】スキルを持つ称号[魔女]の異世界チートスキルだ。


「そしてこの[無属性魔石]に[変数名]を書き変えた[入出力]の魔法陣を金糸で描き込んで[定着]!」


鍋からスルスルと金を糸状に引き出しながら、手にしたピンポン玉大のカボションカットにした魔石に、ミルコが披露してくれた魔法の[魔法陣]を書き換え纏わせていく。

描いた魔法陣の、最初と最後が繋がり金糸をプツリと切ると、魔石が ポワッ と光りを放った。


「♪[水の入出力魔石]完成〜! 見てて〜!」


アオイは、用意していた洗面器に水をはると、完成したばかりの、魔法陣を書き換えた魔石[水の入出力魔石]を ぽちゃり と水の中に落とした。

するとその瞬間、洗面器の中の水が ギュンッ と[水の入出力魔石]の中に入った。


「なんとっ!?」

「わぁ! すごいっ!」

「成功〜!」


アオイは洗面器から、水を吸いうっすら水色に染まった[水の入出力魔石]を取り出すと、ポワッと光らせ魔力を通す。

すると、つまんだ[水の入出力魔石]から ダバリ と、水が溢れるように排出された。


「スッゴーーーイ!」

「ヤッタゼ! 大成功〜!」

「と、とんでもないな!」


「これならナナでも使えるんじゃない? どのぐらい入るかな?」

「お風呂! お風呂行ってみよ!」


3人はお風呂場に移動して、アオイが浴槽に水をはると、ナナは ぽちゃり とカラになった[水の入出力魔石]を落とし入れた。すると魔石は、瞬く間に浴槽の中の水を吸い込み、その色を濃くする。


「まだ入りそうだね。良いね」

「出して良い!? お水出して良い?」

「ちょっと待って〜」


アオイは、魔石から溢れ出た水が一定方向に流れるように、温泉の吐水口式デザインの、真鍮で作った魔石の台座を浴槽の淵に作りつける。


「[オサレ蛇口]を作ったから、これの上に[水の入出力魔石]を置いて、魔力を込めて触ってみて」


ナナに「2つセットで、[水の出る魔道具]だから」と説明してから促した。


「出た〜! 俺でも水が出せた!」

「ヤッタゼー!」


すると[水の出る魔道具]は、正しく浴槽の中に水を流し出した。


「もう一回触ると止まるからね」


アオイの言葉に、ナナは大喜びで[水の出る魔道具]に触り、水を出したり止めたりと繰り返している。


「この魔石に描いた魔法陣の〈水〉の部分を〈火〉や〈光〉に変えたら、なんでも吸い込んでなんでも出せる[入出力魔石]の魔道具になると思うんだよね〜。そうだI/O、この魔道具は[アイオー]って名前にしよう!」

「[アイオー]! カッコイイ!」

「元の世界の技術と魔術の融合か・・・」


これを応用すれば、色んな[魔道具]が作れるよ。さながらこの[アイオー]は水の入出力ができるので[スイゲン]とでも呼ぼうか。と、アオイはうまく起動した魔道具を[収納]して[複製]した。

そのまま村長宅横の井戸に移動して、吊るべにカラの[スイゲン]をジャラリと入れて、井戸の中に落とす。


村長宅の玄関扉をノックして、ライズとマリーとリリーを呼ぶと、井戸の桶を引き上げて濃い青色に変わった[スイゲン]を取り出し、お宅のお風呂にお邪魔して、同じくナナが浴槽に水をはってみせた。


「な、な、なっ!?」

「これが[魔道具]ですか?」

「あ、でもこれだと水のままだなぁ、火の[アイオー]を作って・・・いや水の温度を操作できる魔法陣を[オサレ蛇口]に描いたほうがいいな」


アオイは〈水属性魔法〉を展開し、温度調節の魔法を【鑑定解析】して魔法陣を読み取ると、[オサレ蛇口]に描き込み、[スイゲン]を乗せ置いた。

設定温度は一応5℃から50℃にしておいたので、熱湯や氷は出力しない。


ナナが再び[スイゲン]に「水でろ〜」と念じて魔力を流し水を溢れさせると、台座の[オサレ蛇口]に「お湯になれ〜」と念じながら魔力を流す、アオイの目論見通り[オサレ蛇口]は、正しく湯気を上げてお湯に変わった水を吐き出した。


「大成功〜!」

「スッゲーーー!!」

「念じる時間で水の量や温度は調整できるけど、追い焚きできないなぁ。火の魔道具も作ってみよ」


アオイは、その場で[アイオー]を、火の魔法陣を書き変えると、薪が燃えていた暖炉の中にポイと投げ入れ、[火のアイオー]が赤く染まるのを待ってから「こっちは[ヒノモト]って名前にしよう!」と、しっかり冷めた[ヒノモト]をつまみあげ、動作確認をしようとして気がついた。


「あ、これ炎を吸収しるから出力も炎か。追い焚きには使えないや。スティック状の金属棒の先につけて点火棒にするか」


アオイは、[真鍮]と[ヒノモト]を使って、みるみるうちに着火用ライターを作り出し、マリーとリリーに使い方を説明すると、早速釜戸の薪に火をつけてもらった。


「塔にはこんな便利な物があるのですねぇ」

「違うよ! アオイが作ったんだよ!」

「え!?」


今まで、火打ち石を使って着火していたマリーとリリーの感嘆に、ナナは嬉々として説明した。


アオイはそのまま、台所にも湯と水が出る[オサレ蛇口]をつけ、シャワーやトイレなどの各種タンクに[スイゲン]と、水の温度を調節できる[オサレ蛇口]と同様の魔法陣を書いたタンクを設置すると「[スイゲン]の色が薄くなったら夜寝る前に井戸につけて置いて毎朝取り出すと良い」と、ざっくりとした運用方法を説明した。


「着火ぐらいなら[ヒノモト]でいいけど、火はやっぱ防災面で扱いが面倒だから。しばらくは慣れた薪と併用だなぁ。まぁ薪が燃えるの見てるの楽しいし良いか」


その場で光りを吸収する[コウゲン]も作って、真鍮製のランタンをツルツルと作ると「これも朝になったら外に吊るしておけば良い」と[魔石ランタン]を差し出した。


「[アイオー]使えるね! 良いね!」

「便利ねぇ〜」

「ねー!」


アオイとナナと、驚き喜びあうマリーとリリーを他所に、ライズだけがハチを不安げに見つめる。

ハチは首を振って「もうできてしまったのだ。気にするな」と笑うと、そのまま村中の家々に[魔道具]を設置して回った。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「こんな感じで色んな魔法を入れておけば良いと思うんだよね」


すっかり暗くなって、作ったばかりの[魔石ランタン]を手に、踊りながら家に戻ったアオイは、そのままサクサクとさまざまな[魔道具]を作成し試していく。


[アイオー]

無属性の魔石に[入力]と[出力]の魔法陣を描き、[変数名]を変更すれば、目的の物を収集して、収集した分放出できる。

今のところ収集確認ができたのは、魔法と、光と、水と、火だけ。

入力後、属性色に色が変わる。

対象物にさらさられている間入力し続け、対象物から離れている状態で使用者の魔力を通すと出力起動する。ただし、上限が未確認のため、容量・残量があっても、24時間で[入力]も[出力]も自動で止まる安全装置付き。


[各種魔法の素]

[アイオー]に吸収させた魔素を、アオイが【鑑定解析】できる各種魔法に変換して出力できる魔石。

面白がって色々入れてみた。

各種魔法の魔法陣を魔石に直接描き込み、魔素は周囲から自動回収するので、使用者は自分の魔力を通して起動させるだけ。(魔素の自動回収は、個体差はあれど【魔術】のスキル持ちにはデフォルトで備わっている)


「金糸だと使いにくいな。インクと、そうだ、ガラスペンを作ろ」


鍋の中に入ったままになっている金を金粉に変え、インクから取り出したメディウムを無造作に どぼり と入れて、混ざれと念じながら、適当に作ったガラス棒でくるくると混ぜる。

鍋の中の金は、瞬く間にトロリとした液状になった。


続いて、透明なカラの[アイオー]を、ガラスのペン先に[加工]して、インクを吸い込むように魔法陣を描くと、元々持っていたペン軸につけ、鍋の中の金色に輝くインクにつけた。


「ほい![魔法陣用万年筆]完成っと」


[魔法陣用インクと万年筆]

[アイオー]で作ったペン先を、インクにつけておけば、万年筆として使える。

インク瓶にインクとペン先だけ入れて、小さなトングでつまみあげ、専用のペン軸につける。


[ヒガン]([魔法陣用万年筆]の試し書きからの副産物)

紙飛行機の形に折り紙して飛ばせば、宛名に書いた名前の人の目の前に飛んで届く便箋。

送受双方が、名前を知っていて、直接会ったことがある魔力持ち限定。

紙である事に変わりはないので、受取人が[ヒガン]の通れる開口部の無い場所にいるタイミングでは手元に届かないため、周囲をウロウロしたり、窓や扉をノックしたりする可愛い設計。

当然受取人本人しか飛行機状態を解除できない個人情報のセキュリティはバッチリ。

火と水に弱いのが玉に瑕。


アオイの説明に、ナナが嬉々として紙飛行機を飛ばしまくり、後にマークとミルコとダンがびっくりするが、それは別のお話。


[フロートロック]

[アイオー]に〈浮遊〉の魔法陣を書き込んだ逸品。

重量に関係なく、上に乗せた物を浮かせる。

見た目は、八面体の透明な[浮遊アイオー]を、二つ紐で繋いだサンキャッチャー。

布の四つ端に紐をつけ、それにくくる事で地面からの高さを調節できる魔法の風呂敷。

何にでもつけられるが、布が1番扱いやすかったので、遊んでいたオルテガ柄のマルチカバーの四隅につけた。推力は無い。紐の長さに応じて地面から浮かすだけ。


「重い物を運ぶのに最適。これで薪運びも楽ちんだね」

「ねー!」


[魔石ランタン]

真鍮製のランタン。

効率よく光に晒すために、笠をずらせる外殻と、中央に[コウゲン]が吊るしてある。


[コウゲン]

光を入出力させる黄色い[アイオー]

六角柱の魔石。光にさらした分だけ光が貯まる。


[スイゲン]

水を入出力させる青い[アイオー]

カボションカットの魔石。水に浸け置いた分だけ水が貯まる。

海に入れると海水を、井戸に入れると井戸水を収集する。


[ヒノモト]

炎を入出力させる赤い[アイオー]

ブリオレットカットの魔石。火の中に入れていた時間分使える。

着火時こめる魔力で炎の大きさを調整できる。



「待て、待て待て、もう十分だ。その辺でやめておけ、アオイ」

「つい夢中になっちゃった! 【錬金錬成】スキル楽しい〜ありがとう神様達〜!」


次々とこの世界にない[魔道具]を作り上げていくアオイに、ハチは流石に待ったをかける。

出力魔力を持たない獣人のナナが、[オサレ蛇口]を応用し、魔力の流れに方向性を持たせた緑色の[アイオー]が付いた[スティック]を庭で試したあたりで「流石にマズい!」と慌て出したのだ。


「獣人が魔法攻撃を使えるなど、とんでもないことだぞ!」

「や、やり過ぎた? じゃあこれで最後」


アオイは、薪割りグローブに、エメラルドカットの緑色の[アイオー]を付けた[ブローグローブ]を作り、ナナに装着させると、手近な木の枝を目指して発動させるように言った。

ナナが拳を握って、魔力を込めながら腕を一振りすると、しっかりと狙った枝は、正しく〈風の刃〉で切り落とされた。


「ヤッター!」

「これで明日のダンジョンでは、一角兎を『グリッ』としないで済むね!」

「や、やり過ぎだ!」


何せ異世界チートを持つアオイの〈風魔法〉を詰めたのだ。効果はごろうじろ。

ぴょんぴょん飛び跳ねて大喜びするナナに、ハチは、聖霊獣様に似合わぬため息を盛大についた。


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