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SIDE ???

「うーん...今日はいないかぁ...さすがに毎日会えるとは思ってなかったけど、やっぱりずっと会えないとしょんぼりだなぁ...」


 タイトと出会ったベンチで、私、リオラはしょぼくれていた。


 こっちの世界に移動してからまだ30分くらいしか経ってないし、スキルのクールタイムがまだ3時間半くらいかぁ...暇だし、お腹空いたなぁ。

 こっちの世界の食べ物、おいしすぎるから困っちゃうなぁ。

 ...こっちの世界のお金持ってないから、何も食べられなくて困っちゃうんだけど。


「この世界って魔物もいないし、どうやってお金稼いでるんだろう...」


 ぐぅぅ...


「あ...お腹空いたなぁ...この星...えーっと、チキュウだっけ? に来る前に生まれ故郷の星 カイドウでなんか食べてくればよかった」


 でもなぁ...カイドウの食べ物って、あんまり美味しくないんだよねぇ。

 味が単調っていうか、スパイスとかも足りてないし、甘みや辛み、酸味とかの味が全体的に足りてないから薄いんだよね。


「この星の調味料ってなんであんなにいっぱい売っているんだろう。しかもみんな気軽にポンポン買ってるし、この星の人たちはみんなお金持ちなのかなぁ。でも、いっぱい売ってるっていうことは、そもそも安いんだろうな」


 実にうらやましい。この星の物を安く手に入れて、カイドウで売れば大儲けできそうなのに、

 私のスキルは異世界の物は運べないからなぁ...。

 あ、そもそもこの世界のお金全くないんだった。ひもじい。


「タイトからもらったアメド、おいしかったなぁ...」


 外の甘めの生地はざくっとふんわり、中にはしっとりしたお肉が入っていて...

 気軽に貰っちゃったけど、もしかしてあれもけっこう高いのかな?

 今度会えたらタイトにちゃんとお礼言わないとなぁ。


「それより...」


 暇だからちょっと夜のお散歩と行こうかな。


 ベンチから立ち上がり、歩き出す。


 私の見た目はなぜかこの星だと目立つみたいだし...やっぱ夜に活動するしかないかなぁ。

 なんだろう? やっぱこの白い髪かなぁ? カイドウだと割と見かけたんだけどなぁ。


 夜だと空いてるお店もほとんど無いし、今度は昼に来ようかな?

 でも前みたいに小さい子供に指を指されて色々言われるのは嫌だなぁ。


 ━━━


「ここがチキュウかぁ...いいねいいね! すごく発展してる街がある! これは美味しい物にも期待でき...」


「うわぁ! よっちゃんよっちゃん! 見てよあれ! あの女すごいぜー!」


「なんだよケンジー? うっおーー! ほんとだ! 真っ白だ! 白髪! 白髪!」


「え? 私...?」


 なんだか小さい子供達に指を指されている。


「なぁ! お婆ちゃんみたいだよな!」


「なっ!?」


 お婆ちゃん...!? この私が!? まだ19歳なのに...


「ちょっと! 私まだ19歳なんだけどぉ!?」


「うわー! ババァが怒ったぞー!」


「ヤーイヤーイ! 逃げろーー」


 ━━━



 ...嫌なことを思い出しちゃった。あーあ、タイトに会えないかなぁ。けっこうかっこよかったし。


「あれ?」


 なんだか向こうのほう明るい...


「空いてる店ある! こんなに真っ暗なのに!?」


 カイドウではこんなに夜遅くにやってる店なんてなかった。

 すごいな、チキュウはこんな深夜にも働いてる人がいるんだなぁ...すごいや。ちょっと考えられないよ。


「入っていいのかな...いいよね...」


 スーパーマーケット? というのは入ったことあるけど、これはどういうお店なんだろう?


「せぶろー...まーと?」


 セブローマート、か。なんとなくスーパーマーケットと語感が似てるなぁ。


 そっと扉に近づくと、自動で横に扉が移動する。


 ふふ、初めて見た時は驚いたけど、これは見たことあるもんね。もう驚かないよ!


「ピロリラリロ~ン」


「うわっ!?」


 何何? 何の音?


「あ、いらっしゃいませー」


「ど、どうも...こんばんわ」


「ふふっ、こんばんわ」


 お店の人にあいさつをしてから、店内を見渡す。


「おー...」


 スーパーマーケットというところよりはだいぶ狭いけど、置いてる物はなんだか似てるなぁ。

 夜遅くまでやってる小さいスーパーマーケットって感じだね。


「なんだかよくわからない食べ物とか飲み物もいっぱいあるなぁ...」


 あ、でもお金ないんだった。


 ...


 ......


 う、うーん。暇つぶしにはぴったりのお店だけど、さすがに何も買わずにずっと居座るのはよくないかなぁ。

 さすがにそろそろお店から出ようかな...ん?


「あ!」


 あ、あれは...タイトにもらったアメドだ!


 ううー...美味しそうだなぁ...


 むぅ...残念だけど、諦めて...あれ?


 ふらっ、と。身体が傾く。


「うっ」


 ヤバい、お腹がすきすぎて身体に力が...


 体重を支え切れず、思わずその場に座り込んでしまう。


「お客様!? 大丈夫ですか!?」


「ああ、えっと...はい、大丈夫です...ちょっとお腹がすきすぎちゃっただけで...すぐ出ていきます」


「ここはコンビニなので、食べ物はいっぱいありますよ。よかったら...」


「で、でもお金がなくて...」


「ふふっ、しょうがないですね。いいですよ」


「え?」


「最近タイトさん...あ、いやお客様がよく買われてるので用意してるんですけど、最近いらっしゃられないので廃棄する予定のアメリカンドッグがあるので、それでよろしければ無料で差し上げますよ。ほんとはダメなんですけどね。内緒ですよ?」


「え!? タイト!? タイトと知り合いなんですか!? それに今アメドって...」


「え? その略し方...タイトさんの知り合いなんですね」


 ...


 ......


「なるほどー...それでタイトさんと知り合ったんですね。でも、こんな夜遅くに女性1人で平気なんですか?」


「ふぇえへへ、ふぁいひょうぶれふよ!」


「あ、食べ終わってからで大丈夫ですよ」


 ムグムグ...美味しい! やっぱほんと美味しいよアメド!

 まさかタイトがいないのに食べられるなんて思わなかったよ。


「私、これでもかなり強いんで大丈夫ですよ!」


「そうなんですか? でも、夜は物騒ですからね。気を付けて下さいね」


「あはは、魔物もいない星だし、全然安全ですよー」


「魔物?」


「あ、いや、夜は魔物が潜むって...あはは」


 ヤバいヤバいヤバい、異世界人だってばらすとこだった!





 ...タイトの想い人と、異世界の女の子が、地球で奇妙な出会いを果たしていた。

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