表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

冒険者デビュー①

 あれ? 並ぶのはいいけど、これどこに並べばいいんだ?

 列が色々あるぞ……うーん? 表札みたいなのがかかってるけど、異世界の言語なのか読めな……いや? 読めるな?


 そういや人と話したときもなぜかちゃんと会話の意味が通じてるな。

 神様がなんかしてくれたんだろうな。ラノベでよく見る異世界転移者向けのサービスみたいなもんか。

 さすがにまず1から異世界言語の習得ってんじゃきつすぎるしな……。


「冒険者登録ができる窓口……あれかな?」


 いかにも初心者ですって感じの出で立ちの人が数人だけ並んでいる。

 すぐ空きそうだな。


「それにしても……」


 本当に異世界にきたんだなぁ……。


 アニメとかでは鉄板のクエストボードがあって、そこから依頼書? のような物を剥がす者。

 大きな素材を買取カウンターらしきところに持ち運ぶ者。

 明らかに種族が人間じゃない方達のパーティー。


 いやはや、昨日まで日本でサラリーマンやってたと思えないな。

 某テーマパークのハリ○タエリアとかもすごかったけど、やっぱガチの異世界には敵わないな。


「どうぞー」


「あ、はーい」


 ようやく俺の番がきたようだ。


「本日はどういったご用件でしょうか」


「冒険者登録をしたいんですが」


「かしこまりました。こちらの用紙に、氏名・年齢・職業・レベル・得意なスキル等がありましたら公開してもいい範囲でご記入下さい」


「これって嘘とか書いたりしたらどうなります?」


「特に罰則等はないですが、パーティーを組む際にトラブルの元になったり、クエストを受ける際に依頼者との信頼関係に響いたりするのでやめておいたほうがいいでしょうね」


「なるほど」


「それから、登録料が5万イェンとなります」


「5万イェン……」


 やっぱお金いるかー……5万イェンってどんくらいなんだ? ってか俺、文無しなんだが……


「えーっと……お金ないんですけど、素材の買取とかでなんとかなりませんかね?」


「はい、買取ももちろん行っておりますよ。それでしたら、あちらに素材買取カウンターがありますので、まずはそちらで換金後、あちらの記入コーナーで先程の用紙に記入して頂きましたら、またこちらのカウンターにお越し下さい」


「はい、わかりました」


「あ、あと、ひとつだけ注意点がありまして」


「注意点?」


「冒険者登録を行っていない状態でも素材の売却自体はできるのですが、換金率が少し下がります。ですので、所持金が5万イェンになるまで売却し、冒険者登録後に残りの素材を売却するのがオススメですね」


「なるほど。ありがとうございます」


「いえ」


 とりあえず素材を売りに行くかー……買取カウンターはあっちって言ってたな。

 うん、そこそこ並んでるな。すっと一番後ろに並ぶ。


 みんなでっかいリュックみたいなやつとかカバンみたいなの持ってるな……アイテムストレージってやっぱ貴重なのかな?


「ん?」


 なんだあれ……熊の手みたいなのがボロンしてるな……なんかリアリティーあってグロいな。

 熊の手もなんか使い道あんのかな……


「次の方ァ~~っ」


 ……なんか野太い声聞こえてきたな。なんだろう。女性? なんだろうけど、もさもさしてて……わからん。なんかなんかの獣人だろうか。


「はい! 買取をお願いしたいんですけど」


「ガッハッハ! そりゃぁここは買取カウンターだからねェ! 買い取るよ! 素材を出しな素材を!」


「あ、えーっと……じゃあこれはいくらですか?」


 アイテムストレージからごそごそと漁って、とりあえずグリーンスライムの魔石を提出してみる。


「ほっほー! アイテムストレージ持ちたぁ珍しいねえェ!」


「あ、珍しいんですか?」


「もっちろんさ! 正確な資料はないけど、100万人に1人くらいしか持ってないんじゃないかねェ? あんた、いい商人になれるよォ!」


「ははは……一応強い冒険者目指してるんですけどね」


「そうかいィ? もったいないねェ」


「はは……それで、これはいくらくらいですか?」


「ほゥ? これは……」


 なんだ、虫眼鏡みたいなやつを持ってめっちゃ凝視してる……

 どうしよう……持ってきたやつ全部二束三文だったら……

 グリーンスライムの魔石がせめて1個500円くらいなら、全部売れば冒険者登録費用くらいにはなるんだけどなぁ……


「珍しいねェ……あんた、どこでこれを手に入れたんだいィ? どっかで買ったのかい?」


「いえ、草原にいたので倒しただけですけど……」


「へぇェ! 見かけによらないねェ! あんた、強いんだねェ」


「え? いや……そうなんですかね」


「ああ、そうだよォ。何しろコイツがいるポイリー草原は毒系のモンスターばっかりいやがるからねェ……下手したらすぐに死んじまうよォ?」


 おいおいおい、神! 異世界転移者をとんでもねぇところに飛ばしてんじゃねぇよ!

 嫌がらせかよ! 世界の人手足りてねぇとかほんとか? わざと数減らそうとしてんじゃねぇの!?

 もうちょいで死ぬとこだったよ!

 ……最初にもらうスキルで状態異常無効化選んでてよかった。


「ま、まぁなんとか生きて帰ってこれたからよかったですよ。それで、いくらくらいなんですか?」


「そうだねェ、そこそこ貴重で使い道もあるからねィ。1個1万5000イェンってところだねェ」


「1万5000イェン……!」


 って言ったけど、よく考えたらこの世界の物価わっかんねぇ……後で屋台とか店とか行って相場でも調べるか。


「あ、冒険者登録まだ終わってないんですけど」


「なんだってェ!? あんた、まだ冒険者じゃなかったってのかいィ? こりゃ驚いたね……ギルドカードがないと、1個1万2000円だねィ」


「じゃあ、これ、5個売ります」


「はいよォ。じゃあ6万イェンね」


 よかったー……これで冒険者になれるー……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ