運命の出会い
ご覧いただきましてありがとうございます。
引き続き読んで頂いている方にはお待たせしました。
やっとこさヒロインの登場となります。
わたしだって好きでこんなに周りの目を気にして生きているわけではない。変われるものなら変わってみたいし……人生を変えられるものなら変えてみたい。
わたしはおもむろに拳を握りしめて強く天へと突き出した。
「…………よし」
わたしはそのちょっぴり恥ずかしい行動を見られていないかが気になり、周りをつい見回したくなったがそれをぐっ、と堪えた。
そして、勢いを殺さないように通りに出る。まだ昼にもなっていない。何か起こるにも時間は十分にある。すこし勇気を出しただけだというのにわたしは自分が最強の何かになったかの様な気になっていた。
周りを見回してみるけれどやはり変わったことは起きない。当たり前なのだけれど。
というか、さっきから若い男性の方ばかりを目で追ってしまう。人生を変えるとか大層なことを言ってみるけれど結局、興味のある対象って恋愛なのね。今更ながら自分もいっぱしの十代の女であると気づいた。
まぁ、それに気づいただけでも一つの成長なのか。今までは自分は恋愛になんて興味ないと決めつけていた節があった。嫌悪すらしていたかもしれない。興味がないのではなく、恋愛という世界に飛び込むことを恐れていただけだった。恋愛が低俗であるという思い込みなんてその理由づけに過ぎなかったのだ。
なんだか、今までの自分が全否定されたような気がして微妙な気分になってきた。
それに、恋愛に興味あるのかもしれないとか考えていたけれど、さっきからかっこいい人はチラホラ通るけれど、なにかアクションを起こそうなんて気にはとてもならない。
やっぱり、わたしは恋愛に興味がないのではないのだろうか。そんなことを考えながら歩いているといつの間にか大通りの終わりまで来ていた。そこは中央に泉のある円形の広場になっており、大きな教会が面している。
いつの間にか昼時になっていたようで教会の方から食事時の良い香りが漂ってきた。その匂いにつられて教会の方を見てみると中から一人の女の子が出てきた。その子の姿が徐々に太陽の光に照らされるにつれて、わたしの鼓動はみるみる高まり、耳まで熱くなっていた。
ショートパンツと胸部に巻かれたチューブトップ、その上からマントを羽織っている。そのラフな格好はきれいな褐色の肌をより強調しているかのようで、真っ白な教会をバックにした彼女は一枚の絵画の様に洗練されていた。入り口にある短い階段を一段また一段と下りてくる度にひらひらとマントがめくれ、わたしを挑発するかのように彼女の程よく割れたお腹が見え隠れしている。わたしは息をするのも忘れていた。
――自室のベッドに押し倒して、驚いて目を見開く彼女のチューブトップの下に手を滑り込ませた。そしてその控えめな胸の感触を確かめるように撫でつつ、中にある柔らかな突起に指先が当たる感触を探した。
上目遣いで彼女の表情を確認しながら、その下部にある艶めいた腹筋に舌をなぞらせると、少し塩っぽい彼女の味と匂いを感じる。するとその瞬間、彼女は眼をぎゅっと閉じ、そのかわいらしい口元から恥じらいの交じった嬌声を漏らした。
無意識でそんな妄想をしていたわたしの身体は、一部が異常に熱を帯びていた。
深い藍色で輪郭を覆う程度の短めの髪。こちらを試すかのような挑戦的な眼が印象的で、それがまた小悪魔的な艶っぽさがある。
そんな目がこちらを捉え、おそらく目が合った。
「あっ、しまった……」
彼女にくぎ付けだったわたしの視線に気がついたのか、まっすぐと彼女はこちらに向かってくる。はっと息をのんだわたしは、そっとスカートのすそで掌をぬぐった。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
ヒロインの魅力を少しでも伝えられていたらいいのですが……。
自分的には特に楽しんで執筆できたシーンでした。
では、次回もよろしくお願いします。ありがとうございました。
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