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最強呪族転生~チート魔術師のスローライフ~  作者: 猫子
最終章 支配者の再臨
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二話 とある火の国の凶兆②

「おお……確かにこれは、面白いですね」


 俺はペテロから渡された、世界の重要人物の脅威度序列百位のリストへと目を通していく。

 顔の絵の下に詳細情報が書かれているのだが、六十位から百位の序列下位に関しては、五大国王家お抱えの剣士や魔術師が安定して多いようだ。

 俺でもどこかで名前を聞いた覚えのある様な有名人が、ちょくちょくと混じっている。


 某水神四大神官の名前もきっちりと四人全員入っていた。

 やはり俺のペンラートの評価が圧倒的に高く、十九位の脅威度を得ていた。

 俺は少し満足し、一人で頷いた。


 ぱらぱらと捲っていると、見覚えのある仮面オカマの顔があった。

 ペテロのデータまできっちりと記載されているらしい。

 ただ、順位が思いの外に低い。


「……ペテロさん、ペテロさんが五十二位なのですが、この結果には納得しているんですか?」


 ……この人、不老化してまで生き続けているディンラート王国の怪人なはずなのに、こんなものでいいのだろうか。

 考えてみれば『刻の天秤(バランサー)』相手にもボコボコにされていたらしいので、妥当と言えば妥当なのかもしれないが……。

 

「ワ、ワタシはリムドの奴に奥の手を明かしてはいないのよ! 当然でしょう!」


「それに、ペテロ様は表立って戦われるタイプではありませんので」


 取り乱すペテロに対し、ミュンヒが冷静にフォローを入れる。


「そ、そうですね」


 しかし、五大国由来の人物や多いのはわかるが、それと肩を並べる程に、クゥドルの大神殿にて俺が衝突した『刻の天秤(バランサー)』所属の人物が多い。

 いや、総合的に見ると、一番戦力を抱えているかもしれない。

 特に、五十位から二十位に掛けては、『刻の天秤(バランサー)』とハイエルフばかりである。

 ハイエルフは寿命が多少長いだけのがっかり種族だと思っていたのだが、意外にも多くの実力者を輩出していたらしい。


「アベル、アベル……あれ、アベルがいませんよ?」


 メアは上位の方から序列の紙を漁っていたのだが、ある程度見終えたところでムっとした声を出す。


「当然でしょう。アベルちゃんのことも、極力リムドには伏せてあるわ。アイツを信用し過ぎると、大変なことになるものね。アベルちゃんも、不用意なことには巻き込まれたくはないでしょう? 切り札は伏せておくものよ」


「……でも、ジュレム伯爵も載ってませんよ、これ」


 一位にはデカデカと、どこかドヤ顔に見えるクゥドルの顔が描かれていた。

 奴の復活は既にリムドに知られているらしい。

 とりあえず、あれを超える化け物は発見されていないらしいということに俺は安堵した。


「……ジュレム伯爵は目撃情報は数あるのだけれど、戦闘になったって話は聞かないから、載せようがないのよ。戦って生き残っている子がいないのかもしれないわね」


「でも、ペテロさんはまともに接触したはずじゃ……」


「……リムドにも伯爵の情報は共有しているけれども、まだどこまで伝えるかは悩んでいるのよ。敵に回ることも十分にあり得るものね。お互い、自国の機密を相手に切り渡しているっていう弱みを握っている立場だから、易々と裏切られることはないはずだけれども……警戒しておくに、過ぎたことはないわ。リムドは、本当に化け物よ。マハラウン王国史上最強の魔術師と呼ばれているわ」


 マハラウン王国のリムド五大老は、アルタミアの十五位を凌ぐ、十三位に格付けされていた。

 リーヴァイ教の刺客ラスブートに圧されていたらしいアルタミアの評価がここまで高いのは、錬金術師としての能力を危険視してのことだろう。

 単純な戦闘能力でいえば、リムドとアルタミアの間には大きな壁があると考えるべきだろう。


 上位十位以内は、どうやらまだ宝具をため込んでいると誤解されているらしい収集家の順位がギリギリ十位に引っ掛かっているのを除けば、物々しい名前の高位悪魔ばかりがずらりと並んでおり、一人として人間がいない。

 

 一位が法神クゥドル、二位が『刻の天秤(バランサー)』の陰のボスとしてマハラウン王国が調査しているらしい正体不明の悪魔ディオムズ、三位は神話時代に火の神マハルボが多くの高位悪魔を用いて儀式によって造り出したとされる『百業の王』、四位が王族を傀儡にして小国を幾つも滅ぼしていると噂される『歴史を屠るモノ』の異名を持つ大精霊シムに、続いて五位が偽神メドを討つべく水の神リーヴァイが遣わした使徒アーヴェルとなっていた。


 ……おい、俺も一瞬見逃しそうになったが、きっちり載っちゃっているじゃないか。

 ただ体格と言い顔つきといい、言われてもちょっと気づけないレベルで俺から掛け離れている。

 なんだかもう、肉体美を意識した彫像みたいになっていた。

 サーテリアには俺がどう見えていたんだ。


「……メア的には、このアベル、ちょっと筋肉質過ぎて嫌です」


 メアが目を細めてアーヴェルの絵を見つめていた。

 俺的にはカッコいいと思うし、実際これくらい筋肉も欲しいのだが、黙っておくことにした。


 しかし、ペテロも情報伏せてる以上、リムド五大老も把握している魔術師や高位悪魔を伏せている可能性が高い。


「それで、このリストはなんのために俺に?」


「まあ、それはアベルちゃんを喰いつかせるための餌の意味合いが大きいのだけれど……」


 ペテロがさらっととんでもない事を口走りながらも、リストを漁り、五枚の紙を抜き出した。

 マハラウン王国のトップである五大老の顔ぶれだ。

 リムド五大老が十三位に位置付けされているのに対し、他の面子は五十位から八十位の間に散っている。


「リムド五大老以外は大したことないんですね……他はペテロさんより下ばかりじゃないですか」


 俺が落胆を込めて息を吐くと、ペテロが下唇を噛みしめながら俺を睨む。


「ワタシを基準にするのは止めてもらえないかしら?」


「……彼らは、血筋で選ばれているだけの五人を、いつの世代でも世界指折りの実力者相応にまで持ってくるから不気味なのです。アベル様を考慮から外せば、ディンラート王国よりもマハラウン王国の方が上位の魔術師や剣士の質は勝っているでしょう。戦争になれば、この差は大きな意味を持ちます。リムド五大老は暗に、このリストでそうペテロ様に圧を掛けてもいるのですよ」


 ミュンヒが業務的な口調で俺へと淡々と伝える。

 どうでもいいことではあるか、俺はあまりこの人から好かれていない気がする。


 しかし、ここでようやく戦争の話に繋がった。

 確かにこうしてリストで並べて見せられると、何となくだが各国の戦力差が伝わってくる。

 これだけ見ていると、序列十位以内を考慮から外せば、戦力が大きい順に天空の国(アルフヘイム)、マハラウン王国、ディンラート王国、リーヴァラス教国、ガルシャード王国となっているように思う。

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