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第8話 お嬢様はネトゲ廃人?

 

「これでいいのかしら?」

「そうそう、それをクリックすると攻撃が開始されるんだ」

「あ、あぁ!なんだか減ってる!」

「それのバーが無くなると死んじゃうから、回復アイテムを使うんだ。こうやって、こう」

「案外簡単ね」

「まぁね、馴れてしまえば息をするのと同じだよ」


 机の上にパソコンを2台置いて、2人してパソコンの画面に目を向ける。

 今やっているのは俺がニート時代にやっていたMMOオンラインゲームだ。

 単純な操作方法で誰にでも操作ができる上に成長もしやすく、可愛いキャラなので初めてやる人になかなか良いゲームでもある。

 まぁ、課金制なのでお金が必要なのだけど…リアナに関してはその点は関係ないだろう。


「あれ?京也のキャラクターはどうしてダメージが1しか出ないの?」

「そりゃレベルが違うし」

「京也ほどになるにはどのぐらい掛かるの?」

「ん~、毎日20時間ぐらい狩りを続けてれば1ヶ月でいけるんじゃないかな?」

「……あなたがニートだったっていう理由はよくわかったわ」

「ちょ、ちょっと待て!俺はそんな廃人じゃない。せめて10時間程度だ」

「はいじんって?」


 リアナは俺の10時間借り続けるということを無視して、廃人という言葉に興味を持ったらしい。

 なるほど、冴子さんが日本語の教師的な事をしていたっぽいから、こういう単語は知らないのかもしれない。


「ん~簡単に言えばゲームにしか興味が無い可哀そうな人かな」

「具体的にはどういう人なの?」

「ずっとパソコンの前を動かない。食事もトイレも」

「と、トイレも?えっと…それは…」

「聞きたいなら教えるけど…聞かない方が良い」

「そうね。私はそこまで行くことはなさそうだし」

「いや、行かさないから…」


 一国の王女になりうる存在がネトゲ廃人なんて笑えない冗談だ。

 それも原因は俺になるのだから社会的に殺されるどころの話では無い。


 横でカタカタと操作をするリアナを見ながら、自分のモニターではリアナを支援していく。

 こういうことをしているとリアナってのは本当に16歳らしい女の子だと思う。

 色んな事に対して興味を抱き、実行する。行動力のある子だ。

 しかし、この前のパーティーを開いた時は驚かされた。


 俺に着させられたスーツは100万以上するものであり、馬子にも衣装という感じで、なんとかパーティーの中に居ても不自然ではなかったが、参加者が凄過ぎる。

 総理大臣に、各界の大御所、各国の大使館のお偉いさん、日本を代表するようなお金持ちの方々、などなど本当の大御所たちが集まっていた。


 その中でもリアナは飛びぬけてオーラを放っており、すぐにどこにいるかが分かるレベルだ。

 そして、その大御所達が自分よりも2回りも3回りも年下の女の子に頭を下げているのだ。

 あれにはかなりの衝撃を感じた。


 俺って本当にすごい子にタメ口で話しているんだなぁって。

 もちろん、そのパーティーの間は執事らしい話し方をしていたけど。

 しかし、まぁミノリア王国の現・王位後継者第1位の子の執事が日本人というだけでも大ニュースだったらしく、総理大臣に頭を下げられる俺にリアナもミルフィさん、そして冴子さんでさえパーティーが終わった後に爆笑していた。


「ねぇ、レベルが上がったんだけど、どれを上げればいいの?」

「え~っと、リアナが育ててるのは魔法使いだから賢さだね」

「これ?」

「そうそう。それを俺がOKって言うまで上げ続ける」

「わかったわ。それにしても意外と面白いのね。顔の知らない相手だと皆フレンドリーに話かけてくるし。京也に友達が多いってのも意外だわ」

「心外な。ネットではちゃんと団体行動取れる」


 このネトゲーはリアナにとっては良いのかもしれないな…。

 普段、常に上に見られる子でもこのネットの世界では皆、平等だ。

 ある程度やれば上下関係ってのが出てくるけど、リアナの現実の世界ほどはない。

 皆、現実から離れてネットの世界にいるのだ。現実と同じような事はしてはならないという想いがどこかにあるんだろう。

 そんな世界だから、今の状況のリアナには良いリフレッシュになる。


 少しだけ、このネトゲーを進めたことに安心感を抱きながらリアナのレベル上げのお手伝いをすることにした。


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