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第2話 大変なことに巻き込まれちゃった?

 

「え、えっと……もう店仕舞いする予定なんだけど……って、客だよね?」


 この店には全く似合わない可愛い女の子。

 顔はどこかで見たことあるような、誰でも可愛い!と思ってしまうような洋風な顔立ち。

 目はTVで見る外人さんによくいる綺麗な青色をしている。

 髪はサラサラとしてそうな、とても染めた色とは思えないような金色に染まった髪。

 肌色は太陽に当たってるの?と言いたいぐらい白い。

 身長はだいたい140後半と言った感じで小学生だろうか?

 服装は、今時の子のような派手なお洒落では無く、むしろ地味な無地の黒シャツにジーンズという服装。だけど、その服装ですら可愛いと思わせるほどのオーラを持っている感じがある。


 それにしても、この子はもしかして、ここに転校してきて、日本っぽいこの駄菓子屋に行きたくて行きたくて仕方が無く、親の手を逃れて走ってここに来たのかもしれない。

 さっきから身体を揺らして息をしており、何かに怯えてるみたいだ。


「え~っと……い、いらっしゃいませ」

「…助けて」

「は?」


 親から助けろって…どうして俺がそんなことをしないといけないのだろう…。

 女の子は綺麗な青色の目に涙をうっすらと溜めて、俺の方を見てくる。

 よほど、怖い親なのかもしれない。

 それに…この人形みたいに完成された子にお願いされたら断りずらい。

 親との間に入るぐらいはしてあげよう。


「ほら、こっちに来なよ。何があったか知らないけど、間には入ってやるから」

「………」


 手招きをして女の子をこちらに来させる。

 そして、店の奥に入るように言う。


「靴脱いで入って、持って入ってね」

「そのぐらい知っている」


 靴を履いたまま上がろうとした女の子は恥ずかしそうに頬を赤く染めて靴を脱ぎ、奥の方へと急いで入っていった。

 そして、女の子が奥に行ったと同時に再び、ドアが壊れるのではないか?と思うような大きな音を立ててドアが開かれる。


「すみません、もう店仕舞いしようと思っ………」


 プロレスラー?と言いたいような大きな男たち3人とイケメンで頭のキレそうな男が店に入ってくる。

 ……これはお客様では無いな。それにさっきの女の子の兄貴ってわけでもなさそうだ。


「すみません、先ほどこちらに金髪の女の子は来ていませんか?」


 イケメンの男が俺に質問をしてくる。

 これは本当に兄妹ってわけでも無さそうだ。というか、凄いことに巻き込まれていそう…。


「あ…えと…その…」


 頭の中は意外と冷静に"今は嘘を言ったほうが良いな"という判断をしてくれたのだが、後ろの怖い男たちのせいで口がパクパクとしてしまう。

 イケメンな男はそんな俺の心を読み間違って取ったのか、ニコっと怖い笑顔をする。


「大丈夫です。この男たちは護衛ですから」

「い、いや!怖ぇよ!!てか、なんだよ!急にやってきてさ!」

「すみません。おい!てめぇら、ちょっと外で見張ってろ」

「はい!」


 イケメンの男が俺に話かけるような優しい声では無く、ちびりそうな声で大柄の男たちに命令をする。

 大柄の男たちは彼の言葉を聞くと、急いで外に出て行く。

 このイケメン、相当怖いらしい。


「すみません、怖がらせてしまって」

「いや、まぁ…こっちも取り乱したけど…」

「それで、このような女の子を見ませんでしたか?」


 男はカバンの中から一般的に知られている雑誌を取り出して、あるページを俺に見せる。

 そこには「ミノリア王国のお姫様」といった特集が書かれており、高そうなドレスを着た女の子の写真が載っていた。

 青い綺麗な目で太陽にも当たったことのないであろう白い肌。そして綺麗な金髪に洋風の整った可愛い顔。


「……この子、この世にいるの?」

「はい?」

「いや、こんな可愛い子、この世にいるのかなぁって」

「あ、あの…何をおっしゃってるのか理解が」

「いやぁ、こんな可愛い子って人形だけかと思ってたから。この子だれ?日本に来てるの?」

「は、はい」

「それで逃げられたの?さっきの感じだとそんな雰囲気あったけど」

「…すみません。ありがとうございます」

「えっ、あ、ちょ待ってよ」

「すみません、このことは他言無用でお願いいたします」


 イケメンの男はポケットの中から札束を俺の手の上に置くと、店を出て行く。

 そして、店の外ではイケメンが何やら大柄の男たちに命令をしたのか、走り去っていった。

 あのイケメンは、頭はキレるけど自分が有意な立場に居ないとダメなタイプだな。と勝手に思いながら店のシャッターを閉める。


 そして、商品に埃が積まないようにカバーをしてから店の奥へと入っていくと、さっきの女の子は部屋の端の方で小さく丸まりながら耳を塞いで震えていた。

 まぁあんな大柄な奴らに追われれば、こうなるのも仕方が無いわな。


「もう大丈夫だよ。あいつら、これを俺に渡してどっか行ったから」


 女の子の前に座って、耳を塞いでいる手を退かす。

 そして、その手の上に札束を置く。


「それ、君のだろ? ミノリア王国の王位後継者第2位のリアナ様」

「……ごめんなさい」

「別に謝らなくても良いよ。何があったかなんて知らないけどさ、ここに居たいなら居ればいいよ」


 小さな声で謝る女の子の頭を撫でてから、お茶を入れるためにキッチンへと向かった。


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