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第1話 ぷろろーぐ?

初めましての方は、はじめまして。

お久しぶりの方は、お久しぶりです。


また小説を投稿させていただきました。



 

 俺の名前は三戸京也。

 そこらへんにいる普通のニートで、17歳だ。

 ハッキリ言ってすでに人生は積んでいると思う。


 俺は小さい頃から人と話すことが苦手だった。

 特に自分と相性が悪いと思った人とは話したくも目も遭いたくなかった方だ。

 そのため、集団行動ってのがとことん嫌いで、小学4年生の時に家に引きこもった。

 ちなみにずっと今まで引きこもっていたわけではない。中学2年の頃にはすでに引きこもるのに飽きていたから外に出たりはしていた。

 つまり引きこもり歴、4年と言ったところだろうか?


 引きこもりを止めてからは、ちゃんと朝も時間通りに起き、普通の生活をしていた。

 ただ、他とは違うのは学校に行かないだけだ。

 朝起きて、ジョギングをして、一応勉強をして、ゲームして、お昼食って、ゲームして、ジョギングして、飯食って、風呂入って、寝る。このパターンが続いていた。


 そして、16歳。世間では高校生になっている頃だろう。

 義務教育を無事終えた俺を両親は「あんたみたいな寄生虫、さっさと死になさい」と言われ、家を追い出された。

 そこからは本当に大変だったさ…。

 一応、親の良心ってのも少しだけ存在していたらしく、家を追い出す際に引き取ってもらえるであろう場所と100万円の入った通帳を渡された。

 こんなどうしようもない俺を引き取ってもらえる場所は祖母の家だ。

 祖母は昔から俺を可愛がっていてくれたから引き取ってもらえると思ったんだろう。


 両親の予想は見事に当たり、祖母は俺を引き取ってくれた。

 祖母は祖父が生前に営んでいた駄菓子屋で1人暮らしをしているため、俺が来た時は「嬉しい、嬉しい」と喜んでくれていた。

 祖母は本当に嬉しかったらしく、俺を甘やかすかのように、再び引きこもりという世界に誘うかのように甘えさせてくれていたのだが、それはもちろん俺も強い精神で何とかニートの生活を維持していた。


 しかし、そんな幸せな生活もカエルが鳴く頃に終わりを告げる。

 祖母が亡くなったのだ。それからは大変だった。

「祖母を殺したのはお前だ!」と言いがかりを元・両親から言われる始末。

 しかし、本当の大変さはここからだった。


 祖母は遺産として2億円というお金を残していたのだ。

 そして、祖母が残した遺書にはなんと…「三戸京也にすべてを」と言った内容が残されていた。

 祖母の知っている三戸京也ってのは俺しかいない。

 しかし、元・両親は「それは無効だ!」と言い張ったため、問題が起きた。

 俺も貰える物はすべて欲しい。それに元・両親は2億円にしか興味が無いのは丸分かりだ。

 2億円を手に入れればこの駄菓子屋を壊す気だろう。


 この駄菓子屋は俺の幼い頃の思い出の詰まった場所であり、祖父が祖母に、祖母が俺に残してくれた物なのだ。

 元・両親は「俺がまだ未成年であること」「自分の子供なのだから、こいつの物は自分たちの物」というジャイアニズムを発揮させ、弁護士を雇う。

 しかし、ここは俺の見せどころだ。色んなゲームを網羅してきた俺にとって裁判なんてものは「異議あり!!」で押し通せるものだと知っている。もちろん冗談だけど。

 そして、祖母と暮らしていた半年近くの間で祖母が如何に凄い人脈を持っていたのかってのも知っていた。

 祖母の想いが壊される。と祖母の知り合いである超有名な弁護士さんに100万円を持って相談にしに行くと、弁護士さんは「美代さんの気持ちを尊重しよう」と快諾。

 俺は祖母と暮らした半年間。その間に、祖母から聞いたあの駄菓子屋さんの大切さ。俺が元・両親に捨てられた事。元・両親と祖母の関係。などなどを話した。


 そして、家裁では見事勝訴。

 そもそも、元・両親は祖母に離縁を喰らった身であり、離縁されてからは一度も会っていない。

 俺が小さい時に祖母の家に行ったのは1人でであり、その理由も元・両親が2人で旅行に行きたいからという理由。 それが裁判官の心を大きく動かしたのだろう。


 見事、祖母の気持ちを守った俺は、弁護士さんにお礼として100万円を渡そうとしたが、弁護士さんは「昔、美代さんにお世話になっていたんだ。これは少しばかりの恩返しなんだよ」と言い、お金は受け取ってくれなかった。


 ちなみに元・両親は敗訴した上に、俺がこうなったのは「小さい頃に構ってあげなかったからではないのか?」「京也くんが両親と遊んでいる所なんて見たことがない」など、世間的に色々言われ、今はどこにいるか分からない。



 そんなこんな経緯を辿って、俺は今、祖母の残してくれた駄菓子屋でひっそりと暮らしている。

 だいたい、1日に来るおガキの数は10人程度。落としていくお金は1人100~150円程度だが、見せてくれる笑顔でそんなのどーでもよくなってしまう。


「おい!京也!!当たり入ってないぞ!」


 常連客の小学1年であるつとむが言いかかりを付けてくる。


「あぁ?んなわけ無いだろ、それ業者から来るのをそこにそのまま置いてんだから」

「だってこれだけ勝っても当たりが出ないんだもん!」

「あ~、残念だな」

「なんだよー!詐欺してるって周りに言うぞ!」

「詐欺って…お前、どこでそんな言葉覚えてんだよ」

「ママの見てるTVで言ってた!」

「あ~…まぁいいけど。明日、また挑戦してみな」

「また金取るのかよ!」

「さぁ?明日になれば当たりが出るかもよ?」


 10円玉を受け取り、ハズレであるお菓子を渡す。

 司は納得のいっていない顔をするが、毎回こうなので諦めたように友達と一緒に店を出て行った。


 子供たちが居なくなったこの店は再びシーンと静かになる。

 俺はその中で司がチャレンジした当たりくじの箱を開け、当たりクジを探す。

 次、司が来た時に当たりを引かせるために。


「ったく…本当に当たりクジ少ないな。これ」


 ライトに照らしながら、ハズレか当たりかを見ている最中に思わず呟いてしまうほど、当たりが少ない。

 まぁ商売っていうのはそういうものだから仕方が無いけど。


 当たりクジをすべて見つけ終わると、その当たりくじを別の場所に避けておく。

 次、司たちが来る前に箱の中身を全部当たりにしておくためだ。

 もちろん、ハズレクジしか入っていない箱は「売り切れ」ってことにしておく。


「よし、もう来ないだろうし店仕舞いするか」


 19時近くになり、常連客も来ない時間だ。

 俺はシャッターを下ろすために腰を上げようとすると、普段ではまず聞かないような激しいドアの開く音がした。


 そして、開いたドアから入ってきたのは…ものすっごい美少女だった…。



誤字訂正しました。 おもちゃ屋→駄菓子屋

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