"信心"
御物の間に入る際には、二礼二拍手一礼が礼儀とされて居る
管理は『神職』と呼ばれる、手順に精通した信頼有る者が行い、通常は神棚が開かれる事は無い
神棚からは絶えず水音の様なものが聞こえ、神職による説法の最後には必ずこの音を聴く為の時間が用意されて居る
神棚の扉の先は、子供がかろうじて通れる程の横長矩形の穴が空いている
漂う臭気は心地良いものではなく、この村に在る物で例えるならば──誤解を恐れないのであれば、それは に近い臭いだ
空洞の奥行きは底知れぬ深さを持って居て、なおかつ複数の曲がり角を有して居る
祝祭をはじめとした村の行事は例外無く御物を中心として居て、人々は行事の度に御物へと平服する
神職ですら御物の内容について一切を把握して居らず、識ろうとする事自体が村の禁忌になって居る
村には「果て」が存在する
村はおおよそ1km四方の面積をして居り、即ち中心から数百mも歩けば「果て」へと辿り着く
「果て」には金属製の錆びて汚れた壁が存在して居り、窓は存在して居ない
これは村の所在地が土中である為だが、村内にそれを識って居る者は居ない
村の道徳の規範は御物に由来して居る
神職は御物の声を聞き、様々な決定を下す村長の役割も有して居る
各家庭には御物の神棚を模したものが在り、家長がそれを厳密に管理する
神棚の傷や汚れは心の乱れであると断じられ、処罰が発生する事も有る
神棚の扉の先は、実際には単に下水道に通じて居る




