49話 これ言うてもあと10か15話ぐれぇで終わるぞ!!!
明日も学校。めんど。
ホンとムシヨケは、二人である場所に向かっていた。
「あの、ヘッドホン様? どこに向かってるんです?」
「ん? あぁ、前回のバトロワの雪辱を晴らしてやるネン。」
そうして二人は、とある場所にたどり着いた。
そこはスーパーの巨大な冷凍庫だった。今は真夜中。目を盗んで入り込んでいるのである。
「相変わらず陰気臭ぇとこに隠れてんなッッ! 陰気臭いシングがよ!!」
ホンは急にそう叫ぶ。冷凍庫にホンの大声が響いた。
「……うるさいのが来たね。」
冷凍庫の冷気に紛れて、一人の白ワンピースの女が姿を現した。そう、ホレイザイ森岡さんである。
「なにその擬態。どういうつもり?」
「あぁこれか? これは気分だでッッッ!」
今のホンは一ノ宮カズサの身体に擬態している。喋り方もちょい似てるから、ホントに二人目のカズサ感がある。
刹那!!!!(バカ)
すんごい吹雪が来て、ホンの下半身を凍て付かせた!
「おぉつめたいねくぉれ。毎回タバコ吸いにベランダ出るたびに寒いからダウン着てる作者とおんなじ心境ですよくぉれ。」
はいそうです。寒い。マジで。こんな寒いのにまだ蚊とか出るんだぜ。頭おかしいわ。
「……バカバカしい。寒さなんて感じないクセに。」
「冗談やがな! 冗談ですよ。」
「ヘッドホン、アンタが気に入らないのよッッ!」
森岡は擬態を解き、ホレイザイシングとなって、今度は無数の氷柱を放ってきた。
「おぉあぶねあぶねあぶねっ」
相変わらずのゴミリアクションで、氷柱を全部手で弾いた。ホンはまだ擬態を解かない。
「あの……」
「ムシヨケ。お前は下がってな!」
「御意。」
言われてムシヨケは下がる。その内にも、ホレイザイは一歩一歩近づいてくる。
「お前が最強のシングって言われてるのが腹立たしいッ!」
氷柱の数はどんどん増えている。
「お前はただ、怪我も厭わない捨て身の特攻をしてるだけ。お前の戦い方が予想外すぎて毎回勝ててるだけ! ヘッドホン、お前は実力で勝ててるわけじゃないッ!」
「……。」
ホンもどんどん捌けなくなってきた。
「お前は『神』になる資格がないッ!」
そして、ホレイザイは最後に超至近距離からどデカい氷柱を放った!
だが、その氷柱は一瞬で粉々に砕け散った。
「ホレイザイ。お前なんか勘違いしてるぞ。」
ホンは擬態を解き、赤い怪人、ヘッドホン・シングとなった。足元の氷も、飛んできた氷柱も、一瞬で全部破壊したのだ。
「バトロワには確か、十回連続で優勝したらホンマモンの『神』になれるって設定あったよな。」
「確か、って……」
これ新出の設定ですねこれね。
バトロワに一回優勝したら神になれて、六千万年は地球を自由にできる。だが、バトロワに十回連続で優勝した場合は。
「ホントの神。すなわち、永遠に地球を支配する力を持つ。」
要するに、六千万年と言わずに、永遠に地球を支配できるのだ。無論、その『本当の神』が誕生すれば、バトロワは永遠に行われなくなる。
「まあつまりよ。お前らシングどもはそれになりたいんだろ? 俺は違うけど。」
「ッ……!」
「俺はただ戦いを楽しんでるだけ、だから別に神には興味ない。まあ百億年ぐらい前までは俺もそれなりたかったけどな!!」
ホレイザイは動揺し、後退する。ヘッドホンの考え方が異次元すぎて気圧されているのだ。
「ほいッ!」
ヘッドホンは地面に転がっている氷の欠片を蹴り上げた。欠片がホレイザイの顔に当たる。
(ッ、しまっ……)
「このバトロワは明確に相性がある。お前じゃ俺には勝てないやで^^」
ホレイザイが一瞬目を瞑った隙に、ヘッドホンが顔面をぶん殴る。
ホレイザイは地面をズザーって感じでぶっ飛ばされ、冷凍庫の壁にぶつかった。
「そして俺も苦手とする相手はいる。ハリとかパイプとかな。だが俺はそれでも勝てるのよ。なぜだか分かるか?」
「……何で?」
「戦いを楽しんでるからよそりゃ。」
ヘッドホン・シングが最強のシングと呼ばれる由縁。
それはコイツが超戦闘狂だからである。
「……今回も倒してやるッ!」
ホレイザイはそう言い放って、今までで一番多い量の氷柱を発射してきた。
「……。」
ヘッドホンはパンチと蹴りで全て破壊してみせる、が、それが終わった頃には、ホレイザイシングは冷凍庫から姿を消していた。
「ハッ! 雑魚が!! バーカ! 一生逃げてろ!!」
「ヘッドホン様流石!! ヘッドホン様万歳!!」
二人はアホっぽく喜んだ。まあ一応ホンは前のバトロワでホレイザイ(デンチとのコンビ)に負けてますからね。そら喜びますよ。
「ふう。さてムシヨケ。お前の最初の仕事だ。一ノ宮カズサ、芹沢モモモ、バスターナイト山田の三人の動向を探れ。そして随時俺に報告してくれ。」
「え? なぜバトロワに無関係の人間の調査をするんです?」
「いいから!! アイツらはもう無関係じゃねぇ!! さっさといけ!!」
「御意っ↑」
ホンにそう言われて、ムシヨケは上擦った声でそう言い立ち去った。
冷凍庫に残ったのはホン一人。
「……。」
ホンはおもむろに冷凍庫に保存されていた豚肉を手に取った。
そしてそれを、骨ごと、梱包のプラスチックごと食べた。バリボリ音を立てて食っている。
「なんも味しねぇな!! 死ね!!」
豚肉はもう死んでるのに暴言を吐いて、肉を吐き出して捨てた。




