32話 若干バカ回!!!!
あらすぅじ
変身解除してもカズサとホンの入れ替わりが戻らない!
「やったあぁああ! 人間の身体だあァアア!」
「ちょ、ちょっと!」
ホンはカズサの身体を手に入れて、めっちゃはしゃいどる。
「おいホン! なんで元にもどらねぇんだ? まさか俺一生このままか?」
「いや、多分それはないぜ!!」
モモモを置いてく勢いで駆け出しながら、言う。
「多分お前と俺が入れ替わったのは、脳の負荷が原因だ。カズサが正常に戻った今、元に戻るのは時間の問題だと思うぜ!」
「なるほどね。完全に大体分かったわ。てかいい加減走るのヤメロ!!」
ホンは一直線にどっかへ走っている。モモモは修行したとはいえ所詮隠キャ女子なので、はるか後ろに置いてかれている。
「ふぅ……これが『疲れ』ってやつか。気持ちいいな。」
ホンはようやく立ち止まって、ゼーハー言ってる。
カズサはここで納得した。
シングは痛みを感じないから、こういう疲れとかも感じることができない。ホンは疲れてみたくて走ってたんだと。
「ふーんなるほどね?」
「とりあえずよ! カズサ、この身体しばらく借りるぜ! 人間の身体でやってみたいこといっぱいあんだ!!」
そうして、ホンはカズサの身体でやりたい放題やった。
まず一人水中息止め大会。
「ウバババアァアア!!!! 息ができねぇぜ!!!」
「「ならさっさと上がれ!」」
動けなくなってからモモモに救出された。
次、美味しいもの食べる大会。
「ウニうめぇえぇえ!!! いてぇええ!!」
「トゲを食うな!」
今は戒厳令中だから飲食店がやっていない。だから海まで泳いでダイビングでウニを取って食っている。脳筋すぎる。血だらけの口をモモモに治してもらう。
次、橋の上から飛び降り大会。
「それはヤメロ!!!」
モモモが回復してくれるとはいえ、骨が自分の身体から飛び出すのをカズサは見たくない。
誰もいない街中で、ホンはあっちゃこっちゃ走り回っていた。そんなこんなで、ホンはようやく遊び疲れたようだ。
「ふぅー、人間の身体って素晴らしいな!」
「ほんとに頭悪いわ。ほんとに。マジで。ほんとだよ♡」
ようやく立ち止まり、近くのベンチに座る。モモモもやっと終わったかと言った様子でホンの隣に座る。
やっとゆったりモードですよ。ホンはカズサの身体で深呼吸して、息を整える。
「あっ!」
ホンが何かを見て、声を上げる。
「何だよホン。まだなんかあんのか。」
ホンはある一点を指差す。カズサとモモモがその方向を見ると、桜の木があった。
「桜だ!!! おいカズサ! モモモ! 桜だぞ!!」
「見りゃ分かるわ。」
二人は生まれたときからずっとこの桜年町(読み方ずっと書いてなかったけど『おうねんちょう』ね。書き忘れてたわ☆)に住んでいるからあんま桜にありがたみがない。
でもホンは桜を見て大興奮している。
「桜ってああいう色だったんか。」
「え?」
カズサは耳を疑う。桜の色はピンクに決まっているのに。
「いやね。シングっていうのは五感があんまり無いんですよ。色とか味とか、何となくでしか感じられないんよね。桜ってずっと薄いピンクに見えてたわ。」
「はぇ〜すっごい……。」
「シングは目悪いんだ^^」
だから人間の身体を手に入れて、五感が良くなったホンはずっとはしゃいでいたのよ!
「「なんかかわいそうで草^^」」
「いや勘違いすんな。別に俺にとっては薄いのが普通だから。まあ鮮やかに見えるのは素晴らしいと思うけど別に羨ましいとかそんなんじゃないネン。」
「強がらなくてもええんやで^^ よしよし^^ かわいいで↑ちゅ↓ねぇえぇぇ↓↓↓^^」
カズサがうんこカス煽りを繰り出す。^^←この顔文字すこ
「じゃあさ。さっきのウニとかじゃなくてちゃんと美味しいもの食べようよ。」
モモモは提案する。いつ入れ替わりが戻るか分からないホンは、早速その提案に乗った。
*
「あらぁあカズサくん!!! 来てくれたのね!?!?」
「どうも^^」
ここはモモモの洋風の邸宅。エレガンスな中庭を抜けて、コマンドーな居間に三人はいた。
そしてカズサくんに大声で声をかけたのは、モモモの母親、芹沢リンゴさんである。
「あら? カズサくん髪染めたの!?」
「そうなんすよ^^」
「似合ってるわよ! なんかちょいワルな感じで!」
「あざっす^^」
ちなみにまだ入れ替わりは戻ってないので、ホンがカズサのフリをしてます。
「……で温泉旅行ではなんか進展あったの?」
リンゴさんはめっちゃ無粋にそんなことを聞いてくる。
「あー! 私たち中庭でお茶してくるから! ほらカズサ行くよ!」
「あーそっすね^^ 中庭でお茶してきます^^」
モモモは余計なことを言わないために、さっさとカズサを連れてって中庭に行った。軍に追われてましたとか、そんなん親に言ったら面倒なことになりそうである。
「ふふふ、進展はあったようね。私の見立て通りだわ。」
リンゴは変な誤解をしながら、お茶を用意した。
リンゴが去った後、カズサ(ホン)とモモモは中庭のテラスでお茶をした。ホンは頑張って落ち着きを保っているが、初めてのお茶に大興奮である。
「すげぇ……、コップん中にお花入ってる……。」
「コップじゃなくてティーカップ。中に入ってるのはジャスミンだよ。」
ガラス製のティーカップの中に沈む、一輪の白い花が透けて見える。こういうの憧れるよねぇこれね。
「ほーん、なんか美味いやんけ。これいいな。」
「「花食べんな!!」」
二人に総ツッコミをくらって、流石にホンは自重した。まあジャスミン茶自体は気に入ったのか、いっぱい飲んでいる。
そのうち、リンゴがお茶菓子を持ってきた。どっかのお土産屋とかで売ってそうな、高そうな林檎タルトのお菓子だ。
「うめぇ! これうまいっすよこれぇ」
(俺も食べてぇ。)
カズサもそろそろ羨ましくなってきた。ホンがなんでも美味い美味い言うから、なんか気持ちお腹が空いてきたようなそんな気がしないでもない。ヘッドホンの中にいるからお腹すかないけど。
「あ、カズサくん。そういえば今、一ノ宮の当主さんと電話してるの。カズサくんに話したいことがあるみたいなんだけど……」
「親父が?」
ついカズサがヘッドホンの中で喋ってしまう。
そういえば、親父とはここ何日も話してないけど、大丈夫か。
ホンはモモモの家電を借りて親父の電話に出た。




