30話 ホンvsバスターナイト山田
あらすじ$
ホンとカズサの身体入れ替わったぜ。そして結構アツい感じで山田とホンのバトルが開幕したぜ!
「いくら身体が入れ替わったとはいえ、いくら最強のシングとはいえ、所詮お前は一度死んでいる。弱体化したお前が俺に勝てると思ってるのか?」
山田は挑発している。というのも、山田自身も気になっているのだ。
最強のシングと言われるホンの戦い方が、一体どんなものなのか。
「まー勝てるっていうかね。お前は殺さないですけどね。カズサの友達だし。」
「友達? 笑わせるな。潜入捜査のために利用していただけだ。」
二人は、徐々に間合いを詰めていく。山田は鉛筆を折り、スペルガンを出現させる。対してホンはイヤホセイバーとかも何も出さず、無防備に近づいていく。
「……カズサ。ヘッドホンの中からよーく見とけよ。最強のシングの戦い方をよ!」
そして戦いが始まった! 仕掛けたのは山田、スペルガンの黒い弾丸をぶっ放す!
「ハハハハハァッッ!!」
「えぇ!? おいホン何してんだ!」
ホンは、その弾丸を全く避けずに突っ込んでいく。
そしてちゃんと直撃して胸にデッカいクレーターができた。だがそれでもホンは一切怯まない。
「ッ!」
山田は危機を察知して避けようとするが、流石に全く怯まないホンにはあっけにとられた。
ホンの右ストレートが放たれ、山田の緑の硬皮に包まれた顔面に直撃ィイイ!!! 山田は顔面から黒い血を流してぶっ飛ばされる。
「どんなモンよォ!」
ホンは自慢げだが、完全にコッチの方が重症を負っている。
顔面、つまり弱点の頭部に攻撃をくらった山田だが、全然まだまだピンピンしていた。
(何だ? 俺のが優勢のはずなのに。)
山田は起き上がって、ホンを見上げる。
(勝てるビジョンが見えない……。)
「俺以外のシングは全員バカなんだよな!」
ホンは頭をつつきながら唐突に語り始める。
「シングは痛み感じねぇのに、みんな無駄にビビってやがんだ! まあほとんどのシングに自己回復の力はないから当然っちゃ当然なんだけどな。多分、自分の身体が傷つくのを異常に怖がってんだ。人間以上に!」
回復する力はライターシングしか持ってないですからねこれね。痛み感じないのに回復できないって不便だね。
「自分の身体なんだから好きに使えばいいんだよ! どうせ六千万年経ったら復活すんだから!」
ホンの言葉に、カズサも山田も妙に納得してしまう。まあホンは人間の何十億万倍も生きてるから、無駄に貫禄がある的なそれです。
「ところで話変わるけど山田(唐突)。お前はどうやっても俺には勝てないから、ハンデで残機つけてやるよ。三デスまで見逃してやろう。」
「……は?」
これには流石の山田さんもブチギレですよこれ。
山田は戦いのために生きてきたような戦闘人間。そんな山田がここまでコケにされるとは!!
「……殺゛し゛て゛や゛る゛ッ゛゛ッッッ!!」
山田は風の力を使い、俊足で移動した。
そして、ホンの顔面目掛けて後ろ回し蹴りを放つ!
だがホンはそれをちょっとしか避けなかった。頭へのキックを手で申し訳程度に軌道をズラす。結果、頭じゃなくて腹に直撃した。
「ッ!」
でも!!
腹に食い込んだパンチを、両手で掴んで受け止めていた!
「あまーーーーい!!!(井戸田)」
井戸田潤のマネをしながら、ホンは超至近距離でヴァイパースピーカーを発動させた。
「アァアアァアァアアァァアア!!!! びゃあ゙ぁ゙゙ぁうまひぃ゙ぃぃ゙ぃ゙!!!」
「ッッ!」
耳元で叫ばれた山田は、約一秒間放心してしまう。その隙に──
「ほいっ」
ホンは山田の頭を、こつんと拳で小突いた。
「はい一デス。」
これが本気の一撃ならば、山田は死んでいた。おちょくられたことで、また山田の怒りのボルテージは上がる。もう今二百パーぐらいですね。
「ッッッア゛ァアア!!」
山田は怒りのままに蹴りを振るう。ホンは余裕でかわす。
「カズサ。せっかくだから俺のクソ雑魚うんこ能力を教えてやろう。」
「え? 能力?」
ホンはこれを機に、自分の能力を見せようとしている。
今まで使ってきた『イヤホセイバー』とか『ヴァイパースピーカー』などの武器は、あくまでイヤホンとスピーカーの能力であり、ヘッドホンの能力ではない。
さらに言うと、ヘッドホンシングは『肉弾戦強くて能力弱いタイプ』である。今までカズサに自分の能力を教えなかったのは、ホントにマジで弱い能力だからである。
「でも敢えて使うぜ!」
ホンは能力を使った。
まずは山田の蹴りを腕でガードして受け止め、そして! そしてェエエエエエ!!?!?
手を叩いた!
「なっ……!」
手拍子、拍手、色んな言い方があるけど、とにかくホンは戦いの最中に一回だけ手を叩いたのだ。
その瞬間、全ての音が消えた。
音が無くなったことで山田は困惑する。その隙に
「はい二デスぅうぅう!!」
音が戻り、ホンのくそうるさい煽り声が聞こえた。ホンの拳が山田の顎にこつんと当たる。
「これが俺、ヘッドホンシングの能力だぜ!! 『手を叩いたら周囲の全ての音が一秒間消える』能力だ! 実際普通に殴った方が早えぜ!」
「はえ〜^」
ホンの発言とは逆に、カズサは何かしら使えそうだなと思った。そんですでに二回しんだ判定の山田は、怒りのボルテージが四百パーになった。
そりゃこんなクソ能力で死んだ判定くらったら怒るわ。山田は全身に風の力を溜めた!
一気に必殺技で決めるつもりだ!
山田の必殺技『ビッグシリーズ』の中でも最強の必殺技!
「ビッグトルネードッッ!」
風の力で切れ味も破壊力も増したキック! なんか緑色のオーラも纏ってるぜ!
それに対して、ホンは煽りすらもやめてため息をついた。
「……ウチワシングのがもっと強い蹴りを放つ。」
山田の驚異的な必殺蹴りを、なんと拳一発で受け止めてみせた。
「何ッ……! 俺の全力の蹴りを!? シングの誰も受け止められなかったのに!?」
「それはな、シングが人間との戦闘に慣れてないだけだ。お前の実力で勝ったわけじゃない。」
ホンはそのまま、山田のスネの骨を握りへし折った。
「カズサもちゃんと聞いとけよ。シングってのはお前らよりもずーっと強い存在だ。あんまりナメてかかるなよ。」
このとき、カズサと山田は思った。
シングとは、人間とは程遠い存在なのだと。
いつも優しい変なノリのホンも、この瞬間は人外の片鱗を見せていた。
「……ほんじゃ、三デス目いくべ。」
ホンは拳を握り込む。山田は戦士としての直感で分かった。この一撃はちゃんとぶち込まれるのだと。
避けようがない。片足を折られ、そして掴まれているから、どうやっても逃れられない。
(これは、マズイ……! 死……)
「エニシング『レッド』バースト。」
カズサの技名をもじった、ただのパンチが繰り出される。
「ッ! やめろよホン!?」
カズサはもしや、ホンが山田を殺すんじゃないかと本気で心配した。
ホンの超つよパンチは、山田の腹にぶち直撃した。




