表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

6・海が見る憧憬2

 夏の終わり。


 あることに気がついてしまった。


 出会った頃は、背中に乗れるくらい大きかったクジラの体が、小さくなっているような気がしたのだ。

 最初は、気のせいかと思ったのだが、最近になって、日に日に、小さくなっていくのが分かるくらい、その縮んでいく速さは見て取れるようになってきた。


 そして、1週間もすると、とうとうクジラは、両手で簡単に抱えられるくらいの大きさになってしまった。


「どういうこと?」

 クジラに尋ねた。


「そういう、運命なのじゃ」

 手乗りクジラは言う。


挿絵(By みてみん)


 旅するクジラは、常に旅をする。

 自分の運ぶ種を埋める場所を探すために。

 そして、クジラは、旅の終わりに青くきれいな星を見つけ……種を植えるのは、ここと決めた。

 そこで、自分の種を埋め……つまり、一部になりたいと。そう思っていた。


「悲しむことは無い」

 クジラは、小さな声でやさしく囁きます。


「海と言う生命のスープに溶けて、あらたに産まれ来る者たちの源になるのだから」


「そういう、運命なのじゃ」

 クジラは、ふたたびそう言うだけでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ