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5・海が見る憧憬1
太陽が薄暗い東の空に顔を出して、カーテンから差し込む暁光は風に揺れている。
その空は青く、そこにはひとつだけ白い塊があるだけだった。
宇宙からやって来たクジラに、今日も会いに行く。
「くじらさん」
「おはよう、小さなぼうや」
出会ってから、クジラと毎日のように、海の上を走り遊ぶ。
毎日、毎日、くじらの背中に乗っては、楽しい日々を送っていた。
クジラは、ふしゅうっ! と、潮を空高くに舞い上げる。
太陽の光に照らされて、七色の彩が空に輝いた。
「まだ、若いものには負けんぞ」
波間を泳ぐクジラは、速い。
速い。
どんなに高い波でも、曲がりくねった波の中でも、クジラは優雅に海の上に軌跡を描いていく。
それは、とても、うれしい日々でした。
クジラのバス~は、ワンマンカー♪
すごいスピード気をつけろ♪
……という歌を思い出した。
だけど、このバス気まぐれで、何時につくのかわからない♪