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刃を研ぐ女

作者: 逆福

私には結婚を考えている彼女がいる。見た目美しく器量が良く、心穏やかで自分では到底釣り合わない人である。しかし妙な縁があったか付き合う事になり、そろそろプロポーズをというところである。そんな彼女だが一つ変わった所があり、それは刃物を研ぐのが趣味な事である。刃物が好きという事なのではなく切りづらくなったり、刃こぼれした刃物を砥石を使って切れるようにするのが楽しいという事である、その為か彼女が研いだ刃物はとても良い切れ味だった。


ある日の事、庭で何かを研いでいる彼女を見つけ近寄ってみると薪を割る為の斧を研いでいた。それは柄の部分が古くなり、刃も悪くなってきたからと新しいものを買ったので倉庫の奥にしまっていた斧だった。彼女にそんな古いものをよく見つけたねと聞くと、薪を割ろうと倉庫に斧を探しに行ったら見つけたからという事だった。斧は薪を簡単に割れるぐらいに研がれていた。


別の日の事、玄関で何かを研いでいる彼女を見つけた。何を研いでいるのかと近寄ってみるとハサミを研いでいた。それは硬いもの切ってしまって刃こぼれしたために捨てようと思って、忘れていたハサミであった。彼女にどこでそれを見つけたのか聞いてみると、掃除をしていたら棚の上に布に包まれて置いてあったとの事であった。まだ使えそうだったので刃こぼれを直しているという事だった。ハサミは薄い冊子ぐらいであれば簡単に切れそうなほど研がれていた。


今日は特別な日だ、彼女と出会って1年になる。私は今日彼女にプロポーズをしようと考えている。彼女は受け入れてくれるだろうか、新調した包丁を持って彼女を探す。1人目の時に使った包丁は折れてしまったから今日は私達二人の為に新しい包丁を買ってきた。今回はどうしようかと考える、前はハサミと斧でバラバラにしたけれど。そういえば彼女が二つとも研いでくれていたんだったか、人目につかないように隠していたはずだったのだけど。広い家をひたひたと足音をたてながら歩き回るが彼女は見つからない、ふとキッチンがある部屋のすりガラスから、何か影が動くのが見えた気がしたのですたすたと向かう。があと音をたてなが引戸を開けると同時に強い衝撃と腹部に鋭い痛みを感じた。目の前の彼女は小さくなった包丁に血をつけてたっていた。

「しっかり研いだからあなたより上手にやってあげる」


後日、ある家から二つの遺体が発見された。一つは家の主人の物で肉や骨はキレイに解体されていた。もう一つは骨のみ発見され雑に折られたような形跡がみられた、家で発見された物品から数年前に行方不明になっていた女性のものと推定された。



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