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episode.7

土曜日の午後、亜美あみちゃんとるもちゃんとサッカー部の試合を見にきた。竹内たけうちくんがるもちゃんに気がついてこちらにやってくる。



こうちゃん、試合頑張ってね!」


「見にきてくれて、ありがとう。亜美あみ渡辺わたなべさんもいるー。こんにちは。……じゃ、帰り一緒は無理かな?」


「私たちのことは気にせず、ちゃんと労ってあげなよ、るも。竹内たけうちも気つかいすぎ。」


「ありがとう、もっちゃん、咲夏さなちゃん。」


「じゃ、行くわ。また後で。」



こういうのが付き合うってことだよね。2人を見ているといつも微笑ましい気持ちになる。私は試合が始まる前に教室に置き忘れた参考書を取りに行くことを2人に伝え、昇降口へと向かった。



あやくん、今日頑張ってね!」



校舎の角までくると、佐々ささきくんの名前が聞こえ立ち止まった。こっそり覗いてみると、佐々ささきくんが可愛らしい女子と話しているところだった。


少しするとその女子は、佐々ささきくんに差し入れだと言って、小さな紙袋を手渡しグラウンドの方へ走って行った。



「ねぇ、覗き見とか趣味悪くない?」



気づくと目の前に少し不機嫌な佐々ささきくんがいた。「……ごめん、そんなつもりは……。」緊張のあまりすっと目を逸らし、後退りをした。



「……あっぶなっ!」



うそ……!? 今、私、佐々ささきくんに抱きしめられてる! バランスを崩した私を咄嗟に佐々ささきくんが支えてくれた。



渡辺わたなべ、大丈夫?」



無理、絶対今ひどい顔になってる!



「どっか怪我して……え?」



目が合うと、佐々ささきくんの動きが一瞬止まった。絶対引かれたじゃん! それを裏付けるように、佐々ささきくんが私のことを立たせ、怪我ないと確認できると、足早にグラウンドへ向かって行った。


終わった……。



「あ、咲夏さなちゃん、遅かったね。参考書あった? って、どうしたのー!?」



私は先ほどあった出来事を心配する2人に簡単に報告をした。



「つまづいた咲夏さなちゃんを佐々ささきくんが咄嗟に抱き止め、ラブフラグが立ったってことだよね? え? 何がいけないの?」


「なるほど、咲夏さなは、その後の佐々ささき氏の行動が引っかかっちゃったんだぁ。」


「……うん。」


「まぁ、そんな心配いらないと思うけどね。試合前だし、いそいでたかもよ。とりあえず試合観よ!」


「そうかなぁ……。」



亜美あみちゃんは心配ないって言うけど……「あっ。」ユニフォーム姿の佐々ささきくんがコートに出てきた。……かっこよすぎる!


そうだった……。私はこうやって佐々ささきくんを眺めているだけで幸せなんだった。いくら佐々ささきくんに嫌われてようと……。ゔっ。



「るも、帰れる?」


「おつかれさまー、竹内たけうち! ……と佐々ささき氏!!」


「あぁ、さっき片付け一緒にやってて。てか、亜美あみの佐々ささき氏って(笑)、氏って何??」


「あ、え? 佐々ささき氏も今から帰り?」


「あぁ、まぁ、そうだけど?」


「ちょうどよかったぁ! 実はうちらは電車組なんだけど、咲夏さなだけバスで1人じゃ心配だったんだぁ。佐々ささき氏、バス……だったよね?」



ちょっと待って、嫌な予感しかしない! 亜美あみちゃん! それって!? ちらっと佐々ささきくんの顔を見ると、じっと私の方を睨んでいた。ぎゃ!! 無理無理無理ーー!!!



「あ、亜美あみちゃん、私子どもじゃないし、1人で帰れます!」


「子どもじゃないから、心配な面もあるでしょ? ね、佐々ささき氏?」



佐々ささきくんは、少し考えた後、「まぁ。」と言って校門へと歩き出した。絶対、変に思われた! しかも、めっちゃ嫌ってるやつに、話合わせるためとは言え、「まぁ。」と返事までさせてしまった!



「……渡辺わたなべ、行かないの?」


「……え?」



顔を上げると、数歩先を行く佐々ささきくんが、振り返って私の名前を呼んだ。な、なんて、優しい人なんだろう。覗き見した私まで気づかってくれる……。これが佐々ささきくんの人類愛なのだろう……。



「あ、はい。帰ります!」


「……はは、何で敬語?」


「ゔ。」



佐々ささきくんの笑顔が……笑顔が眩しすぎます!



咲夏さなー、また月曜日ねー!」



亜美あみちゃんたちに手を振ると、佐々ささきくんに追いつくように校門までの坂道をかけ足で進んだ。


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