episode.6
「もしかして、この前言ってたのって、あいつ?」
「龍臣には関係ない、まじで!」
せっかく2人で話すチャンスだったのに、タイミング悪く龍臣に会うなんて……。目の前のこの男は、我が校の生徒会長で、誰からも慕われる外面とビジュアルの良さでファンクラブもあるとかないとか……そして、公にはしてないが私とこの男はいとこなのだ。
「あ、の、さーー、悪目立ちしてる龍臣のせいで、クラスで変な噂たってるんだからね。なんでジャマばっかするの!?」
「……おもしろいから?」
至って真面目か顔で答える龍臣にふつふつと怒りが込み上げてくる。
「お前がそういう顔見せられる相手なら、俺もなんも文句無いんだけどな。じゃ、俺も生徒会忙しいから行くわ。」
子供をあやすように頭をポンポンし、私の反撃をかわすと東館へつながる渡りへと消えていった。私だって、こんなふうにしか過ごせない自分に嫌気がさしている。
人と関わるのがもともと苦手だった私は、相手の顔色ばかり伺うようになり、余計と人との距離が出てしまった。きっと龍臣はそんな私のことを心配して構ってくるのだと思う。
だからって、佐々木くんに勘違いされるのは困る。彼は私にとって憧れの人だから。
あの日から、佐々木くんと話す機会はほとんどなく、私の嫌いな6月がやってきた。
「咲夏、まぁた怖い顔になってるよ。」
「咲夏ちゃん、笑顔笑顔。」
「ご、ごめん。」
佐々木くんとは進展がなかったが、あの日の出来事をきっかけに私にも日々を過ごす友人ができた。
「確かに、前髪決まらないとテンション上がらないけどさぁ、咲夏の可愛さは変わらないよぉ。」
ゆるふわという代名詞がピッタリの望月亜美は、私の行動力に惚れたらしい。彼女の癒しオーラにあわせて、時々大胆な物言いで一目を置かれる存在である。
「もっちゃんも、咲夏ちゃんも、私のテスト勉強見てくれるんでしょー(泣)」
「あぁ、ごめんごめん、こういう問いの時は……この公式に当てはめてって……。」
「すごい! ほんとに解けたー。ありがと。」
勉強が少し苦手だが、素直で優しい三笠るもは、亜美の幼なじみで、サッカー部の竹内康介と中学の頃から付き合っているらしい。
そして、竹内くんと佐々木くんは1年生にもかかわらず、レギュラー争いもしていると聞く。
「今度ね、康ちゃんが、試合観に来ないかって、咲夏ちゃんももっちゃんもどうかな?」
「野暮なこと聞かないでよぉ。咲夏が佐々木氏と近づくチャンスをみすみす逃すわけないじゃない。ね、咲夏。」
「う……うぅ……うん、行ってみたいかも……。」
「なぁんかさ、咲夏って氷の女王?的な雰囲気醸してたけど、こんな可愛い一面があるって知ったら佐々木氏もイチコロだと思うよぉ。」
「ゔっ……。やめて……無理だから。」
緊張するとどうしても表情筋が働かなくなってしまう。何度か授業で佐々木くんと話す機会があったが、あからさまにそっけない態度をとってしまった。
周りからは、鼻血事件のときに佐々木くんとトラブルがあり相当仲が悪いのでは? と噂がたっている。ここまでくると、もうこれ以上状況が悪くなることはないと、開き直るしかない。




