雪の日の再会
3回目の電子音が朝の始まりを告げた。私は寒さのあまり、いまだにベッドから出られないでいた。ベッドに入ったまま、テレビの電源を入れると、昨夜から降り続く雪の話題をキャスターが伝えていた。
こんな日に帰省が重なるなんて……。
重い身体をなんとか起こし、1週間分の荷物をカバンに詰め込む。軽く焼いたトーストと目玉焼きの簡素な朝食をとると、リビングのカーテンを閉めてアパートを出た。
「さむっ!!」
滅多に雪の降らないこちらも、チラチラと雪が舞っている。向こうの積雪を考えると頭が痛くなるのを感じた。羽織っていたダウンを助手席に放り込み、トランクにあらかたの荷物を積み込むとゆっくりと車を発進させた。
2時間ほど車を走らせ、実家近くのインターを降りるとかなりの積雪に減速を余儀なくされた。ゆっくりと車を進めると、吹雪のせいか路肩に停まっている車両があった。
私が通り過ぎようとすると、こちらに気がついたのか中から女性が飛び出してきた。
「す、すみません!!」
慌ててブレーキをかけ、女性が乗っていた車の前方に停車させ窓を開けた。
「どうかしましたか?」
「あの、近くの図書館まで乗せて行ってもらうことはできますか?」
女性は私より若く可愛らしい印象だった。ただ、雪国には似つかわしくないタイトなロングスカートにブーツを履いていて、地元の人ではないのは明らかだった。
「市立図書館ですか?」
「はい! タクシーもこの雪でつかまらなくて……家がその近くなんで……」
1時間って、さすがに寒いよね。図書館は実家までの通り道だし。私は上着を羽織ると、後部座席のドアを開けるために外に出た。外はかなりの吹雪で視界があまりよくなかった。
「おい! 絃! 勝手に外に出るなって……。」
男の人が慌てて運転席から降りてきて女性を呼び止めた。女性は聞こえないフリをして後部座席に乗り込んだ。私はドアを閉めると、こちらに向かってくる男性にも車に乗るように声をかけて、反対側のドアを開けようとした。
「咲夏……?」
ドクンと心臓が跳ねる音がした。こんな場所にいるはずもない。彼はもうこの街にはいない。だって……。
「綾、早く乗せてもらおう! 雪が強くなってきたよ。」
「あ……あぁ。」
やっぱり綾だ。何でここにいるの? 隣の女性はだれ? 聞きたいことは山ほどあるのに、言葉が喉の奥に詰まって何も聞けなかった。




