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二度目も避けられず フランソワーズSide

 スティーブン王子は豪華なベッドの上で私を組み敷いている。


 私はまたも一糸纏わぬ状態で、夫となるスティーブン王子に「夫の義務を果たす」儀式をされていた。昨日より熱烈な気がするのは気のせいだろうか。真実だろうか。なぜ、愛していない私相手に「夫の義務を果たそう」とするのか。


 これがスティーブン王子なりのケジメなのだろうか。


 スティーブン王子は色っぽいながらも煌めく瞳で私を見つめている。私は目を開けていられないほど体の奥から溢れ出す感覚にもがいている。


 これが王子の考える契約婚ならば、本当の結婚をした場合はどうなるのだろう?


 愛していない人に体を何度も許す人が、一体どこにいるのか教えて欲しい。王子はそこに何の疑問も持たないようだ。私は大好きな恋する相手にここまで大事にされて、なし崩し的に流されて、喜びを感じてしまっている。拒否できない。


 ――もしかして。スティーブン王子は第一聖女ヴィラへの愛で苦しんでいらっしゃった反動でこのような行動を?


 


 先ほどスティーブン王子は私の手をとり、寝室に来るなり、私のドレスを脱がし始めた。


「今日もお薬を盛られたのでしょうかっ?」


 私は慌ててスティーブン王子を止めようとしたが、王子にはあっさり宣言された。


「全くのシラフだ。先ほど僕が夫の義務を果たすのは構わないと言ってくれたから、待ちきれずに君に触れて夫の義務を果たすのだ。僕から持ち出した契約婚だから、僕の責任はきちんと取る」


 私はスティーブン王子の温かな唇から繰り出されるキス攻撃と、彼の指が繰り出す愛のささやきでおかしくなりそうだ。


 待ってっ


「気持ちいいかどうかだけ教えてくれる?」


 スティーブン王子はやめようとせずに私に聞いた。


「ほら、答えないとやめないから」


 スティーブン王子は私に恥ずかしいことを言わせようとした。


「気持ちいいですっ」


 王子は私にキスを繰り返した。


 王子は大満足の表情でますます頬を赤らめた。


 ――王子は私が望むことの全てをお見通しなのかしら……?



「これは要らないですからっ」


 私は抗議をしたが、王子の甘いささやきは終わらずに抱かれた。


 ――王子に恋をしているから。どうやって断れるというの。


 私が信じがたいほどの感覚にぐったりとした頃、王子は私を優しく抱き寄せた。


 王子は私に対しての愛がないと言っていたけれども、「夫の義務は果たす」と言って私の体を大切に扱ってくれた。


 これを契約婚というのだろうか。確かに、政略結婚の場合も世継ぎが必要なので、この行為はするだろう。


 ――あぁ、そういうことなのね。愛のない政略結婚と思えば良いのだわ。


 それならば、王子の行動は理解できると私は思った。ならば、最後までしないのはなぜなのだろう?


「君の準備が整うまでは」


 王子はそっとささやいた。


 どこまでも優しいお方だ、私はそう思ってうとうとと眠ってしまった。



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