ハロウィンナイト
10月31日、ハロウィンです!
今日は千花と最近日本に帰ってきた五十嵐と急遽ハロウィンパーティーに行くことになった。元々、仮装はをして2人で写真を撮ろうと思っていたので準備はしてある。
真白も今日は大学が休みで家でゆっくりしている。
「真白、今から千花達と一緒にハロウィンパーティー行ってくるね」
「その格好で!?」
「似合ってない?」
私が首を傾げて訊くと真白は慌てて否定した。ちなみに仮装は吸血鬼の仮装をした。
「いや、めちゃくちゃ似合ってるけどスカート短くない?」
なんだそういうことか。
「下にタイツ履いてるから別に寒くないから安心して」
そう言うと真白は盛大なため息をついた。
「そういうことじゃなくてさ、変な奴に絡まれないか心配なの」
「大丈夫だよ。いまや筋肉お化けの五十嵐もいるし」
「パーティーってさ、男もいるの?」
「まあ、いるよ」
そう言うと真白は部屋に戻った。何か怒らせたかな?そう思っていると真白が部屋から出てきた。
「俺も行く。いいよね?」
「いいよ。私も真白と一緒の方が楽しめるし。それにしてもやっぱりかっこいいね!逆ナンされそう。あ、でも着いていったらダメだからね」
「咲久に逆ナンされない限り着いて行かないよ」
真白は笑って言った。
「なにそれ。じゃあそろそろ行くよ」
そう言って家を出て鍵を閉めた。
それから、車でパーティー会場に向かった。
「咲久!久しぶり!仁科先輩も!」
千花は魔女の仮装をしていた。
「久しぶり、千花。仮装似合ってるね。可愛い」
「ありがとう!相変わらず咲久は可愛い見た目のくせに中身はかっこいいね」
「それ、褒めてんの?」
「褒めてる褒めてる。」
今日の千花はテンション高いな。やっぱり五十嵐が帰ってきたから?
「五十嵐も久しぶり」
「久しぶり、小鳥遊。仁科先輩も」
「五十嵐、めっちゃ似合うねフランケンシュタイン」
私がそう言うと千花がそうでしょと笑って頷いた。
パーティー会場の受付に行って名前を書いて会場の中に入った。
「真白、その牙って噛めるの?」
そう訊くと真白は首を傾げた。私も真白も吸血鬼の仮装だけど私は犬歯が鋭い方なので牙はつけていない。
「咲久の首で試してみる?もしかしたらホントに血が吸えるかも」
「痛そうだからいいや」
「冗談だよ」
そう言うと真白は私の頭に手を置いた。
「咲久、5年記念日の配信で咲久から仁科先輩にキスしてってリクエストちゃんと遂行してくれた?」
千花が笑って訊いてきた。
「なんで知ってるの?見てたの?」
「うん。てか、そのリクエストしたの私。でも配信が終わっちゃったから見れなかった。したの?」
「まあ、一応。」
「どうだった?仁科先輩照れてた?」
私が答えようとすると真白が笑顔で口を押さえた。
「別に言ってもいいけどそのかわり咲久のことも何か言われる覚悟はしてね」
「へ、はんのほといほうとしてふの?(訳:え、何のこと言うおうしてるの?)」
「さあ、何でしょう。咲久が寝てたときだから俺以外誰も知らないこと、かな」
「怖っ。千花、ごめん。言えない」
そう言うと千花だけじゃなく皆笑った。
「確かに。めっちゃ怖い脅しだね」
「うん。しかも笑顔で言うし」
私は真白の頬を引っ張って言った。頬っぺた引っ張ってもイケメンはイケメンなんだな。
「なに、咲久。じっと見つめて。見惚れてんの?」
「うん。笑顔で怒ったりは怖いけどやっぱりかっこいいなって」
「ありがとう」
真白は頬っぺたから私の手を離しながら言った。
「そろそろご飯食べない?カボチャのグラタンとかあったよ」
私がそう言うと五十嵐が頷いた。
「そうだな。俺も腹へった」
「じゃあそれぞれで食べよ」
「咲久、一緒にまわろ」
千花がそう言って私の腕を組んだ。
「いいよ。じゃあまた後で」
と立ち去ろうとすると2人は慌てて待って!と言った。私と千花が振り向くと2人はそれぞれ腕を掴んだ。
「小鳥遊と千花だと絶対にナンパされる」
「今日は仮装してるからさらにね」
真白の五十嵐が順番に言った。
「息ぴったりだね」
私がそう言うと千花も笑ってホントだと言った。すると2人は盛大なため息をついた。
「「俺達も着いていく」」
ホント仲良いなあ。
それから料理とお菓子を食べて少し休憩していると真白がワインの入ったグラスを持ってきた。
「咲久、飲む?」
「いいや。私が運転して帰るから真白が飲んでいいよ」
「これ、ジュースだから大丈夫だよ」
「なんだ。じゃあもらう」
私はグラスを受け取った。
「ホントだ。でもこのグレープジュース美味しいね」
「そうだね。咲久、SNS用の写真撮らない?」
「いいよ」
真白はわざと縦画面にした。
横の方が写りやすいのに。
「咲久、もうちょっと寄って。見切れちゃう」
私は少し寄ると真白が腰に手をまわして抱き寄せた。
てか、めっちゃくっついてるし。
「近い、」
「照れてるの?まあ、写真撮るだけで何もしないから安心して」
真白はそう言ってシャッターボタンを押した。
『え、何もしないんだ』
そう呟くと真白は私にキスをした。
「何もしないんじゃなかったの?」
「咲久が可愛いこと言うから」
「聞こえてたの?めっちゃ恥ずかしいんだけど」
私は顔を手で隠した。
真白が私の手をよけてまたキスをしようとしたとき女の子2人に話しかけられた。
「あの、咲久ちゃんと真白くんですよね?」
「え、あ、うん!そうだよ」
私は慌てて真白を手で押しのけて頷いた。真白はというと邪魔されたと顔に書いてあった。
「付き合って5年でもずっとラブラブで羨ましいです。どうしたらずっと仲良くできるんですか?」
「俺の場合は咲久が好きすぎて構いたいってだけだから。可愛い過ぎるから飽きられないんだよね」
そう言って真白は私を抱きしめた。
「ちょっと人前でなにするの」
「ほらね。未だに抱きつくと照れるんだよ。俺の彼女、可愛いでしょ?」
「はい!咲久ちゃんめっちゃ可愛いです!」
1人の子が頷いて言うともう1人が質問をした。
「喧嘩とかはしないんですか?」
「喧嘩はするけど私が寝ると忘れるタイプだから。それに大体は私が勝手に怒ってるし、怒ってる私を見て真白は可愛いとか言って楽しんでるから戦意喪失するの。」
「いや、でもホントに可愛いんだよ。咲久は睨んでるつもりかもしれないけど俺の方が身長高いから結局上目遣いだし」
「だから怒ったときは触るの禁止とかキスしようとしてきたら全力で拒むとかにしないと本当に喧嘩中でもスキンシップをしてくるから」
「確かに咲久ちゃんに甘えてそう。ライブでも咲久ちゃんの手紙読んだ後にキスしてたんですよね?」
「そうなの。カメラのこと忘れてるからホントに焦った。まあ、その後にリクエストきたから今となっては変わらないんだけど」
そう言うと女の子2人は笑った。
「でも、2人を見てると少女漫画とか映画のキスシーンを観てるみたいでこっちまでドキドキするんです」
「そんなこと言われたらファンサしたくなっちゃうな~。ね、咲久」
真白が笑顔で訊いてきた。
「ファンサって具体的にどのようなものでしょうか」
「この子達が喜んでくれそうなこと。」
「真白がしたいだけじゃ」
そう訊くと真白は笑顔のまま首を傾げた。
「せっかく仮装してるし高校のときみたいに写真撮る?」
「は?なに言ってるの?」
「嫌?」
真白が微笑んで首を傾げた。
「別に嫌って訳じゃないけど。そのかわり1回だけだから。2回目もしようとしたら全力で拒むからね」
「うん。じゃあ写真撮ってくれる?」
「は、はい!」
真白は女の子にスマホを渡した。
真白は私の目を見て頬に手を添えた。そして顔を近づけた。私はそっと目を閉じた。すると唇に柔らかい感覚が伝わった。
「撮れた?」
「はい!完璧です!これもアップするんですか?」
「咲久がいいなら」
「ダメ。お祖母ちゃんに言われて最近お祖父ちゃんもみてるって言ってたから。お祖父ちゃん、ちょっと面倒くさいから」
「じゃあアップするようの写真別で撮ろうか」
「うん。せっかくだし吸血鬼っぽいポーズとか。例えば噛みつくフリとか」
「うん。じゃあそれでいこうか。悪いけどもう1枚撮ってくれる?」
「もちろんです!」
それから真白は肩を掴んで抱き寄せて首に噛みつくフリをした。
2人で写真を確認した。
「本物みたい」
「さすが俺。じゃあ2人ともありがとうね」
「いえ、たくさんお話できただけで嬉しかったので」
そう言うと女の子2人は手を振っていなくなった。
しばらくすると千花と五十嵐が来た。
「私達、そろそろ帰ろうと思うんですけど咲久と仁科先輩もそろそろ帰りますか?」
「どうする?」
「私は明日休みだけど疲れたしそろそろ帰りたいかも」
「じゃあ俺達も帰ろうか。五十嵐と葉山さんは電車?」
「いえ、タクシーで来ました」
「じゃあ送って行こうか?俺達は車で来たし」
「迷惑じゃないですか?」
「全然。それに電車だと五十嵐は心配ごとがあって疲れるだろうし」
「そうですね。じゃあお言葉に甘えて」
そして会場から出て皆で車に乗った。私は千花の隣に座って五十嵐は道案内のため助手席に座った。
そして千花の家まで送った。五十嵐は千花のアパートの隣のマンションに住んでいるので一緒に降りた。
私も車から降りた。
「千花、次の連休決まったら教えて」
「どうして?」
「一緒に軽井沢の温泉に行かない?歩が高校のときにくれたんだけど真白は勉強忙しいと思うから。一応来年の夏まで期限はあるんだけど」
「いいよ。確か来月の3日から三連休だったから今からでも予約出きるなら」
「大丈夫。2日前に連絡すればいいらしいから。じゃあおやすみ」
「うん」
そう言うと千花は手を振ってアパートに入っていった。
「小鳥遊、俺も自腹で着いて行っていい?千花と小鳥遊だと変な男に絡まれそうで心配なんだけど」
「俺も」
「まあ、いいけど」
私はそう言ってなんとなくチケットをみた。
「あ、自腹じゃなくていいよ。このチケット1枚で同行者1人OKだから最高4人で行けるみたいだし」
「マジで!?じゃあ俺から千花に言っとく」
「うん。よろしく」
それから、私達の住むマンションに着いた。
「真白、宿に泊まるときのことだけど部屋が私と千花で真白と五十嵐が同室でもいい?」
「どうして?」
「千花と女子同士で行こうって話してたから」
「そっか。じゃあ温泉は混浴?」
「別々に決まってるでしょ。それは2人で行ったとしても変わらないから」
「残念」
真白は眉を寄せて笑って言った。
それから家の中に入ってお風呂に入ってお風呂から上がって2人でビールを飲んだ。
「あ、そういえばさ。真白にはまだ言ったなかった。トリック・オア・トリート」
「お菓子ないからイタズラしてもいいよ。」
私は真白をくすぐってみたけど全く効かなかった。
「俺からもトリック・オア・トリート」
「残念。お菓子じゃないけど真白なら喜びそうなこと準備してるもん」
私はビールの缶をテーブルに置いてソファに座った。
「真白、こっち来て」
私が手招きをすると首を傾げながら真白がソファに座った。
「膝枕をお菓子の代わりにしてもいい?」
「もちろん。でも重かったら言ってね」
「うん」
私が頷くと真白は太ももに頭を乗せた。
「真白に膝枕するのって初めて?」
「そうかも。」
「真白、いつも勉強お疲れ様。たまにならまた膝枕するよ。……なんて」
「じゃあ頼もうかな」
真白はそう言うと起き上がった。
翌日、千花と五十嵐と話して宿の予約をした。
仕事から帰ってすぐに旅行の準備をした。