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思いは互いに違えど

「この資料は読みましたか?」

「……はい。たぶん」

「ふむ。ではこれは……」

 たくさん積まれた資料の中から数枚の紙を引き抜いてサクラに手渡すオンプ。バサバサとたくさんの資料がテーブルから落ちているのにも気にせず、サクラをじーっと見つめる。その視線にサクラが焦り、資料を適当に読んでいいる

「まだまだ時間がかかりそうね」

「まあ、あの量だしね」

 サクラとオンプを見ながらクスクスと笑ってメメに答えるノイズ。終わりの見えない資料の束を見て、メメがはぁ。とため息をついた

「そろそろノオトのところに行ってくるわ。後で一緒に来るから」

「了解、それまでに終わっていると良いけどね」

 うーんと背伸びをするメメにノイズが返事をすると、スタスタと歩くメメ。サクラが気づいてメメを見た時、ふとメメの姿が消えて何処かへ行ってしまった







「ノオト、いる?」

 メメが着いた先には、とある部屋でノオトが本棚の前に立ち本を読んでいた。メメの声に気づいたノオトがパタンと本を閉じ、机に飛び乗るメメを見て、側にある椅子に座りメメの背中を撫でた

「メメ、遅かったね。何かあったの?」

「まあ、色々ね。本当、ノイズは面倒を持ち込むのは得意ね」

 メメが少し呆れたように話した内容を聞いて、ノオトが何かを考え込むような顔をする

「あのサクラっていう子に何かあったの?」

「受付につかまっているわ。色々説明を受けているけど、あの様子では、頭に何一つ入ってなさそうね」

「そう、この世界に来たの」

「ノイズが無理やりにね」

 と、メメが言うと会話を終え、椅子から立ち上がるノオト。ソファーに置いていた上着を取り着けた


「メメ、ご飯は?」

「サクラのお家で食べたわ。あの世界のご飯もなかなか美味しいのね」

「そう」

 と、メメの返事を聞いてすぐ、ノオトのお腹がぐぅ。と鳴った。メメは聞こえていないのか、机の上でうーんと背伸びをしている。そんなメメをノオトがぎゅっと抱きしめた

「行きましょうか。受付でいいの?」

「ええ、あの子がまだ資料を読んでいればね」




「うーん、意味は分かりました……。けど……私なんかに出来ますか?」

「出来る出来る。本もサクラの事を気に入っているし、大丈夫」

「でも……」

 その頃、資料を一通り読み終えたサクラがノイズから預かった本を抱きしめ不安そうにうつ向いていた。そんなサクラを励ますように、ノイズが微笑み頭を撫でている

「ノイズ、読み終えたの?」

 と、ノオトに抱きしめられてきたメメがノイズに声をかけると、ノオトが本を抱きしめうつ向くサクラを見て、ふぅ。とため息をついた

「ノオトからも言ってよ、サクラなら大丈夫だって」

「そうは言っても、彼女には昨日の今日でしょ。すぐに良いとはならないわよ」

 と、ノイズの言葉に呆れたように返事をすると、サクラの前に立ったノイズ。サクラの顔を見つめると恐る恐る顔を上げたサクラの目の前にノオトの顔がすぐ目の前にあり、少し垂れた髪と共に思わずその顔を見つめてしまった


「サクラ」

「はっ、はい!」

 すぐ近くから聞こえたノオトの声に、我に返ったサクラが少し声が裏返りつつ返事をする。その様子に、メメがクスっと笑いながらサクラの膝の上に乗り座った

「ノイズに無理やり連れてこられて可哀想ね」

 と、サクラを見ながら呟くノオト。その言葉にサクラはエヘヘと苦笑いをして、ノイズはちょっと不満そうにムッと顔を膨らませる

「可哀想って……ひどい」

 そう呟いたノイズの言葉が聞こえたサクラがそれを否定するように何度も顔を横に振る

「いえ。とても不思議な世界を見ているみたいで私は……」

「不思議ねぇ」

 と、サクラの言葉にノオトがそう呟くと、メメがノイズ肩の上に飛び乗ったその時、受付に戻っていたオンプが紙を一枚持ってサクラ達の方へと走ってやって来た

「サクラさん、この書類にお名前書いてください。書いたらノイズさん達と行っても大丈夫ですよ」

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