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第三十二話 悪夢

邪神達のあだ名について、後で第一章の設定の方に付け足させていただきます。一応、こちらにも載せさせて頂きました。


バタフライ伊藤 = 百の貌のアレ。元凶。ニ●ル●トホテ●プ。

クラッシャー斎藤= ヨーグルトなアレ。ヨグソト●ス。

チャージング渡辺= 黄色いアレ。雨合羽。ハ●ター。

という感じです。分りづらく申し訳ございません。


第三十二話 悪夢


サイド 剣崎 蒼太



「響君の友人で剣崎蒼太です!よろしくお願いします!」


 笑顔。元気。そして敬語。とりあえずこれが出来ていれば、初対面としては中々だ。身だしなみも普通なはずだし。


 まあ、現在自分が『イケメン中学生』という前提条件もあるからだけど。いや、もう高校生を名乗った方がいいのか?入学式はまだだけど。


 ともかく、前世のこのぐらいの年齢だった頃と比べれば、顔面偏差値を抜いてもかなり高評価なはず。前世だと、不愛想。声が小さい。どもってる。と、悲しい結果を招いてしまったからなぁ……。


「おう!よく来たな!」


 そう元気な声で返してくれるのは、響のお爺さんである『尾方総一郎』さん。


「遠い所からありがとねぇ」


 のんびりとした声で笑っているのが、響のお婆さんである『尾方幸恵』さん。


「これから七日間、よろしくお願いします!」


「はっはっは!元気があっていいじゃねえか!こっちこそよろしくなぁ!」


 腰が曲がっているご老人とは思えない程大声で、総一郎さんが言ってくる。いや、貴方の方が元気な気が。


 そんなこんなで、早速農作業の手伝いが始まった。


 まったく関係ないのだが、七日間という期間。なんとなく不穏に思ってしまうのはどう考えても『バタフライ伊藤』のせいだよなぁ……。



*      *        *



「ふう……」


 夕食を頂き、お風呂を使わせてもらって貸してもらった部屋で休む。


 ひたすら枯れてしまった木を引っこ抜いたり、運んだり、草刈りをしたりとよく働いたものだ。いや、自分がやった事は単純作業の繰り返しだから内容は特に語る事がないのだが。


 普通にやれば、かなり大変な作業ではある。枯れたとは言えしっかりと根を張った木を抜くのは結構な量の土を掘らないといけないし、畑に放置するわけにもいかないから運ばないとなのだが、これが何気に重い。


 ただし、自分ことチート転生者からすれば別の話。大型重機もかくやという膂力と、数日間ぶっ通しで戦う事も可能な体力。それらを使えばスコップで木を掘り起こすのに五分とかからず、引き抜いた木も片手で担いで行ける。


 やろうと思えば素手で木を引っこ抜けるが、根っこが土の中に残るかもしれないので魔力でスコップを強化する事にしたのだ。


 まあ、流石に響や総一郎さんの目がある所では自重したが。それでもかなりのスピードで作業をしたものだ。


 ただし、これはこれで問題が発生してしまった。用意された仕事をほぼやり尽くしてしまったのだ。


 向こうの考えていたペースを大幅に上回ってしまった結果と言える。なので、明日は暇になってしまった。一応、アルバイト代は変わらないどころか、色を付けてもらえるらしいが。


 暇になった明日は島を回っていいらしい。ただ、この島見る物あるんだろうか……。


 とりあえず今日はもう寝よう。そう思い、枕元に置いた木箱を一瞥する。


 大きさはティッシュ箱ほど。その辺の木片を魔法で形を整え、防護術式を多少刻んだ物だ。それをガムテープでぐるぐる巻きにしている。


 その中身は、『人斬りの小刀』。彼女の遺品だ。


 出来る事ならご遺族に。そう思って迷宮から持ってきたのだが……あいにく当てがない。


 顔こそ明かされているし、本人も堂々とカメラの前で人を斬り殺していた彼女だが、名前も年齢も、出身地もよくわかっていない。


 明里にも協力を頼んだのだが、彼女からも『不明』と言われてしまった。


『このアインシュタインもびっくりな大天才である私でもわからない。これは複数の国家が彼女の情報を隠しているとしか思えませんね』


 とのこと。


 大天才は置いておくとして、複数の国が。というのは確かにと思った。


 人斬りは数々の重大事件に関わっている。しかもどんな警備すらも突破してくるのだ。国の要人からしたら頭と胃を最大限虐めてくる存在である。


 不用意に人斬りを使おうものなら、自分も他の政敵に使われるかもしれない。であれば、いっそお互いに使わないよう協定でも組むのが道理だ。それでも偶に要人が殺されるけど。英国の大臣とかバトルロイヤル直前に斬られたし。


 そういう可能性があるほどの存在が『人斬り』だ。自分の様な一般人では、彼女の本名にすらたどり着けない。こんな事なら、名前の一つも本人に聞いておくのだった。


 小さくため息をついて、布団にもぐり目を閉じる。


 いつ機会があるかわからずここまで持って来てしまったが……はたして、そんな機会はあるのやら……。



*       *        *



 燃え盛る街の中、自分は着の身着のまま立ち尽くしていた。


 焼け落ちる建物。横転した車両。それらの中で逃げる事も出来ず、助けを求めながら燃やされる人々。


 それをどうする事もできず、足は縫い留められた様に動かない。声を発そうにも喉が潰れたかのようにかすれた息すら出てこない。


 視線を巡らせ、後ろを振り返る。


 遠くに見える、崩れ落ちた巨大な影。


 その傍に倒れ伏す白髪の女性。黒髪の剣士。金髪の少女。


「あ……」


 微かに聞こえた声に、咄嗟に足元を見る。そこで、いつの間にか自分が鎧を身に纏っている事に気がついた。


 蒼黒の籠手に包まれた手には剣が握られ、その切っ先は下に向けられている。視線を這うように先端に動かしていけば、そこには一人の男が倒れていた。


「死にたく、ない……」


「う、あ……っ!」


 蒼の炎に、金髪の男が燃やされる。だがその虚ろな瞳だけは、燃やされながらも自分から目が逸らされる事はなかった。



*       *         *



「っ……!?」


 目を見開き、見慣れない木目のある天井を見ながら荒い呼吸を整える。


「またか……」


 ゆっくりと体を起こし、ため息をつく。


 ああした夢は、時々みる。明里にはPTSDと言われた。


『私がいかにスーパーパーフェクト美少女とは言え、医者というわけではありません。元々短期間で治るものではありませんが、一度ちゃんとした病院に行く事をお勧めします。……と、言いたいところですがねぇ』


 困った顔の明里を思い出す。医者に相談しようにも、『自分は転生者で邪神が開いた殺し合いに参加しました』なんて言えるわけがない。


 正直にそう伝えたら別の病気と勘違いされるし、かといって嘘をつけば間違った情報のまま治療は始まり、十中八九治らない。


 なんともまあ、難儀なことだ。


「うん?」


 窓の向こうから、サイレンの音が微かに聞こえる。音の間隔からして、これは警察の物だ。


 少し気になってカーテンを開けるが、どうやら遠い所から聞こえているらしい。ここからでは様子はわからない。


 外に出て見に行くか?……いいや、化け物がらみとは限らない。普通の犯罪やトラブルの可能性の方が高い。であれば、自分が関わりに行くのはお門違いだ。そもそも自分は余所者。下手な事をすれば響達に迷惑がかかる。


 そうわかっているのだが、妙に胸騒ぎがする。第六感覚が嫌な予感を告げているのだ。更に、微かにだが大気中の魔力もおかしい気がする。


 念のため、様子のみ探るか。


 カバンからスーパーのチラシとマジックを取り出し、白い裏面に魔法陣を書いていく。その魔法陣の中央に、取り出したナイフで指先を傷つけて血を一滴垂らした。


 チラシを折って紙飛行機を作ると、最後に羽の部分に目の様な模様を描いて完成。


 窓を出来るだけ静かに開け、紙飛行機を外へ。ふわりと飛んでいく紙飛行機を目で追いながら、百均で購入した手鏡を開く。


 手鏡の蓋。その内側には先ほど紙飛行機に書いたものと同じ魔法陣が描かれている。魔力を流し込めば、鏡の表面に波紋がうまれ、紙飛行機からの視点を映し出した。


 言ってしまえば、ドローン擬きだ。


 これだけ見ると『え、こんな低コストでドローンと同じ性能を!?』となるが、これは俺の血を使った場合だからこそ。普通に作ろうと思えば、羊皮紙に金箔。その他貴重な魔道具や高額な機材が必要になる。そのうえで性能はお察しと、悲しい事になるだろう。ぶっちゃけ、魔法は科学技術の産物と比べると、コストに見合わない事の方が多い。


 とにかく、これを使って島を軽く探ってみた。どうやら騒動が起きているのは昼間自分も使った陸地と繋がる橋のようだ。紙飛行機をそちらに向かわせた。あまり速度は出ないので、少しもどかしい。


 横転する車両が数台。その中や周辺で倒れ伏し、動かない人々。咄嗟に魔力の流れを見るが、生存者はなし。小さく歯噛みする。


 更に視線を移せば、橋を塞ぐように巨大な『蜘蛛の巣』が張られていた。


「……は?」


 思わず間の抜けた声が出る。


 島にとって重要な橋だからか、街灯がいくつも配置され、更に横転した車のいくつかが炎上して周囲を照らしている。


 夜だというのに、そうして明るみとなた場所で相対するのは、二体の異形。


 片や、八つの目をもつ灰色の怪人。虫を彷彿とさせる口を小刻みに開閉する姿は、生理的に嫌悪感を覚える。


 もう一方は、ぎょろりとした目にむき出しの鋭い牙をもつ怪人。白と青で彩られた体表に、背中には背びれ。なんとなく、サメを彷彿とさせる。一番目立つのは、下腹部に埋め込まれて輝く、銀色の宝玉だろうか。


 ……いや、なんだこの状況。






読んでいただきありがとうございます。

感想、評価、ブックマーク。いつも励みにさせて頂いております。今後ともよろしくお願いいたします。


Q.なんで剣崎は同性愛者と思われてるの?

A.だいたいこんな理由。


1.会長、なんであんなイケメンで勉強もスポーツもできるのに彼女つくらないんだ?


2.(正妻ムーブするグウィンと、冗談だと思ってそれを否定しない剣崎を見て)察する。


3.グウィンの一件の後、傷心旅行として12月という受験生にとって大事な時期に東京に行く。しかもそれ以来陰のある顔をよく見せる。


4.やはり、会長はグウィンの事を……。


結果

剣崎「おっぱいこそ至高!」

周り「無理をしないでください……」


Q.そもそもなんであんな人望あるの?

A.生徒会時代の剣崎

1.子供のように無邪気に楽しむ時もあれば、大人の様な視野を持っている。

(前世で暗かった青春を取り戻そうと必死。けど前世20中盤なので中学生のノリに偶についていけない)

2.かと思えばどこか悲し気に空を見つめる姿。

(俺、いい年して何してるんだろう……い、いや、精神年齢は合算されない。大丈夫、俺はピチピチの中学生だ)

3.誰もやりたがらないような事もすすんでやるほど、熱心に生徒会活動に励む。

(頑張って内申点稼がないと。前世ブーストもそこまで続かないから、成績はそれでカバーしよう)

4.理由を聞けば、「皆の学園生活の為に」と笑顔で答える。

(教師に聞かれるかもだし、流石に本音は言えないわ。とりあえず表向きの理由言っとこう)

5.容姿端麗、スポーツ万能、成績優秀な完璧超人だけどそれを鼻にかけない。

(前世ブーストとチートを誇るとか、流石にどうかなって……)

6.実は孤児だったバックボーン。それを知っていながらも気にした様子もなく振る舞う心の強さ。

(親の愛情とかは前世で貰えたし。むしろ今の両親に対しては他人の延長にしか思えなくってなんとなく申し訳ないな)


旧生徒会役員「会長は……剣崎さんにこそ相応しい……!」

会長時代剣崎「え、ああ、うん。ありがとう。けど会長の決定は生徒達の総意に委ねるべきだ。それを忘れないようにな」

旧生徒会役員「会長……!これが、王の器……!」


勘違いタグをつけるか迷った原因。


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― 新着の感想 ―
[一言] >『尾方総一郎』さん。  『尾○○一郎』さん。と一部伏字にすると何故か有名漫画家っぽくなっちまうんだ!
[良い点] いまさらだけどグウィンて誰だろう
[良い点]  こういう悩みを持ってこそ主人公! [気になる点]  生徒会時代だけでそこそこの中編創れそうな情報量。  まあ「今の」彼らと接触すれば回想シーンとして描けるか。  そこんとこどうなんざんし…
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