死後の世界へようこそ
死ぬことは人間の最高の祝福である。そう豪語できるほどに僕は死にたいと思っている。
21歳になる自称大学生。自称と言っているのは大学にもう半年ばかり行っていないからだ。もちろん単位はとれていない。この先どうなるのかは手に取るように明らかだ。留年する。
「はぁ。」
最近ため息が多くなった。死にたいと毎日思う。やりたいことがないし、生きていてもいいことなさそうだし。
どうして人間は学ばなくちゃいけない。どうして社会に出て働かなくちゃいけない。誰かにこき使われる人生は嫌だ。かといって誰かに雇われなきゃこの世界は生きていけない。そんなことしてまで生きなくちゃいけないなら、死にたい。
今すぐに死にたい。
誰にも迷惑かけることなく、
誰にも知られることなく、
シャボン玉のように消えてなくなりたい。
でも死ぬ勇気がないので誰か殺してください。
あ、でも殺されるなら美人に殺されたいな。
童貞だからその人として気持ちいい絶頂の中で死にたいな。
「面白いこと考えるね君。」
え。頭の中に直接声が届く。確実に僕の妄想の中の声ではない。テレパシーというものなのだろうか。
「驚かせちゃったみたいだね。すごく心の声が荒れてるよ。」
なんなんだ。誰なんだ。どうやって喋っているんだ。
「そんなに聞かれたら何を最初に言えばいいか困るなぁ。僕と喋りたいなら、思いっきり聞きたいことを思わなきゃ。」
君は誰!
「そうそう。そんな感じ。僕の名前はサイジャク。死神さ。」
なにをしにきた!
「それは君を殺すためさ。君が死にたいと強く思ったからきた。まぁ、君の思うような美女として死ぬやり方はできないけどね。」
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「動揺が隠せてないみたいだね。無理もない。一回深呼吸をしてみてくれ。」
一体どうなっているんだ。
「君は死にたいと強く願った。僕ならその願いを叶えることができる。君に選択肢をあげよう。」
死にたい。だけど、
「怖い。そうだろう。そして今君は僕の存在に対して半信半疑でもある。本当に実在する死神なのか。自分が妄想でもしているだけじゃないのかとね。」
考えるのをやめようとしても僕の心は騒ぎ出す。本当に死神は実在するのかもそうだし今から死ねるとは思えない。でも、本当に死ねるなら死んでみたい。見たくない現実に逃げたい。もう疲れた。これ以上生きたくない。もし、本当に死ぬことができるなら今ここで死にたい。
「結論は出たみたいだね。それじゃあ君の命僕がいただこう。
“今から言う僕の言葉を復唱してね”
今から僕は」
「今から僕は」
ああ、
「あなたに命を捧げます」
「あなたに命を捧げます」
これで僕は解放される
「そして今から」
「そして今から」
見たくない現実からも逃げれる。
「死後の世界に行くことをここに誓います」
「死後の世界に行くことをここに誓います」
次の瞬間体がとてつもない重力に襲われる。ジェットコースターに乗っているときに近い衝撃だ。それはどんどん強くなり体全体の感覚が無くなった。
しばらくしてそっと目を開けると星空が映っていた。
「夜?」
どこだ、ここはあの死神が言っていた死後の世界という場所だろうか。
すると星空の中一匹のコウモリが目に映った。
そのコウモリはやがて僕の目の前に来ると破裂した。
「お前がサイジャクのやろうの口車にはめられてきたやつか」
目の前には顔が整った美人という言葉がよく似合う素敵な女性がいた。
死んだらどうなるんだろうをめいいっぱい広げて書き上げていきます!!応援よろしくお願いします!