007 とりあえず完成?
じゃばあぁぁ…
やった!成功だ!
水漏れも無いし他にまずい所も見当たらない。
今度こそ噴水の完成だった。
アドバイスに頼らず不具合を克服したのは僥倖と言えるのではないだろうか。
ふふん、どうよ?
反応が気になったのでシエラの方を振り向く。
そこには紅茶を嗜みながら読書にふけるキツネの姿があった。
「せめて見るくらいはしろよ!」
こっちは一生懸命やってるのに酷すぎる…
『別に終始君を観察するのが私の仕事じゃ無いよ、それにこの程度で完成した気になられても困る』
腹立つ…けど確かにまだこの世界には芝生の生えた地面と噴水しか作って無いのも事実。
一々このキツネに感想を伺っててもしょうが無いって事か。
噴水を作ったお陰で大体の手順は飲み込めたんだし、ここは一気に噴水公園を作り上げてやんよ。
再び読書にふけるキツネを尻目に自分は決意の腹鼓を叩いた。
ぽこんっ!
思いの外良い音が鳴ったのだった。
・ ・ ・
――暫くした後。
「出来た!」
万歳しながら己の作り上げた成果を一望する。
噴水を中心に広場になっていて、休める様に随所にベンチを設置、さらに景色を楽しめる様に背の高い木の植え込みの下には花壇、それを縫う様にして遊歩道をつけた、さらにその先に池を作り円月橋を掛けてそれっぽい雰囲気を出してみた。
自分ながら良い出来だと思う。
これならあのキツネも文句は言えないだろう。
…見るとシエラは頭に本を被せてベンチで横になって寝ていた。
おいこら
小突きたくなる衝動を済んでの所で抑え、極力優しく上司を揺り起こした。
『ん、ああ、失礼』
緩慢な動きでベンチから降りて、軽く腰を伸ばしながら欠伸をした後に漸く辺りを一瞥した。
『…うん、まあ良いんじゃないかな』
薄っ。
投げやりにすら思える感想だった。
「あの、こう見えても一生懸命作ったんだからもうちょい褒めるなり労うなりしてくれても良いと思うんだけど」
対価を求める訳じゃ無いけどこれじゃあ張合いが無い。
『ふむ…』
顎に手を当てて少し考え込む様子のシエラ。
ややもして、手をこちらに伸ばし頭の上に乗せると…
『よしよし』
「馬鹿にしてんの!?」
撫でる手を跳ねのけて抗議する。
『やれやれリオ君、存外君は面倒臭い奴なんだね』
あんたよりマシだと思う。
『察するに君は先程から評価を求めてる様だが、残念ながらそれを決めるのは私ではないよ』
シエラがステッキの先端で器用に何やら操作しているかと思ったら不意にシステムメッセージが入ってきた。
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