005 噴水を作ろう
手始めとしてこちら側に提示された唯一の画像を参考に、緑と噴水のある公園っぽい場所を作る事に決めた。
>[芝生]
ぽんっ
範囲指定した裸の地面に丈の短い草がびっしり生い茂る。
>[石垣]
ぐいーん、ぽんっ
円形の範囲指定は始点を中心に終点までのポイントが半径となって指定される。
そして指定された部分に沿って一抱え以上はある石が隙間無くぴっちりと敷き詰められた。
>削除
ぽんっ、すこっ
その円形の石垣の外縁から少し小さく円形に範囲指定して指定部分をくり抜く。
これで噴水の土台部分は出来た。
>[石材]
きゅきゅっ、にゅいーん、ぽんっ
土台の中心から酒坏状の石材を配置し、中心を細く管状にくり抜く
これで水が吹き出て来る部分が出来た。
>[水]
たぷん、ぽんっ
水も入れた。
大分それっぽくなってきた。
なってきたんだけれども…
そもそも噴水ってどう言う仕組みで水が飛び出してるんだ?
そりゃまあ水源からポンプで吸い上げるなり、落差とかを応用して水圧で出しているんだと思うんだが、じゃあはいそれ再現してみてと言われると困る。
ポンプの仕組みなんて知らないし、落差を応用するにしてもどう設計すればいいのかさっぱり分からない。
「シエラ、ここから水を噴出させるにはどうしたらいいんだ?」
さっきから岩に腰掛けて足をぷらぷらさせながら眺めていたシエラは暇を持て余していたらしく、おっ、と言う感じで質問に食いついて来た。
『やあやあ、上司を呼び捨てなのは少々引っ掛かるが、お困りの様だねリオ君』
手持ちのステッキをくるりとやって紳士服のキツネはすっくと立ち上がった。
『真面目な君の事だ、噴水から水を噴出させる為に噴水の内部構造をあれこれと考えていたんじゃないかい?』
「まあ、その通りなんだけど…」
ずばりそこまで言い当てられるとなんか居心地が悪い。
ひょっとしたらわざとここで躓くと見越していたんだろうか?
『リオ君、ここで君にとっておきのテクニックを教えてあげよう』
いうが早いかスーツの内ポケットに手を突っ込んで何を取り出した。
『イベントオブジェクトぉー』
妙に声色を変えて手に持った物を高々と掲げる。
わさびと言うよりのぶ代に寄せた感じだった。
もしかしてこれを言いたいが為に待ってたのか?
このキツネ、薄々感じてはいたけど残念な思考回路の持ち主なんじゃ…
『はっはっは、そんな冷めた視線をよこさないでくれ給えよ、リオ君』
自分は特に何も言い返すでも無くそのまま上司を見つめ続けた。